4・5 今夜も・・・検証を・・・するの・・です
喉が渇いて目が覚めました。
ですが、身体がだるくて動きたくありません。
「うーん、みず」
ありゃ、声が出てしまいました。
「セリアテス様?」
小声で呼びかけられ、誰かがそばに来ます。
手燭を持っているのか明かりが近づいてきます。
あれ、今まで夜中に目があいたときに誰かがいる気配はしなかったよね。
まさか、もう、見張りがついたの?
「どうされましたか」
私の顔をのぞきこんだのは見たことがある女性です。
あ、リンゴの皮を剥いてくれたメイドさんです。
「のどが・・・かわいて・・めが・・さめました」
「少しお待ちください」
手燭を置き、サイドテーブルに置いてある水差しからコップに水をいれてくれてから、身体を起こすのを手伝ってくれました。
水をコップの半分ほど飲みました。
ベッドに横になるのも手伝ってくれました。
「ありがとうございます」
メイドさんはニッコリ微笑まれると言われました。
「いえ、何かほかにございませんか」
「あー、はい。ほかは、大丈夫です」
「そうですか」
布団をかけなおすと「失礼します」といって額に手を当ててきました。
手が冷たくて気持ちいいです。
「まだ、少しお熱がありますね。額に手巾をおのせしてもよろしいですか」
「はい。お願いします」
少し離れたテーブルに水を入れた桶がありました。水で濡らした手巾を絞って額にのせてくれました。
「気持ちいいです。ありがとうございます」
「いちいちお礼を言わなくてもいいのですよ」
「?感謝の気持ちはその場で言わなければ伝わりませんよね」
「いえ、当然のことをしていますから」
「でも、私はお世話していただいてますし」
「それが私たちの仕事ですから。それに、セリアテス様は公爵令嬢でございます。その方のお世話をするのは当たり前のことでございます」
「それでも・・・うれしくて、感謝したいと思ったら、お礼をいうのは・・・当たり前のことだとおもうわ」
「まあ。こちらこそありがとうございます」
やはり・・・貴族的な考えってできそうにないわー。
日本人の小市民的考え方だったかしら?
お礼をいうのは当たり前っていうのは。
ん、と、あー、そうなんですね。
熱を出した私についていてくれたんですね。
また、お礼を言ったら変な顔されるかな。
「では、私は控えの間にいますので、御用がおありの時はそちらのベルでお知らせください」
私に一礼してメイドさんは部屋を出て行ってしまいました。
あー、はい。丁度様子を見に来たら私が目を覚ましていた、ということだったのですね。
了解です。
さて、喉も潤ったことですし、昼間気になったことを考えますか。
そうそう、ゲームのことだったよね。
まずは・・・学園名。
違うね。違ったよね。
初代国王陛下から名前をいただいた「ファランクルス学園」ってなに?
ゲームの学園名の「魔法学園クルセイダー」っていうのも微妙~だったけどさ。
では次。
おっかしいな。
お兄様は攻略対象じゃないの?
侯爵家嫡男だったよね。攻略対象者って。
家は公爵家だし、ゲームの世界じゃないのかな?
うーん。でも、お兄様のスチルをみたような・・・。
・・・?!
あーーー。
セリアテスに近い侯爵家嫡男いるじゃん。
お父様の弟の息子。あそこ侯爵家だったよね。
あれ、じゃあお兄様は?
何か忘れてるような・・・
テンプレの・・・
よくあるパターンの
・・・って、ああ、そうでした。
一通りやった後に出てくる隠しキャラだったわ。
制作サイドはお兄様が一番思い入れがあるキャラだと言っていたわ。
セリアテス同様、全キャラクターに関わっていたものね。
隠しキャラにするつもりはなかったともいっていたわね。
はぁ~。思い出すんじゃなかったわ。
私・・・いえ、彼女は、ミルフォード・カイセル・フォングラムのことが一番好きだったのよ。
誰の時にも現れて、フォローは完璧で、優しいミルフォード。
なんで、攻略対象じゃないのと。
隠しキャラとして現れた時にはうれしくて、うれしくて。
全部のスチルを見たくてがんばったのよ。
隠しキャラなだけあってお兄様はとっても手強かったのよね。
想いが通じた時にはすごくうれしかったわ。
なのに、なんで。
せっかく会えたというのに・・・。
ねえ、なぜ、私は妹なの?
52話です。
ぐすん。
思い出した・・・ゲーム?・・・のこと の回でネタ振りしたのに、気が付いてもらえませんでした。
きっと、変換間違いと思われたのね。
最後で、熱のためセリアちゃんてば、混同しちゃったねぇ。
では、次はおまちかね?(えっ、待ってない)王女様話です。
1話に収まるかな?収まらなかったら2話で。
それでは、次話で、会いましょう。




