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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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大人の時間 家族会議3

エグモントとウルリーケは若干青ざめているようだ。

さっきのように声を出す者はいなかった。


「もちろん私はふざけるなと答えたがね。そうしたら、セリアテスと結婚した者を次期国王にしてもいいなどとぬかしやがった。私はセリアテスにはちゃんと婚約者がいる(・・・・・・)といったのだが、それは白紙に戻せとほざいてな。あの方(・・・)との約束を何だと思っているんだ、あいつは」


ミリーが私の腕の中で身を固くしたのが分かった。

私の胸にあてていた手が服をギュッと掴んできた。

私はミリーの背中を優しく撫ぜた。


「本当にどうしようもないな」


地獄の底からというくらい低い声を父がだした。

瞳に剣呑な光が宿っている。


「これは躾じゃすまないな」

「気持ちはわかりますが、今はまだ、何もしないでください、父上」

「どういうことだ。あの方(・・・)との約束も彼女(・・)の想いもこちらのことも、コケにしてくたんだぞ」

「ですが、あいつには何もできませんから」

「ほう。どういった意味だ」

「言葉通りです。無理に推し進めようとすれば、「アラクラーダ様」のお言葉に逆らうことになりますから」

「?」

「セリアが王妃に聞かれて「アラクラーダ様のお言葉」を伝えています。直接聞いたのは私達家族の他に、国王、王妃、王女様方、魔術師長、宰相、学者、医師長、医師とスクワーレ伯爵令嬢もいたな。まさか、それだけ証人がいるのに、無視しようとしたら、神罰が下るかもかもしれませんね」

「ああ、あれか。「自由に何も縛られずに生きてほしいと」いう言葉」


皆納得したのか頷いていた。


「そうだ。だから決めるのはセリアテス(・・・・・・・・・・)だ」


ニヤリと笑ったらソフィティアがいい笑顔で返してきた。


「ふふふふふっ。お義兄さま、それではこちらもちゃんとセリアテスがあの子を選ぶよう(・・・・・・・・)にお手伝いをしないといけませんわね」

「そうしたいところだが、あいつが条件をつけてきた」

「まあ、条件なんて付けられる立場だと思っているのかしら」

「それで、条件とは」

「二人には学園に入学する12歳になる前に、生まれについて話すつもりだったのだが、それをするなといわれてな」

「まさか承知したわけではないのでしょう、セルジアス」

「セリアテスに学園卒業まで話さないというのは承知しました」

「なぜそんなことを」

「無視をなさったらいかがですの」

「大丈夫だ。今までのセリアの様子を見ていればな。だから、焦ったあいつがあんなことを言い出したのだろうがな」

「それで、あの子(・・・)にはいつ話しますの」

「学園に入学する直前だな。場合によってはもう少し早くなるかもしれないが」

「もう、話してしまわれてはいかがですか。義兄上」

「それも考えたが、あいつに気取られると面白くないからな」

「そうかもしれませんが」


私の腕の中で今まで黙って話を聞いていたミリアリアが顔を上げた。


「いつ、あの子(・・・)のことを公表することになるの。本当なら学園に入学と同時に公表して、セリアとの婚約(・・・・・・・)を発表するはずだったのよね。もし、このまま何も知らないセリアが、他の人に恋してしまったら、あの子(・・・)はどうなってしまうの」

「ミリー、大丈夫だから。そんなことにはならないから」

「でも・・・」

「お姉様。お義兄様を信じましょう。それに私達だっておりますのよ。絶対にあの方(・・・)彼女(・・)の想いを叶えますわ。どんな手を使ってもね」

「そうよ、ミリアリア。本当にあなたは心配性なんだから。些末な事は私達がしますから、あなたはドンと構えてなさい」

「ソフィー・・・」

「もう、そんな顔をなさらないで。セルジアス様が先ほどのようなことをなさりたいお顔をしていますわよ」


ちっ、と、心の中で舌打ちをする。

本当にミリアリアほど可愛い女性はいないな。

普段は吊り上がり気味の目と、無表情が相まって冷たい印象を与えるが、本当は情に厚くて思慮深いし、地位目当てだった女達とは大違いだ。

もう少し彼女を堪能したかったが、それは今夜の楽しみに取っておくことにした。

抱いていた腕をゆるめるとミリーはそっと離れて隣の席に座り直した。


私は確認するように語り出した。


あの子(・・・)の公表だが、遅くとも20歳には公表されるだろう。20歳になったら、魔法が解けるからどうしたって公表しなければならなくなる」


皆が頷いた。


「セリアの婚約の話は白紙になった。あの子(・・・)だけじゃなく、王子達にも平等に求婚する権利が出来た。だが、選ぶのはセリアテスだ」


また、皆が頷いた。


あの子(・・・)には今はまだ話さない。今回のことはいい機会だったのかもしれない。あの子(・・・)とセリアの意識を変えるのにな。あの子(・・・)には他の求婚者より分が悪いが、それを撥ね退けてセリアの心を手に入れたのなら、あいつも文句を言えないだろう」


しばらく私の言葉を皆吟味していたが、納得したのかソフィティアが言ってきた。


「わかりましたわ。しばらくは見守る方向でということですわね」

「ああ、よろしく頼む」


皆笑顔で頷いた。



79話です。


えーと、もう、予定とはなんだったの状態と、かしてます。


最初はね、前世の記憶を知っちゃった女の子が、記憶喪失になって、今いる世界と前の世界のギャップを、埋めるために頑張る。

だったんですよ。

乙女ゲーム話もだしてるから、それで、王子様と恋愛して、3人いるから誰とくっけようかな、という軽いノリで書き始めたんです。

始めの方は順調にその流れだったんだけど・・・。


パウル君に語らせたあたりで、方向が変わってきちゃって。

だから、しばらく恋愛禁止にして話を進めようとしたけど、無理っぽでした。


今話は方向が変わってからできた設定だったけど、ここで、語らせるつもりはなかったので。


なので、今話に限り、質問は受け付けません!

あの子は誰?とか、あの方は何者?とか、彼女の想いって何?

には、答えません。


ですが、推測して誰々でしょう。という内容は大歓迎です。

当たっていた方にはちゃんと教えますね。


プロットでは折り返したはずでしたが、まだまだ、先は長そうです。

よろしければお付き合いくださいませ。


それでは、次話で。


次話は3月15日10時に予約投稿します。


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