5-1 体調不良の情緒不安定・・・です
うーん。
身体が重いです。
起き上がれません。
何、この体力のなさ。
もう。
なんか、泣きたくなってきました。
朝のテンションとしては最悪です。
熱のせいなのか身体がいうことをきいてくれません。
メイドさん達も慌ただしく動き回っています。
連絡がいったのか家族が部屋にきました。
みんなでかわるがわる額に手を当てます。
「熱は高くないが、起きれないのか」
お父様に問われて頷きます。
「でも、何か飲みたいです」
お父様が抱き起してくれて、お母様が水を飲ませてくれました。
また、ベッドに寝かせようとするので、お父様に抱き付きました。
お父様は驚いたようですが、お母様と顔を見合わせました。
「どうしたのセリア」
「一緒に・・いたいです」
あれ、涙声?と、思ったら涙が落ちました。
おかしいな。なんか、情緒不安定です。
お父様に抱かれた私をお母様もギュッと抱きしめてくれました。
連絡がいったのでしょう、ウェルナー医師がロンテス医師を連れてやってきました。
つい、また、睨んでしまいました。
目覚めてから、いろいろ起こって頭が整理しきれなくて、熱を出したのでしょう。と言われました。
朝食は食欲がなくて果物を少し食べました。
みんなの心配そうな顔が目に入りますが心も身体もいうことをきいてくれません。
お父様が執務室に行くのを邪魔してしまいました。
お父様の服をつかんで離さなかったのです。
お母様とお兄様が私をなだめて、やっと手を離しました。
それからは、お母様とお兄様に挟まれてソファーに座っています。
しばらくしたら、お父様、国王陛下、ウェルナー医師、ウルバーン医師、魔術師長、宰相、学者がいらっしゃいました。
私はお兄様の体に腕を回して抱きつき、部屋に来た方々を睨みつけます。
えー、みなさま、ちょっと、怯みました。
みなさまの視線が国王陛下に向かいます。
「セリアテス嬢、体調が悪いところをすまないが、少し話をさせてくれ」
私は無言で国王陛下を睨み・・・見ます。
陛下が気まずそうにしていますが、じっと見つめます。
どれくらいそうしていたのでしょうか?
「いつまでそうしているおつもりですの?」
王妃様がローザ様、マイン様、フィリナ様を連れて部屋に入ってきました。
皆様を一瞥しました。国王陛下が怯んだのがわかりました。
ローザ様、マイン様、フィリナ様は部屋に入ると私が座っているソファーの後ろにきました。
三人の手が私の肩に触れてきます。
王妃様は向かいのソファーに座られました。
「セリア、具合が悪いのですって。寝ていなくていいの」
「・・・寝ているより、起きていたいです」
「そう。つらいところ悪いけど、少し話を聞かせてもらってもいいかしら」
王妃様をじっと見つめます。
王妃様は目元に笑みをたたえて私を見ています。
コクンと頷きました。
どなたかホウッと息を吐き出されました。
魔術師長が話しかけてきました。
「君が昨日話していた彼女について聞きたいんだがいいかな」
私は魔術師長をジッと見つめました。
魔術師長は困ったように私を見つめています。
王妃様が嘆息し私に話しかけてきました。
「セリア、昨日ウルバーン医師と話して言っていたでしょう。夢に出てきた女性のこと。そのことをね、聞かせてほしいのよ。昨日の話だけではよくわからなかったの」
言いたいことが分かったので頷きます。
「その女性の名前はわかるかしら」
わからないので首を振ります。
「では、その彼女に見せられた世界というのはどんな世界なの」
「・・・・・」
「この世界と常識が違うと言っていたわね。確か、身分に差がなく、貴族社会の身分制度の無い世界とか」
「・・・・」
王妃様は困ったように首をかしげて微笑まれました。
「ごめんなさいね。言葉にするのが難しいといっていたわね。まだ、整理できてないのよね。それなのに矢継ぎ早に質問をしてしまったりして。具合も悪いのに酷なことをしたわ。でも、一つだけ答えてほしいのだけれどいいかしら」
なんのことでしょうか?
首をかしげて王妃様を見ます。
王妃様は微笑んでいます。
「セリアはその女性に言われたことはないと言っていたけど、本当に何もなかったのかしら。何か望みを言われてはいないかしら」
王妃様を見つめながら考えます。
「・・・じゆうに・・」
「自由に?」
「・・・なにも・・・しばられずに・・・いきて・・・ほしい・・・と」
彼女が家族とやり取りした中で言われた言葉が、口から出てきました。
誰かが、ハッと息をのみました。
「そうなのね。わかったわ」
王妃様は顔中笑顔にしていわれました。
55話です。
セリアちゃんの様子が・・・。
口もききたくない位嫌ってます。
・・・のではなくて、口をきくのが億劫です。
体調不良の時ってそんなことありますよね。
あと、お兄様にコアラのセリアって可愛いよね。
侍女さんとか、お母様とかツボってます(笑)
ここまで読んでいただきありがとうございました。
では、次話で。




