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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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祖父話4 守りたいもののために・・・

セリアテスは青い顔をしながら、セルジアスにどうすればいいか聞いている。

セルジアスはセリアテスが落ち着くように声をかけながら、魔力の暴走をおこした責任はわしらにあると言った。

そして、怯えるセリアテスに腕輪を見せた。

魔力(・・)抑える腕輪(・・・・・)と説明をして、セリアテスの腕につけた。

つけたとたん、腕輪は縮んでセリアテスの腕にピッタリと収まった。


そして、セリアテスを眠らせるとわしらは部屋を後にした。

眠る前、涙を流しながら怯えている姿に胸が傷む。

ミルフォードが握った手を眠ったあとも離そうとしなかった。


わしらはまず裁縫室に行った。

言葉で聞いたのと違い、実物を目の前にして皆、言葉を失ったようだ。

その服を居間の隣の部屋に運び込む。

皆、興味津々で服を見ている。


「本当にこれだけのものを作ったのか」

「ああ、そうじゃ」

「それも、無詠唱で」

「ああ」

「金属の加工まで、か」


突き付けられた事実に皆の顔色が悪くなる。

幼いアマリアとギルベルトまでも、わしらの様子におびえたようにソフィティアとウルリーケにしがみついている。


「どうする、兄上」

「・・・・・」


めずらしくセルジアスは即答しなかった。

眉間にしわを寄せたまま黙り込んでいる。

顔を上げるとわしの顔を見た。


「どうもしない」

「どうもしないとは?」

「王宮には伝えないつもりだ」

「それは無理じゃな」


わしの言葉にセルジアスは睨むように見てきた。


「わかっているじゃろう。今回のことは2日前とは違うことを」

「ですが父上」

「言いたくない気持ちはわかるがな。セリアテスの魔力暴走だけならわしだって黙っておったじゃろう」

「親父?」

「もともとのきっかけはなんじゃ」

「それは服の改良かと」

「そうじゃが、違うじゃろう。魔物の大量発生じゃ」

「!」

「魔物の大量発生がおこり討伐に女性も参加する。これの意味するところが解らないお前じゃないだろう」

「・・・」

「もしかしたら我が国だけでは済まないのかもしれんしの」

「父上・・・」

「明日、わしも王城に行こう」

「何を?」

「あやつに会って御前会議を開かせる」

「父上!」「親父!」「リチャード様」


皆、驚いた顔でわしを見た。

アーマドなど、椅子から腰を浮かせていた。


「そんな驚くことでもあるまい。今回のことはお前たちよりわしのほうが説明役に向いているだろう」

「それはそうですが・・・」

「セリアテスが伝えた通りならあと、8年、いや、7年しかない。それまでに、子供らを使えるようにしないとならんだろう」

「・・・何をするつもりですか」

「いろいろとな。隠すことができないのなら、大々的に公表して手が出せないようにするまでだ」

「あいつが公表するのを反対するかもしれませんよ」

「邪魔をするのなら排するだけだ」

「本気ですか」

「そうさな。わしが盗るというのはどうだ」

「父上!」「親父!」


皆が一様に顔色を変えた。

わかっていないのは子供達だけだろう。

いや、ミルフォードはわかったようだ。

驚いたような顔をしているが、意外には思っていないようだ。


「王家の青を持たぬ者たちだ。民衆もこちらに付くと思うが」

「洒落にならないのでやめてください」

「本気だと言ったら」

「だから、やめてくださいと言ってます」

「もともとあやつがこの事態の元を引き起こしたのだぞ、自業自得だとおもわんか」

「・・・それでも。今は姉上も幸せに暮らしていますし。どうか、父上。もう少しあいつを信じてやってください」

「そうだの、信じてやってもよい」

「それなら」

「信じてやってもよいが、セルジアス。お前が宰相になれ」

「何をいうんだ親父」

「ジョシュアもそろそろいい歳だろう。7年後のことを考えたら今の内に変わっておいた方がいいだろう」

「だからって兄上でなくてもいいだろう」

「他にいるのか。物事に的確に対処できるやつが」

「それは・・・」

「父上。私への評価をありがたくおもいますが、私は宰相にはなりません」

「自信がないというのか」

「いえ」

「では、なぜだ」

「どちらかといえば距離を置きたいとおもいます」

「ほう~?」

「これ以上あいつのそばに行く気はありません」

「見捨てるということか」

「見捨てるのではありませんが、セリアのそばに近寄らせたくありませんので」


クックックッ。

こやつもわしと同じことを考えておるのか。

アーマドは、いや、わしとセルジアスとセレネ以外はわからなかったようだな。

まあ、いい。

それなら、それで好都合というものだ。


「わかった。今のことはもう言わん。だが、御前会議は開かせる」


そう言って、わしは皆の顔を見回したのだった。



97話です。


なんか、爺様が黒い?

いや、その理由からすれば黒くないか。


ふふふっ。

さあ、爺様が動きます。

そして、物語のキーワード!


「王家の青」


が、出ました。


物語の展開的には早いけど、どうせ詳細はかなり後になるので、もういいかな。


それから、80話の後書きでここ大事!の「宰相にならない」のも、出ました。

理由は・・・それもまた、先で出てきます。


あと3話で100話です。

とりあえず、100話で、登場人物紹介を一番前にいれますね。

それから、別枠の番外編も。


あと、活動報告で募集してます「リクエスト」に今3件いただいてます。

本編と並行して書いていくので、10話ごとに番外編にあげたいと思っています。一応、3月末で閉め切りますが、それ以降もご要望があれば、お答えしたいと思ってます。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


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