8-6 紅茶の作り方・・・?
「本当によく見ておるようだな」
おっと、口調まで変えていたんですね。
「だから、下手な小細工はやめなさいと言ったわよね」
「そう言いながら、お前もノリノリだっただろう」
うん。やっぱり・・・二人ともやらかしている方たちだったと・・・。
その、ニヤリ笑いはなんですか。
「さて、自己紹介をした方がいいだろうな」
「あ、先ほどお兄様に教えていただきました」
「ミルフォードにか。フム。ん。ところで、これは何をしていたんだ」
お兄様が書いてくれた地図を見せながら聞いてきました。
お兄様は答えずに私の方を見ています。
つまり私の返事を待っていると。
「それはお兄様にこの国や周りの国を教えていただいていました」
「ほう、それはなぜかね」
「カテリア伯母様もこちらに向かっているとききました。それで、伯母様がいらっしゃる国がどこなのかと聞きましたら、お兄様が地図を書いてくれたのです。あと、フォングラム公爵領まで、どれくらいかかるかなども教えていただきました」
「ほう、ほう。ではな・・・」
それからの会話はとても楽しいものでした。
フォングラム公爵領のことをいろいろ話してくれたのでした。
私はお茶のことを聞いてみました。
あの紅茶が出来たのはもともとは偶然の産物だったそうです。
お茶の葉は糸を取るための虫の好物だったそうですが、いつからかその虫の好物の葉が変わってしまい無用の長物とかしていました。
木が大きくならないように刈り取り放置しておいたものを、物好きがお湯に入れて飲んだことでおいしさを知ったそうです。
なので、まだ、作り方が確立されていないので、味にばらつきがでてしまっているとのことでした。
お茶に興味を示した私に領に行ったら作業場に連れて行ってくれると、約束してくれました。
「だが、そんなに楽しいものでもないぞ。失敗すると変な匂いはするしな」
「おじいさま、話しを聞いた限りでは、お茶の葉を刈り取ったまま放置していますよね。多分山に積み上げて」
「よくわかるな。確かにそうだ」
「それでは、おいしいお茶はできません。収穫した茶葉を放置するのは正しいのですが、しおれさせた後に揉み潰してまた放置し、茶葉が褐色に変化したところで乾燥させるという工程が必要です。山に積み上げますと発酵の熱で茶葉が変質し、ばらつきがでてしまうのですわ」
「そうなのか。セリアテス、もう一度教えてくれ」
おじいさまは紙に私が言ったことを書きつけました。
「これで安定したものが作れるのだな」
あれ、これを試すの?
あー、待って。これだけで簡単に紅茶ができるなら苦労しないんだよー。
「でも、実際にやってみないとちゃんとできるかわかりませんよね」
「それはそうだろうな。だが、今まではやり方がわからず放置するしかなかったのだ。それに比べればやり方が少しでもわかれば、無駄になる茶葉は減るし、試し用もあるからな。これだけでも茶作りに関わっているものにとっては助かることなんだ」
確かにそうですね。わからないまま闇雲にやってもいいものはできませんものね。
「他に注意点はあるのか」
「注意点といいますか、茶葉は芽から3枚までを手摘みするといいです」
「ほう、なぜだ」
「固い茎や茶葉が入らない方が美味しいものができます。あ、でも、そういう部分がある物は値段を下げて販売する手がありますね」
「そこまで味が変わるのか?」
「はい。変わるとおもいます」
「・・・・・」
あれ、みなさま、押し黙ってしまいました。
なんか見た光景が・・・。
みなさま目を見交わしていますが・・・。
えっ、えっ、やっちゃった?
私、やっちゃいました?
「では、お茶の話はここまでにして、他の話をしましょうね」
「そうですわね。お義母さま」
「そういえばお義母さま、どれくらいこちらにいれますの」
「そうねえ。カテリアもこちらに来るのでしょう。それまでは王都に居ようかしら」
おばあさまとお母様と叔母様が話し始めたら、お父様達男の人たちは部屋の隅にいってしまいました。
何を話してるのか気になりましたが、もう一つ気になることがあります。
「お母様」
「なあに、セリア」
「お父様は今日は王宮に行かなくていいのですか」
「大丈夫よ。今日はお休みの日だったのよ」
ニッコリと微笑まれました。
「それにね、今日は来客があるのよ」
「来客ですか?」
「ええ、楽しみにしていてね」
え~と、どなたがいらっしゃるのでしょうか?
説明プリーズ。
74話です。
紅茶の作り方講座です・・・なんちゃって。
今話に入れる予定ではなかったのですが、話の流れでこうなりました。
おかしいな。
本当は仲良く話をして終わるはずだったのですが・・・。
最近よく使いますが、
なんでこうなった?
次話で、新しい方たちが、出てきます。
誰ですかね?
はい。あの一家です。
えっと、補足します?
この世界では飲み物といえば、お酒か果実を絞ったものです。
水は魔法で安全だと確認されたものか、煮沸したものを飲みます。
お茶を飲む習慣はありませんでした。
もちろん、コーヒーも見つかっていません。
なので、フォングラム公爵領で見つかった、新しい飲み物に高い価値がついています。それから、少しくらい味が微妙でも、こういうものだとおもっています。
それから、質問をいただいたのでお答えします。
なぜ、信奉者ではなくて、信「望」者という漢字を使っているのですか?
という質問がありました。
信奉は信条・主義に熱心な人ということで、宗教的な意味があるので使いませんでした。
信望は本当は信用と人望という意味ですが、セリアの言葉を信じて望む者というのと、セリア自身を望む者という意味でつけました。
あと、読みかたがしんぽうではなくて、しんぼうにしたかったというのもあります。
あれ、でも、ある意味合っていたのかな?
それでは、次話で。




