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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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父と母1 くつろぎの時間のはずが・・・

~ セルジアス ~


風呂からでて布で髪を拭きながら私室の居間に移動する。

戸棚からグラスと酒を取り出しローテーブルにおく。

グラスに酒を注ごうとして、ふとミリアリアはどうしているかとおもい、座ったソファーから立ち上がった。

彼女の寝室の扉の前に行く。

扉を叩こうとして、しばし躊躇する。


溜め息を吐き出してから扉を叩いた。

すぐに返事はなかった。

もしかしたら、もう寝てしまったのかとおもい、扉から離れようとしたらいらえがあった。


「はい?」

「ミリアリア、まだ起きているなら、酒に付き合わないか」


また、すぐの返事はなかった。

やはりダメかとおもい、扉から離れようとしたとき、鍵を外す音が聞こえた。

扉が開きミリアリアが顔を出す。

彼女も風呂上りなのだろう、長い髪がまだ濡れていた。

そういえば、彼女が髪を下しているのをみるのも久しぶりだ。


「少しならお付き合いしますわ」


そう言って、居間に入ってきた。


~ ミリアリア ~


本当に久しぶりにゆっくりとお風呂に入ったわ。

お風呂から出ると、私付きの侍女であるサリアが、髪の水分を布で丁寧にとってくれたの。

完全に乾かなかったけど、今日はいいにして一人にしてもらったわ。

もう少し自分で拭いていると、部屋の扉を叩く音が聞こえたの。

めずらしいことがあるものだわ。

返事をしたらお酒を飲むのに付き合わないかといわれたの。

私は扉の所に行って、鍵を外し扉を開けたら、彼が目の前に立っていたわ。


「少しならお付き合いしますわ」


と言ったら、彼、微かに笑ったわ。


~ 二人の会話 ~


「ミリアリアは何にする」

「あなたは何を飲むの?」

「ブランデーを飲むつもりだ」

「私はリンゴ酒にするわ」


セルジアスは戸棚からグラスとリンゴ酒を取り出し、グラスに酒を注いだ。

それをミリアリアに渡すと、自分のグラスにもブランデーを注いだ。

グラスを軽く合わせるとそれぞれ一口ずつ飲んだ。


「やはり冷やした方がいいか。ミリアリアはどうする」

「私はこのままでいいわ」


セルジアスは戸棚から深めの器を取り出して魔法で氷を作り出す。

グラスに2個ほどいれて、そのまま静かにグラスを傾けた。

1杯目が空になりブランデーを注いだ。

ミリアリアは少しずつ舐めるように飲んでいた。

セルジアスはふぅーと息を吐き出していた。


「どうかなさいまして」

「ああ、いや。やっと家に帰ってこれたなとおもってな」

「そう、ですわね」


また、二人の間に沈黙が落ちる。

二人とも酒を飲みながらチラチラと、お互いを盗み見ていた。

ミリアリアが1杯目を飲み終わったとき、セルジアスも2杯目を飲み終わった。


「もう1杯飲むか?」

「ええ。待って、私がやるわ」


今度は、ミリアリアがそれぞれのグラスに氷を入れ酒を注ぐ。

二人が一口また飲んだところで、今度はミリアリアが溜め息をついた。


「どうした。何か気になることでもあるのか」

「・・・そう・・ね。あると言えば、あるわ」

「?」

「セリアと・・どう、接すればいいか、わからないのよ」

「めずらしいな。ミリーがそんなことを言うなんて」


セルジアスの言葉にミリアリアは彼を睨み声に棘を含ませて言った。


「どういう意味かしら」

「どういうもないだろう。今までだって、あまりセリアとかかわってこなかったじゃないか」

「・・・あなたには言われたくないわ」


思い当たることがあるのか、セルジアスはウッとうめいた。


「だが、そんなに気にすることもないだろう。王宮でも言ったが、セリアとは一からやり直しているとおもえばいいだろう」

「簡単に言ってくれるわね。それが出来ればこんなに悩んでないわよ」

「君がそんなにセリアのことを気に掛けてるとはおもわなかったな」

「どういうこと?」

「だって、そうだろう。今まではセリアが話しかけても適当に切り上げていただろう」

「そんなことは・・・」

「なかったといえるかい?」

「・・・そうね。確かに少しセリアのことを避けていたかもしれないわね」

「そうだろう」


3杯目を飲み終わったセルジアスは、また氷を足してブランデーを注いだ。

ミリアリアも2杯目を飲み終わり、リンゴ酒をグラスに注いだ。

それぞれまた一口飲むと、ミリアリアが話し出した。


「でもね、わざとセリアを避けていたのではないのよ」

「?」

「何と声をかけたらいいのかわからなかったのよ。だって、そうでしょう。あの娘がどうしてあんなに努力を重ねたのかわかっていたのよ。だから、本当はそこまで無理をしなくていいと言いたかったわ。止めたかったのよ。でも、でもね、そんなこと出来なかったわ。出来るわけないのよ。もし、そんなことをしなくていいと言ったら、あの娘は私に否定されたと思うかもしれないじゃない。私に拒絶されたと思われたらと、何も言えなくなってしまったのよ」



65話です。


ふふふっ。

やっと、この話にきました。

「月光の姫」が始まって早くに浮かんでいた話です。

話しなの。

はなし・・・。


ちょっとミリーさん。

最後の独白、聞いてないんですけど。

もう少し穏やかに終わるはずが、何故に?


はっ、これが、俗にいうキャラの暴走?


と、思ったところがきりがよかったのでここまでにしました。


前話の約束通り、続けて3話投稿しますので、少々お待ちください。

では、次話で。


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