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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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大人の時間 家族会議2

ソフィティアの言葉に頷けるものがあった。

予定外の来客を迎える時には同じことをしようと、ミリアリアの方を見る。

彼女も私を見ていた。

私の考えがわかったのか小さく頷いた。

だが、瞳には不安の色がにじみ出ていた。

今すぐ安心させてやりたいが、まだ、話しは終わっていない。


「これを言ったのはどの家だい」

「3番目の ・・・・・ですわ」

「そうか。私の方でも探ってみよう」

「お待ちください。それならば、私の妹が嫁いだボーレンダー家に探らせます」

「ボーレンダー伯爵家か。だが」

「おっしゃりたいことはわかりますが、どうか私を信用していただけませんか」

「エグモント、お前を信用していないわけじゃないんだ。ただ、そこまで迷惑をかけるわけにはいかないだろう。君達と、ローデリアは何の関係もないことになっているのだから」

「それこそ、今更です。私達兄弟はローデリアと兄妹の名乗りを上げるわけにはいきません。ついこの間まで話しかけることもできませんでした。それを話ができるようにしてくれたのは義兄上です。ここで義兄上のお役に立てると知れば、ローデリアもボーレンダー家も喜んで協力してくれるでしょう」

「・・・わかった。頼むことにしよう。くれぐれも無理をしないように伝えてくれ」

「はい。エアフルト伯爵家、ブラウアー子爵家もいつでも使ってください」

「・・・感謝する」


エグモントは真剣な顔で頷いた。

どちらかといえば我が家の私事(わたくしごと)に、こちらが巻き込んでいるのだがな。

エアフルト伯爵家の事情に口出ししたことに、ここまで感謝されるとは思わなかった。

ミリアリアの妹の(・・・・・・・・)ウルリーケの夫のエグモント(・・・・・・・)のことは、今まで関心がなかった。

ミリーの妹の夫でなければ、彼の実家のことなど放っておいたのだが。


「次は我らかの」

「そうですね」

「一昨日王都に着いてアーマドと会ったあと、知り合いを何軒か訪ねた。土産の茶葉を喜んでくれて、いろいろ話をしてな。気になることを言った奴がいて、見張りをつけておいたら昨日早速動きよった。そ奴が会っていたのが、神官のアイドロフじゃ。多分神殿に、セリアテスのことは伝わっているだろう」

「私の方も昨日は友人を訪ねたの。彼女は私が王都に来たことを他の友人にも知らせてくれて、招いてくれたの。何人かと話ができてね、神殿の話をしてくれた方がいたのよ。彼女は懇意にしている神官から「もうすぐアラクラーダの神子様を神殿にお迎えする」という、話しをしてくれたの。彼女がその話を聞いたのは3日前だそうよ」


やはりな。

王宮の中に神殿と通じているものがいたのか、とおもった。

両親以外の者が表情を曇らせている。


「どうする、兄上」

「どうするもなにもないだろう。ああ、だが、その前に王宮の動きを伝えよう。昨日、レイフォードから、セリアテスを第1王子の婚約者にと打診があったが断った」


私がそう告げたとたん皆が騒ぎ出した。


「まあ~、なんですの」

「よくもまあ、そんなことが言えたな」

「そんな恥知らずな申し出がよくできましたわね」

「うふふふ、リチャード。あの、甘ちゃんの坊やに世の中のことをよーーーく教えないと駄目なようね」

「ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁ。そうさの、国王だからと何でもできると思い上がらない様にちゃんと躾をせんとなあ~」


私以上の反応にため息が出る。


「あなた・・・」


ミリアリアが涙をたたえた瞳で私を見てきた。

私はミリーを腕に抱くと優しく目尻にキスをし、涙を吸った。


「大丈夫だ。絶対そんなことはさせないから」


反対の目尻にもキスをして涙を吸い、ついでに可愛い唇に啄むようなキスを落とす。

驚いたように目を見開いたミリーが可愛くて、もう一度キスをする。

頬を赤らめて抗議するように私の胸に手を当て、押してきた。

かわいい抵抗にもう一度深くキスをする。

ミリーの口内を楽しもうとしたら、呆れた声が聞こえたきた。


「兄上、そんなことをしている場合じゃないだろう」


ミリーを抱いたまま周りを見るとソフィティアとウルリーケは顔を赤らめていた。

アーマドは呆れた顔をし、エグモントは目を合わせないように視線をそらしているが、少し頬が赤くなっている。

両親は面白いものでも見ているようにニヤニヤしていた。

ミリーは真っ赤になって私の胸に顔をうずめてしまった。


「仲がよろしい様で良かったですわ」


ウルリーケはニッコリと微笑んだ。

それに私も微笑み返した。


「ああ、もちろん」


ソフィティアとウルリーケは顔をますます赤らめた。

それに、盛大な溜め息と共に「兄上~」とアーマドがこぼした。


「ついな。さて、先ほどの続きだが、レイフォードが言った、セリアテスを第1王子の婚約者にという話を断ったら、第1王子以外でもいいから、王子の婚約者(・・・・・・)にしてほしいと言い出してな」


笑いを含んだ声で言ったら、みんな一様に顔色が変わったのだった。



78話です。


もう、何も言いたくない。

グスン。

セルのばか~!


私の中では悪夢再び!に、なりかけた回です。

ミリーの不安を取り除きたいのはわかるけど・・・。

あれ以上はダメでしょ。


ええ、キスシーンをなしにしようとしたら・・・、おい、動けや、セル。

になって、渋々いれました。

この話の一番の問題児はセルジアスで決定です。グスン。


さて、今話の私が知らなかった設定について。


エグモント、妹って誰?お前は3兄弟の3番目だろう。

ボーレンダー伯爵家?ローデリア?

兄妹の名乗りを上げるわけにはいかなかったって、なに?


おじいさま、おばあさま、何ですか。その行動力は?

・・・いや、だから呼び寄せたんだけど、行動早すぎ。


なんか、カテリアを出すの怖いんだけど。

この二人の娘でセルの姉で・・・。

・・・考えてもしょうがないから、この屋敷に着いてからにしようっと。


次話は・・・。

いや、では、次話で会いましょう。


それから、ブックマークしてくれた方が500件超えました。

本当にありがとうございます。

これからも皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。

よろしくお付き合いくださりませ。


次話は3月11日10時に予約投稿します。


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