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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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兄話1-1 僕の可愛い妹……?

 僕の名前はミルフォード・カイセル・フォングラム。

 フォングラム公爵家の嫡男だ。歳は10歳になる。


 僕には3歳下に妹がいる。

 セリアテス・クリスチーネ・フォングラムというとても可愛い女の子だ。


 僕とセリアは兄妹なのにあまり似ていない。僕の顔立ちは父上に似ていると思う。

 髪の色はハニーブロンドでこれは父上から、瞳の色はエメラルドで母上からいただいたんだ。


 セリアの顔立ちは母上に似ていて、瞳の色は父上と同じトパーズ色、髪の色は祖母と同じ茶色だった。


 僕の妹はとても頑張り屋さんだ。

 それというのも妹は魔力量があまり多くなかったからだ。


 僕達が住むこの世界には魔法があって、みんな魔力を持って生まれてくる。

 魔力の強さには個人差があり、魔力量や使える属性もそれぞれ違うんだ。


 属性は髪と目の色に出やすく、相性のいい属性を判断するのに役立つそうだ。

 でも、それ以外の属性が使えない訳ではないらしい。

 中には全属性を使える人もいるそうだけど、そんな人は滅多にいないと聞いている。


 普通は一般の人で一種類、貴族で二種類から、三種類使えればいいところだという。

 属性は火・水・風・地・雷・冷気・光・闇がある。

 この中で稀少なのは、光と闇。


 魔力の強さは髪の輝きに現れる。強い人ほど透きとおった輝きを放っている。

 僕の髪の色はハニーブロンドだから、光属性かと間違われることもあるけど、雷と風に相性がいいんだ。


 セリアは地と雷に適性があったけど、魔力量は多くなかった。

 それも貴族としては致命的なくらいに少なかった。

 貴族は一般の人の二倍から三倍くらいは魔力量が多いんだ。

 それなのに妹は一般の人くらいの魔力量しかなかった。


 妹がその事実を知ったのはわずかさん歳のときだった。

 それからの努力はすさまじいものがあった。

 本当にね、体を壊すんじゃないかって心配をするくらいに、貴族の子女として必要な礼儀作法を習得していったんだ。


 その努力はすぐに結果として現れた。

 七歳にして周りから、『小さな淑女(リトルレディ)』と言われるくらいにまでなっていたんだ。

 同じ年頃の子供を持つ貴族から子供の手本になってほしいと謂われるくらいに完璧だった。


 妹が頑張ったのは、母上に認めてもらいたかったからだと思う。

 貴婦人の中の貴婦人と言われる母上のようになりたかったんだと、僕は思っていた。


 でもね、あれはないと思うんだ。


「おほほほほほ~」という高笑いと「……ですわ」と、言葉の最後につけること。


 子供らしくないよ。

 あれは母上だから、似合うんだよ。

 セリアにはまだ早いと思うんだ。


 そんなある日、王宮で王妃様主催のお茶会が開かれ、僕とセリアは招待された。

 名目は、社交界にデビュー前の子供たちの交流会。

 実際は有力貴族の子息たちを側近候補とするためと、婚約者が決まっていない王子たちの婚約者候補の令嬢たちの品定めの場だった。


 特にセリアは公爵家令嬢であり、七歳で淑女の呼び名が高いこともあったから、最有力候補だったと思う。

 特に第三王子とは年が一つ違いということもあって、彼の婚約者候補の筆頭に名前があがっていたんだと思うんだ。

 本当なら家の格的にも、第一王子の婚約者になってもおかしくなかったはずだ。

 けど「セリアテス嬢の魔力量の少なさが、第一王子の婚約者とするには」と、反対の声が上がっていると、父上が嬉しそうに話していたんだよね。


 父上は公爵という立場だけでなく、王宮の重要な職にもついていた。だから王家にとってセリアと王子達を婚約させることは大きな意味を持っていたんだ。


 公爵家嫡男という僕にも、案の定令嬢たちが群がってきた。

 彼女達からすれば僕の立場はとてもおいしくみえるのだろう。

 王家に嫁いで苦労するよりは一家臣である公爵家の奥様のほうが、気が楽だとでも思われているのだろうか。


 でも、おかげで僕はセリアと離れてしまったんだよね。



10話目→7話目に変更

いつも読んでいただきありがとうございます。

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