表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
51/444

医師長話2 公爵の怒気と王女の言葉

フォングラム公爵の物言いに憤る方もいらっしゃいましたが、陛下が話されて静かになりました。


「これからの方針とは性急すぎないか。セリアテス嬢の言葉を吟味しているところではないか」

「ですから、それは後にしてください。方針が決まれば対応も決まってくるでしょう。出来れば妻を娘のそばに居させたいのですがね。本当なら一時でも離れたくないのですから、無駄話はやめてさっさと決めませんか」


確かにフォングラム公爵の言い分はわかります。ですが、無駄話はないでしょう。

国王陛下が溜め息をつき、おっしゃられました。


「気持ちはわかるが言い過ぎだ」


フォングラム公爵は一同を見まわし、頭を下げられました。


「それで、方針とはどういうことだ」

「簡単なことですよ。娘が「アラクラーダ様の神子である」と認めるか、認めないか。神子だったとしてどういう対応をするのか。神殿にはどう対処するかです」


それはまた、性急と言われても仕方がない、提案です。


「おいおい、フォングラム公爵。いきなりそれはないだろう。もう少し、熟考を重ねてだな」

「だから、それは後にして方針だけ決めてくれと言ってるんだ」


公爵の提案に魔術師長が苦言を呈しようとしましたが、公爵はみなまで言わせずトパーズの瞳を光らせてぞんざいな口調で言い放ちました。

国王陛下と魔術師長の顔色が青くなっていきます。

確か公爵を含めた3人は学友でいらしたはず。


冷汗が背中を伝います。

もしかしなくても、フォングラム公爵はとても怒っていらっしゃるのでしょう。

まあ、これまで話し合っても進展らしいものはありませんでしたから仕方ありません。

他の皆様も国王陛下と魔術師長の様子から、まずいと思われたようで誰も口を開きません。


し-んとした会議室に場違いな声が響きました。


『そろそろ、いいかしらね』


ローザ王女様の声です。

皆様周りを見回しています。もちろんここに王女様はいません。


『セリア、あなた、アラクラーダ様のことを聞いていないのよね』


そうです。遠話の魔道具です。まだ、つなげたままだったようです。

遠見の魔道具のスクリーンに目をやりましたが、部屋の様子は映っていますが、王女様方は映っていないので、部屋の中の別の場所にいるのでしょう。


『えー、アラクラーダ様というのは、この世界を御創りになられた、女神さまなのよ』

『女神さま?』

『それでね、何年かごとにアラクラーダ様に啓示を受けたものが現れると言われているのね』

『そうなんですね』

『・・・その神子には不思議なことがおこるというわ』

『そう・・・えっ?』

『たぶん、ウェルナー医師とウルバーン医師は、あなたに神の啓示があったとお父様達に報告しているとおもうわ』


図らずも彼女たちの会話を聞くことになってしまいました。

王妃様は国王陛下を睨んでいます。

フォングラム公爵も魔術師長を見て、いえ、睨みつけて魔道具を止めろと、無言の圧力をかけています。

圧力に屈したのか魔術師長が席をたちましたが、陛下が止めました。


「少し待て」


皆様陛下をいぶかしげに見ましたが、何も言いません。

王妃様とフォングラム公爵が陛下を睨んでいますが、陛下は真面目な顔でお二人を見つめました。

お二人も何も言わずに王女様方の会話を聞くことにしたようです。

しばらく間が開いてからセリアテス嬢の声が聞こえてきました。


『大げさですわ。私は神の啓示とやらは受けてませんもの』

『でもね、さっきの話を聞いていると疑いたくなるようなことを言っていたのよ』

『そんなことは・・・』


『まあ、私達が考えたって仕方がないことよね。どうこうできるわけじゃないしね』


『だいじょうぶなのです~。マインがまもるのです~』

『そうです。国王陛下が悪いようになさるはずありません』

『そうよ。大丈夫よ。もし、仮にセリアが神子だったとしてもね。何といっても、リングスタット王国初の神子様だもの。厳重に警戒態勢がしかれるとおもうわ』


『セリア、なんか変な事考えてないわよね』

『えっ、そんなことは・・・』

『あのねぇ、勘違いしないようにいうけど、もし、神子が見つかったら守るために厳戒態勢がしかれるのは当たり前なのよ』

『守るため?』

『そうよ。神子が伝えるアラクラーダ様の言葉はこの世界を導いてくれるのよ』

『えーと、導くって?』

『今まで神子が現れた国はいくつかあってね、その神子の言葉に従った国はすごく栄えたのよ』

『今までに何人もいたのですか』

『ええ、一番最近は120年前に隣国のグレスエッジ国に現れたっていうわ』

『そうなのですか』


『セリア、疲れたのでしょう。私達帰るからゆっくり休んでよ』

『・・・つかれましたが、まだ、皆様と一緒にいたいです』


この後の会話はアラクラーダ様や神子の話ではなくなったので、陛下は魔術師長に合図して魔道具を止めさせました。


50話です。


いつも読んでくださりありがとうございます。

いやー、ここまで続きました。


ブックマークをしてくれた方も300件超えました。

とてもうれしいです。

とても励みになっています。


これからもよろしくお付き合いくださりませ。


えー、パパが・・・静かにキレてました。

気持ちはわかるけど、事実確認は必要よね。


と、いうことで、次話で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ