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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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医師長話3 国としての方針は・・・

誰からともなく、ため息が漏れ聞こえてきます。

かくいう私も、大きくため息を吐き出しました。

王女様方の会話を息を殺して聞いていたようです。


「言われてしまったな」


国王陛下が苦笑交じりに言われました。


「そうですわね。娘達の方がよく見えて、よく解っていますわね」


王妃様の言葉に返す言葉はありません。

本当に、物事を難しく考えすぎていたようです。

王女様がおっしゃっていたことはフォングラム公爵が言っていたことと同じことを言っていらっしゃいました。


「それで、どうなさいますの」


王妃様がズバリ聞きました。

誰も答えない様に目を細めます。


「リングスタット王国初の神子様かもしれないセリアテスをどうなさいますの」

「・・・・・」

「神殿に連絡して神子かもしれない娘が現れたと伝えて、神殿の籠の鳥にしてしまいますの」

「・・・・」

「それとも国の利益につながることと、セリアテスを王宮に幽閉してその知識だけを活用しようとなさるのかしら」

「・・・」

「まさか、そんな面倒なことはごめんだと殺めてしまいますの」

「そんなわけあるかー」


王妃様のいいように陛下が大声を出されました。

あああ、王妃様も怒っていらっしゃいます。


「ではどうなさいますの」


また、陛下は黙ってしまわれました。

王妃様は溜め息をつかれました。


「どうして黙ってしまわれるのかしら。娘に解っていることがあなたには、お分かりになられないということかしら。フォングラム公爵も簡単なこととおっしゃいましたのに」

「頼むからあまりいじめてくれるな。情けなくなるから」

「あら、実際情けないですわ」


魔術師長が声に出さないように笑っています。


「まさか、陛下だけが情けないだなんておもってませんわよね。オットマー魔術師長」


魔術師長の肩がビクッとはねました。

魔術師長はしどろもどろに答えます。


「いえ、その、そんなことは思っておりません」

「王国の重鎮の方々が、7歳の娘に負けているのですもの。これを情けないと言わずして、何を情けないとおっしゃるのかしら」


本当に王妃様のおっしゃる通りです。これでは何も言えるわけありません。

王妃様はもう一度溜め息をつかれました。


「では、まず、セリアテスが「アラクラーダ様の神子」だとおもいますの?」

「それは、まだ、判断できん」

「そうですわね。私もそう思いますわ。もう少し話をきいてみるべきでしょう」


皆様頷いています。


「では「アラクラーダ様の神子」だった場合どういう対応をなさいますの?」

「難しいことではあるな」

「フォングラム公爵家としてはどうなさりたいですの」

「私は神子であろうとなかろうと、娘を手放す気はありません」

「神殿が何か言ってきたとしても?」

「はい。娘は今、何も知らない状態です。私達は家族として一からやり直しているようなものです。そんな状態のまま神殿に連れて行かれたら、いいように使われてしまうでしょう。私はそんなことは許しません」


フォングラム公爵は笑われましたが、・・・怖いです。ある種の凄みを感じます。


「では陛下、国としてはどう対応しますの」

「いや、まだ決まった・・・」

「娘達の期待を裏切るのですわね」

「そんなことは・・・」

「そう。この国の繁栄を神殿にかっさらわれてしまってもいいのですのね」

「ああー、もうー、分かった。分かったから。セリアテス嬢が「アラクラーダ様の神子」だったとしても、彼女の意思を尊重して守ることとする。これでいいな」


陛下の言葉に王妃様はそれはそれはいい笑顔をなさいました。

陛下としては事の真偽がはっきりするまで決定したくはなかったのでしょう。


その後、王妃様とフォングラム公爵夫人は部屋を出て行かれ、私達は話し合いを続けたのでした。


アラクラーダ様の神子と判断するには情報が少なすぎるとして、午後に彼女から話を聞くことになりました。

ですが、結局話は聞けずじまいとなりました。


あの後、セリアテス嬢は眠ってしまい、目が覚めたのは夕方でした。

それだけでなく熱を出されたと連絡が来ました。

すぐに診察に向かおうとしたのですが、彼女がウルバーン医師がくるのを嫌がっているというので、彼を連れていくなと言われました。

記録係としてクルック・ロンテス医師を連れて彼女の部屋に向かいました。


彼女を診察する時、うるんだ目で睨まれてしまいました。どうも印象を悪くしてしまったようです。

診察の結果は疲労による発熱でした。

熱を下げる薬湯を用意させると部屋を後にしました。


医務室に戻ると医師達に彼女の様子を伝えました。

ウルバーン医師は落ち込んでいるようです。

彼女に泣いて嫌がられたのが堪えたのでしょう。

自業自得とはいえ少し可哀相になりました。


王妃様がみえて、ウルバーン医師はセリアテス嬢とのやり取りを怒られました。


尚更落ち込んだウルバーン医師にかける言葉は・・・まあ、普通の慰めの言葉しかありませんでした。



51話です。


続けての投稿はこの話までです。


え~、今回ではっきりしました。

王妃様!最強です。


というより王様・・・何か残念臭がー。

魔術師長も王妃様に頭が上がらないみたいですよね。


いったい何をやらかしているのでしょう。


うふふふ、パウル君王妃様にも怒られてやんの。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

では、また、次話で。


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