父と母2 告白と・・・真実と・・・
~ セルジアス ~
ミリアリアの悲鳴のような告白に驚かされた。
それと同時に私は彼女のことを見ていなかったのではないかと思った。
寝室を別にした時もそうだった。
セリアが生まれた頃、仕事で王宮に詰めていることが増えて、屋敷に戻れても夜遅いことが多かった。
彼女も疲れているだろうとおもい、起こさないためにも寝室を別にすることを提案した。
そのまま、今に至ってしまったのだが。
私はあの時に彼女にちゃんと話したのだろうか。
事務的に寝室を別にするとしか言わなかったのではないのか。
今更ながら気になってきた。
~ ミリアリア ~
お酒のせいかしら。
つい、言うはずのない言葉まで言ってしまったわ。
あの人にあんなふうに思われていたなんて。
悔しくて悲しくて、気がついたら口から飛び出していたのよ。
あの時もそうだったわ。
言わなくてもいいことまで言ってしまうの。
私は、わたくしは・・・。
~ 二人の会話 ~
「それは・・・。すまなかった。そういう風に思っていたとはおもわなかったんだ」
「いえ・・・」
また二人の間に沈黙が落ちた。
「あの」「ミリー」
二人の声が重なった。
「お先にどうぞ」
「いや、ミリーから」
「私はあとでいいので」
「そうか、じゃあ」
そう言ったものの、言葉が出ないのか、セルジアスはまたグラスに口をつけた。
「ミリーに聞きたかったことがあるんだ」
そう言って口を閉ざしてしまった。
「なにかしら」
「その、ミリーは私と結婚して幸せなのかなと、思ったんだ」
~ ミリアリア ~
突然何を言い出したのかしら。
それは、私の方こそ聞きたいことだわ。
そう思ったから聞くことにしたの。
「それは、私の方が聞きたいわ。あなたは私に同情して結婚してくれたのでしょう」
「何を言うんだ。同情?なんで、同情で結婚しなければいけないんだ」
「だって、あの時の私は、社交界で、婚約破棄されて疵物扱いだったのよ。そんな私と結婚しようなんて同情以外の何物でもないでしょう」
「ちょっと待ってくれ。じゃあ君は私のプロポーズをそんなふうに思っていたのか」
「ええ、そうよ」
あら、なんか、思っていたのと違う方向にいってしまったわ。
~ セルジアス ~
おいおい、本当にちょっと待ってくれよ。
なんだってミリーはそんなふうに思っていたんだ。
「そんなわけあるかよ。ミリーのことを愛してるからプロポーズしたんだぞ」
「えっ、愛して・・・」
「そうだよ。君の婚約者だったあいつはひどい奴だった。君という婚約者がいながら遊びまわっていたし。顔だけは良かったから、バレンクルス国の姫に見初められて、彼の国に行く時に、自分を正当化するために君を悪女に仕立てたのは、みんなわかってるさ。王宮でも厄介払いできてホッとしたってきいてるし。ただ、国の体面を保つためにも、君に婚約破棄された者というレッテルを張っただけなんだ」
「・・・初めて聞く話だわ」
「これは国の上層部しか知らない話だが、あいつは先々王の弟の子供だったんだ。その方はあいつが生まれる前に亡くなっている。父の話だとあいつの立場はかなり微妙な位置にいたらしい。侯爵家の一つに預けられたのもそれをおもってだ。それなのに、あいつはどこからか自分は王家の血を引いているときいて、かなり高い王位継承権を持っていると思い込んだ。あの時は確かに王家には今の王しか男子はいなかったがな。だが、あの、傍若無人さは目に余るものがあった。いつ、処罰されてもおかしくなかったのさ」
「そんな方だったなんて・・・」
「まあ、結果はあいつが国を出て行くことになったのだが、それで良かったのかどうか」
「・・・どういうことなの?」
「バレンクルス国でも微妙な立場ということだよ。あいつが預けられたのが公爵家じゃなくて、侯爵家ってことでもわかるようにそんなに重要じゃなかったんだ。理由はあいつの母親の身分の低さにあった。それでも、自分の立場を理解して社交に励めばよかったものを、周りを見下してたから、この国にコネになるような人脈なんかないんだ。そんな、厄介者をあの国は抱えたってわけだよ」
「まあ」
「一応あの国の王女が見初めて連れ帰ったことになっているから、周辺諸国の手前、結婚させたようだけどな」
ミリーは言葉を失くしたようだった。
「だから、君はどうどうと胸を張っていればいいんだよ」
ミリーは何か考えているようだった。
「でも、あなたは亡くなった婚約者のことを、愛していたのではないの?」
だ~か~ら~、なんで、そんなことをいうんだよ。
66話です。
・・・。
コメントなしで、いいかな?
なんか、わかってたけど、人の話はちゃんと聞こうね。
だから、黒歴史になる、暴走をしたんだよ。
えーと、一応、補足?を。
お気付きの方もいるとおもいますが、ミリーさんは酔っぱらってます。
ちゃんと考えているようでずれてます。
お酒のせいです。
セルは・・・口調が・・・。
酔っている証拠です。
思考も乱暴になってきてますしね。
って、まだか。
次回だね。
では~、次話で。




