5-3 彼女の言葉を実践する?らしい・・・です
そばで誰かの話し声がします。
ゆっくりと意識が浮上してきました。
まばたきをすると目尻から涙が落ちました。
「セリア、目が覚めたの」
お兄様が目を覚ました私の顔をのぞいてきて、手巾で涙をぬぐってくれました。
「おにいさま・・・」
「「セリア!」」
お父様とお母様がそばに来ました。
あれ、まだ、誰か、いるような・・・?
「気が付いてくれてよかったわ」
お母様は涙ぐまれています。
また、心配かけてしまったのでしょう。
「お父様、・・起こしてください」
お父様が抱き起してくれました。
部屋に居る人の姿が見えました。
「セリア、何か飲むかい」
「いいえ、今はいいです」
「でも、少し喉を潤した方がいいとおもうわ」
「じゃあ、すこしだけ」
お母様にお水を飲ませていただきました。
飲み終わった後、部屋に居る方を見ます。
お二人は私の方に近寄って来ました。
「気分はどうかしら、セリアテス?」
「眠ったからか、少しスッキリしました、王妃様」
「そう。それならよかったわ」
王妃様はニッコリと微笑まれました。
その横で複雑な表情をした国王陛下がいます。
どうしよう。言った方がいいのかな。言わない方がいいのかな。
あの言葉はアラクラーダ様から聞いた言葉だと思われているのよね。
だけど、なんて言えばいいのかな。
単純に違うじゃ、わかってもらえないし・・・。
「セリアテス、また、何か考えているわね」
王妃様に声をかけられました。
「無理に言葉にしようとしなくていいのよ」
「・・・でも・・・」
「それとね。あなたが、アラクラーダ様の神子だと決めてしまったわけではないのよ」
「えっ・・」
「だって、そうでしょう。まだ、あなたから、あなたの言う彼女の言葉を全部聞かせてもらっていないもの。でも、彼女があなたに伝えた「自由に」という言葉は尊重しなければならないものだわ。だから、あなたが家に帰りたいのなら帰っていいのよ」
王妃様は私の目をじっと見ながら言葉を続けます。
「ただね、ゆっくりでいいから、彼女から聞いた言葉を教えてもらえないかしら。あなたが教えてくれた言葉は、もう王宮で実践することが決まったのよ」
はい?なんのことでしょう?
私が教えたことば?
わからなくて首をひねります。
王妃様がクスクスと、笑い出しました。
「そうね、セリアテスにはわからないわよね。当たり前の考えと言っていたものね」
「・・・」
「散々ウルバーン医師に言われたでしょう。貴族的でない考え方と。そうね、具体的に言った方がわかるかしら?まず、私と話した時に「怪我をしたのは偶然の事故で誰の責任ではない」といったわね」
確かに言ったので頷きます。
「それから、フィリナ嬢と話していて「子供のことに親がでてくるのはおかしい。本人同士が話し合って解決すること」と言ったわね」
「・・(言い方がちょっと違うけど)はい、言いました」
「それから、その後のフィリナ嬢にした提案もすばらしかったわ。罰を与えるのでなく手伝いをしてもらうだなんて。相手の気持ちを思いやるなんて、今まで高位貴族は下位貴族にしたことはなかったわ」
「えっ、それは(じゃあ、平民にはもっと横柄にふるまっているってこと?)・・・」
「権威の使い方を考えさせられたわ。確かに高位貴族が下手にでると侮られることになりかねないけど、だからって高圧に振る舞うものではないものね。「権力をかさに着た弱い者いじめ」になってしまうもの」
王妃様は国王陛下の方を見ました。
「あと「国の方針次第で一番迷惑するのは国民になる。その国民を守る立場の貴族が権力を振りかざして、自分より弱い立場の者に強要するのは違う」というのもいい言葉ね。国民のことをよく考えているわ。最近は各国との関係ばかりに目がいきがちだったから、この国のことをよく見直そうということになったのよ」
なんか、大事になっているんですけどー。
「ああ、それから、「うれしくて、感謝したいと思ったら、お礼をいうのは当たり前のこと」という言葉もとても素敵ね。これも推奨することになったわ。感謝をされて嫌な気持ちになる方はいないのですもの」
もう・・・コメントしたくないです。
なんで、メイドさんに言った言葉まで・・って、ああ、報告かぁ~。
う~ん、でも・・・あー、もう。
いいわ。この国がよくなるのなら。
って、ことで、あとは知りません。
「あー、それとね、セリアテス、解るのなら教えてほしいのだけど「公序良俗」ってどういう意味かしら?」
え、知らないのですか。
というよりこの言葉がないの?
「えーと、たしか、おおやけの秩序と善良な風俗。だったと思います」
「公の秩序と、善良な風俗ね。そう」
王妃様はそれはそれはすばらしい笑顔を浮かべられました。
「うふふふ。公序良俗。いいわ。公の秩序に、善良な風俗。ふふふっ。これを、広めるには・・・」
なにやらブツブツつぶやかれてしまいました。
57話です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
国王の存在感がなくなっていっているような・・・。
では、次話で。




