8-5 おじいさまの扱いは・・・予定調和ですね
「お兄様、もしかしてこれは、アラクラーダ様の神子が伝えたものですか」
「よく、わかったね。そうだよ。これのおかげで、遠方との連絡が、早く楽に取れるようになったんだよ」
・・・。
うん。
もう少し何とかならなかったのかな。
でも、すごい発明だよね。
早く連絡が取れれば、緊急事態に対処しやすいよね。
でも・・・なんだろう。
この微妙な感じは。
「ねえ、お兄様。これをもう少し改良しようという方はいらっしゃらないの」
「何を言っているの、セリア。アラクラーダ様が神子様を通じて教えてくださったものだよ。勝手に変えちゃ駄目だろう」
「でも、もし、これから連絡したい方が増えたらどうなさるのですか。魔石を入れるところは無限ではありませんよね」
「そうなったら、もう一つ用意するよ。王宮では、5台の遠話の魔道具を使っていたはずだし」
そうか、そうなるよね。
まあ、いっか。
細かいことは気にしないでおこうと。
なのに、お兄様が聞いてきたんです。
「セリアは何が気になったの?」
え~、気にしないでおこうとおもったのに~。
言わなきゃダメかな。
「大したことではないのですけど、こちらから連絡をするときに、一々魔石を取り付けないといけないのは、め・・・あ、いえ、手間がかかるなとおもったのです」
お兄様が顎に手を当てて考え込んでいます。
「確かにね。魔石は小さいし落として変なところに転がりでもしたら、見つけるのは大変だね。うん。あとで、父上に話してみよう」
あれ、お父様に話すことなの?
「じゃあ、居間にもどろうか」
また、お兄様が手を差し出してくれました。
その手に摑まると腕に手を移されました。
おー、エスコートされてるみたいです。
なんか、淑女になった気分です。
手を引かれるよりずっといいです。
居間に戻る途中でお父様達が2階から降りてきました。
「何をしてたんだい」
「セリアに遠話の魔道具を見せていたのです。アーマド叔父上」
「ああ、そうか」
みなさま納得した顔をしています。
そのまま一緒に居間に入りました。
それぞれソファーや椅子に座りましたが・・・?
なんですか。私を囲むように座るのは?
おじいさまとおばあさまが蚊帳の外ですが・・・。
そんなに警戒しないといけないくらい、いろいろやっているのですね。
お二方は。
「ねえ、これはちょっとひどくない。久しぶりにかわいい孫に会ったのよ。もう少し触れ合ってもいいでしょう」
「母上、先ほど説明しましたよね。セリアは病み上がりです。無理はさせられないと」
「だがな、セルジアス。滅多に会えん孫と会ったのだぞ。もう少しそばに」
「だから、親父。セリアテスに触れるな、さわるな、話しかけるな。もう、顔を見たんだから、領地に帰れ」
「なんかわしの扱いひどくない」
「来たばっかなんだから、もう少しゆっくりしたいわね」
「何気に、セレネも無視するし」
「ゆっくりしたいなら、セカンドハウスに行きゃあいいだろう」
「ええー、それじゃあ、かわいい孫と遊べないじゃない」
「孫で遊ぶの間違いなのでは?」
「わしも会話に」
「そんなことするわけないでしょう。一緒に遊ぶのよ」
「その遊びが信用できないといっているんだが」
「わしも」
「あなた、話しが済むまで黙っていていただけません」
おばあさまにぴしゃりと言われて、おじいさまは肩を落としました。
おじいさまの様子に笑いがこみ上げてきました。
「クスクス」
「まあ、セリアテス。何か面白いことがありましたか」
おばあさまはいたずらっぽく話しかけてきました。
やっぱり・・・わざとですね。
あら、おじいさまも私の様子を伺っているわ。
仕方ありませんね。
乗ってあげることにしましょうか。
「ええ、おばあさま」
「それはなにかしら」
少しうつむき気味に右斜め下に視線を向けて口元に手を当てて、ポーズを決めます。
「それは・・・」
「それは?」
「私の口からは・・・」
「?」
「言えませんわ」
「・・・えっ?」
みなさまの顔をそっと見ると、一様に呆けた顔をしていまた。
だから、予定調和はいりませんから。
まさか、気が付かないとはおもってませんよね。
「だから言ったではありませんか。こんなことしなくても、セリアなら気が付くと」
「そうだな。とんだ茶番になったな」
「恥ずかしい芝居させやがって」
「やはりお芝居だったのですね」
「わかりやすかったかのぉ~」
おじいさまがしょげた顔で聞いてきました。
それにニッコリと微笑んで答えました。
「はい。私に思い出させるためですよね。いつもと違う行動をして、その違和感から思い出す糸口になればと、思われたのではないかと考えました」
その言葉を聞いたおじいさまは今までと様子を変えて、私にニヤリと笑い掛けました。
73話です。
書いてて、なんだこりゃと、私に言わせた回でした。
大人が出てこない方が話し的には進むのですもの。
これは、大人が不甲斐ないのかミルフォードが偉いのか?
これから、何か説明をするときには、ミルフォードにお願いしようかしら。
えーと、悪いお知らせ?です。
3月は忙しく、毎日投稿が出来そうにありません。
なので、1日おきに予約で投稿することにしました。
別に、週1で連載も始めますが、それが理由ではないからね。
ちゃんとこっちを優先するからね。
もう一つ理由としては、「月光の姫」の世界をまとめ直したいというのもあります。おもった以上に話しが長くなりそうなので、見直してまとめたいとおもいました。
皆様に読んでいただくのなら、ちゃんとした物をお届けしたいとおもっていますので、ご了承ください。
それでは、次話で、会いましょう。




