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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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大人の時間 家族会議4

「それでは、次は神殿のことだな」

「そうだな。どう対処する」


アーマドの問いに口元に笑みが浮かぶ。


「基本は何もしないさ」

「それでいいのか」

「ああ。あいつにするのと同じことさ。「アラクラーダ様のお言葉」に奴らこそ逆らえんからな」

「だが、いいように誘導してセリアから言質を取って神殿に囲うかもしれないぞ」

「それこそ「アラクラーダ様のお言葉」に逆らうことになるからな。「自由に何も縛られず」に抵触するだろう」

「それですと、今頃、歯噛みしている姿が思い描けますわね」

「ええ。普段、権威を笠に着て威張っておりましたもの」


ソフィティアとウルリーケが楽しそうにクスクス笑いながら言った。


「ただ、警戒しておくには越したことはないだろう」

「そうね。こちらにいる間探りを入れておくわね」

「お願いします。母上」


しゃべり続けてのどが渇いてきたので、お茶を一口飲んだ。

そういえば、セリアがこれのことを紅茶と言っていたか。

だが、その前にもう一つ。


「次は各国の動向だな」

「まだ、それぞれの国にどこまで伝わったかわからないが、グレスエッジの大使から問い合わせが、王宮にあった」

「早いな」

「だが、3日前から街に噂が流れていたのなら妥当なところだろう」

「問い合わせはどういう内容でしたの?」

「アラクラーダの神子が現れたという噂を聞いたが本当かどうかだったな」

「それでどう答えましたの」

「まだ調査中と答えたそうだ」

「王宮はセリアテスを「アラクラーダ様の神子」と思ってますの?」

「まだ、確証は得ていないが、「アラクラーダ様の神子」だと思っているだろう。ただ、決めてに掛けていたのだが・・・」


私は歯切れ悪く言った。


「あら、どうかなさいましたの?」


ウルリーケが聞いてきた。

両親もミリーもアーマドとソフィティアも浮かない顔をしている。

エグモントとウルリーケの前に一枚の紙を置いた。


「これを見てくれ」

「これは、お茶の製造方法ですか」

「ああ」

「これをどこで・・・まさか」

「セリアテスですの」

「そうだ」


二人は息をのんだ。言葉が出てこないようだ。


「これを王宮に伝えたら「アラクラーダ様の神子」は確定だろうな」

「そんな」

「まあ、これのことは伝えなくてもいいだろう」

「兄上?」

「お義兄さま?」

「もともと、うちの領で見つかったお茶だ。製造方法がわからなくて量産出来なかったものだしな。どちらにしてもこの方法を試して生産量を確保できるまでは話さないでおこうと思う」

「それで、大丈夫ですの」

「作り方が確定したら「アラクラーダ様の言葉」として世に知らしめるからいいだろう。それにまだ、作り方に何かあるようだしな」

「これで確定ではありませんの」

「セリアも実際にやってみないとちゃんとできるかわからないといっていたからな」

「あと、葉っぱの場所や茎が入らない方がいいようなこともいっておったのぉ」

「まあ」

「他には何かありまして」

「特になかったとおもうが」

「あの、エリザが言っていたのですが、セリアが服のことを侍女に聞いていたというのです」

「服のこと?」

「ええ。私もまだセリアに確かめてはいないのですけれど」

「まぁあ~。何かしら。新しいデザインかしら」

「それは、何とも楽しみですわね」


何となく沈黙がおりた。

アーマドが眉間にしわを寄せたまま話しだした。


「それで、警備のことだが、シュレインとアマリアがセリアの勉強に参加するだろう。その時にこちらから護衛としてフォングラム家に置いていこうと思うんだが。いいか、兄上」

「そうしてもらえるなら助かるが」

「まあ、なんですの。セリアの勉強に参加というのは」

「記憶を失くしたセリアの勉強会だよ。さっき言ったスクワーレ伯爵令嬢とのな」

「スクワーレ伯爵令嬢。・・・でしたら、うちもビアンカとギルベルトを参加させて、護衛を置いていきますわ」

「いいのか、ウルリーケ」

「ええ、もちろんですわ。よろしいわよね、エグモント」

「もちろんだよ。子飼いの信用がおけるものがいいだろうね。うちが手薄になるなら、領地から呼び寄せればいいかな」

「そうですわね。うちに戻ったら手配をお願いしますわ」


二人は見つめ合うとニッコリ笑い合った。

エグモントが、続けて話し出した。


「ああ、忘れておりました。その、スクワーレ伯爵家のことですが、彼は爵位を頂いて4代目になります。もともと、初代を文官として王宮に引き抜いたことから始まっています」

「ほお、それはのぉ」

「スクワーレ家の初代はシブラルク商会の経理担当をしていたそうで、傾いて借金だらけの何時潰れてもおかしくない状況を3年で立て直した方だそうです」

「それはすごいのう」

「はい。それから5年後に商会を発展させて王宮にも出入りできるまでになり、噂を聞いた国王が直々に口説かれたとか」

「・・・もしかして、大粛清の立役者か?」

「ええ、伏せられていましたが、彼が王宮に仕えるようになって、ほぼ10年後におこっていますから、それだけ綿密に調べて用意したのでしょう」

「おかげでこの国の貴族が半減したが、手配が行き届いていて国民の混乱は少なかったという、あれか」


部屋の中にため息が満ちた。



80話です。


今話は予定外は無いはずでしたが、ああ~。

もう、話すのね。

でも、彼女が通うようになってから、この話が出るって・・・。

ならば、予定通りだった、ことにします。


補足・・・。

いらないですね。

・・・いらないけど、思っていたよりこの一族、優秀すぎ。

なんか、宰相になって、国王の尻叩いてくださいと、言いたいです。


ならないだろうけど。


これ以上書いていると変なネタバラシしそうなんで、やめておきます。

でも、 ↑ を覚えていてください。

前話にも関連した、理由が出てきます。


それでは、次話で。


・・・・・。

あっ、忘れるところでした。

一日おきの予約投稿のおかげで、話しが少したまりました。

今話からしばらく毎日投稿します。

前みたいにまとめて投稿したいのですが、もうしばらく時間が取れる日と、取れない日があるので、予約投稿にします。

毎日10時に投稿しますので、お待ちください。


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