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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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父と母3 ちゃんと話せば・・・わかること

~ ミリアリア ~


私の婚約破棄の裏事情なんて初めて知ったわ。

あの時は、それどころじゃなかったもの。

婚約者のことは好きじゃなかったし、婚約破棄なんてどうでも良かったから。


でも、じゃあ、あなたはどうなの。

亡くなった婚約者のことを、今でも思っているのではないの。

だから、私と寝室を別のままにしているのではないの。


「なんで、エメリアのことが出てくるんだ」


セルジアスが驚いた顔をしているわ。

本当に思ってもみなかったようね。


「あなたは、亡くなった彼女のことを、今でも愛してるから寝室を別にしているのでしょう」

「だから、何でそうなるんだ」

「なんでって、それしか思いつかなかったのですもの」

「思いつかなかったって・・・」

「婚約破棄されて醜聞にまみれた女なんて、誰でも御免被りたいと思うわよね」

「いや、だから・・・」

「あなたは、婚約者を亡くして、でも誰かと結婚して跡継ぎを作らなければならなかったから、仮初めの妻として私がちょうどよかったのでしょう」

「仮初めの妻?」

「跡継ぎと娘を授かったから私は用無しになったから、寝室を分けたのでしょう」

「なんでそんな思い込みを・・・」


思い込みだなんて失礼な。

ちゃんと筋道立てて考えた結果なのに。



~ セルジアス ~


なんなんだ。

思い込みにしても酷い勘違いだ。

それにさっきちゃんと言ったよな。

愛してると。

なんでそれを無視できるんだよ。


これがちゃんと話すのを避けてた結果か。

自業自得かと思うと溜め息しか出てこない。


「なによ。溜め息なんかついちゃって。ええ、そうよね。私の相手なんて、めんどくさいわよね。だったらほっといてよ」


私のため息を勘違いしたミリーが涙目で睨んでくる。

ああ、セリアテスは本当に君にそっくりだ。

・・・もしかして飲ませすぎたか。

そういえば、話しをしながらグラスを空けて、もう2杯飲んだような。

こんなことを考えてる場合じゃないな。


「ミリー、そんなこと思うわけないだろう。それに君は誤解してるんだ」

「誤解?」

「そう、私とエメリアはそんな間柄じゃなかったんだ」

「え・・っと、どういうこと」

「彼女との婚約は彼女の両親に頼まれたものだったんだ」

「頼まれたって・・・」

「彼女は小さなときから体が弱くて、長くは生きられないと言われていたんだ」

「・・・」

「彼女が15歳になった時、一度危ないときがあった。なんとか持ち直したけど、いつ亡くなってもおかしくない状態だった。そんな時に彼女の両親に言われたんだ。「娘は君のことが好きだ。恋い焦がれてるといっていい。だが、娘はあとどれくらい生きられるかわからない。少しでも夢を見させてあげたいんだ」とね。私は彼女のことは実の妹のように思っていたんだ。そんな彼女に少しでも夢を見せてあげることができるのならと、了承したんだ」

「エメリアさんは・・・」

「そんなこととは知らずにとても喜んでくれてね、一時期体調は落ち着いたんだ。でも、16歳の誕生日の前日に亡くなった。たった半年の婚約者だったな」


ミリーは涙を流している。

彼女のことを想ってくれているのだろう。


「あなたは辛くなかったの」

「辛くなかったといったら嘘になるな。本当に妹のようにおもっていたからね」

「・・・ほんとうに男の人ってバカね」


ミリーが何かつぶやいたがよく聞こえなかった。


「寝室を分けたのは、セリアが生まれて君の体調が中々よくならなかったのと、仕事で帰るのが遅い日が続いたからだったのだが。言ったよな」

「えっ、・・・言われたかしら?」

「言ったと思うが・・・いや、言い忘れたか?すまない」

「え、待って。言われたかもしれないけど、でも、あの頃は確かに体調が悪くて、会話を覚えてなくて・・・」

「はぁ?」

「だから、起きてるのもつらい日もあったのよ。だから、あなたが来ないのは仕事で忙しかったなんて知らなくて・・・」


おもわず見つめ合ってしまった。

そして、どちらからともなく笑い出していた。


「なんだ、これは。こんなことならもっと早く話せばよかったな」

「ほんと、バカみたい。一人で落ち込んで。もっと早く詰っておけばよかったわ」

「おいおい、詰るってのはないだろう」

「エリザの言う通りだったわ。会話が足りないって」

「そうだな」


グラスを置くと、ミリーに向き合った。


「そろそろ寝ようか」

「そうね」


彼女の手を握ると寝室へと誘った。

7年ぶりに一緒のベッドで眠ったのだった。



67話です。


父と母、終わりです。

・・・。

なんか、涙でてきた。グスン。


これ、今までで、一番の問題作でした。

理由は活動報告を読んでください。


でも、なんか、消化不良です。

もしかしたら、加筆修正するかもしれません。


えーと、うん。

誤解が溶けてよかったね。

かな。


あ、説明いります?

ミリーの「男ってバカ」の。

ミリーはエメリアの思惑に気付いたんですね。

と、いうことです。


あー、と、そうそう、補足を!

セルジアスは学園に通っていたときに、ミリアリアのことを気に入っていました。

ただ、あいつの婚約者だと知っていたので、そのうちにあいつが失脚して自分にチャンスが来るかもとおもっていました。

ミリアリアが婚約破棄されたのは18歳の時。

セルジアスの婚約も18歳の時です。

二人は2歳離れています。

二人が結婚したのは22歳と20歳の時でした。

こんな、ところかな?

他に聞きたいことがあれば、質問してください。

お待ちしています。


では、また、次話で。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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