4-5 何か・・・誤解を与えたみたいです・・・
ウェルナー医師とウルバーン医師はもう一度顔を見合わせると、立ち上がりました。
「セリアテス嬢。すみませんが、今日は家に帰ることを許可できなくなりました。これから私達は国王陛下方と話さなくてはならなくなりました。また、後程話を伺いにまいります」
「え、えっ、あの、待ってください」
二人して私に頭を下げると、私の制止の声も聞かずに、部屋を出て行ってしまいました。
えっと、何が彼らを慌てさせたのでしょうか。
やはり学園の話はもう少し後のほうがよかったのでしょうか。
「セリア」
「セリアおねえさま」
「セリアテス様」
ローザ様、マイン様、フィリナ様が私のそばにきてくれました。
なんでしょう、3人の顔の表情が複雑です。
マイン様は私にギュッと抱き付いてきました。
マイン様を抱きしめながらローザ様に話しかけました。
「ローザ様、私、何か変なことを言ったのかしら?」
「セリア。・・・別にあなたは変なことを言ってはいないとおもうわ。ただね、・・・ううん、もし・・・彼らが考えた通りなら、大変な事には、なるでしょうね・・・」
歯切れ悪くいうローザ様はめずらしいです。
「悪いことがおこるのですか」
「・・・う~ん。悪いことでは、ないとも言えないし、いいこととも言えないし・・・」
「ローザ王女様、セリアテス様はアラクラーダ様のことをご存じないのでしょう。言葉を濁さずお教えしないとわからないと思います」
「あら。・・・そういえば、そうよね。・・・じゃあ、お茶を飲みながらお話をしましょうか」
メイドさん達が素早くお茶の準備をしてくれました。お菓子や果物も食べやすいようにカットされて並びます。私がおいしいと言ったからかリンゴとブドウは必ず用意してくれてます。
って、ブドウの皮を剥いてスプーンの上にのせてくれているではないですか。
うふふっ、これは必ず食べなければ。
「うん。甘いです」
口に含んで甘さを堪能します。うれしくて笑みがこぼれます。
あー、うん。皆さんいつもの反応ですね。
なんですか?そんなに食べる姿が・・・って。
はぁ~、わかりました。
私ってモフモフ達みたいな小動物的立ち位置なんですね。
真っ白ニャンコやしっぽふさふさワンコ。
つぶらな瞳で見上げられた日にはだきあげて頬ずりして・・・。
という、立ち位置だったのですね、私は。
鏡で見た時にとってもかわいいと思ったから、皆もそう思ってくれているとおもったのに・・・。
まさか、ペット的に見られていたなんて。
いいんだもん。ペットでもいいんだもん。
おもわず現実逃避をしてしまいました。
「セリアは本当においしそうに食べるわね」
「だって、おいしいのですもの。これは、初めてみますけど何という名前ですか」
「ライチというのです~」
「どう食べればいいのかしら?」
「今、皮をお剥きしますので少々おまちください」
「これは、なにかしら?」
「サクランボよ」
「こちらもお切りしますね」
リンゴとブドウ以外にも色々な果物を食べました。
もう、驚きです。この世界の果物はあちらよりかなり大きめです。リンゴはあちらと変わらないくらいですが、他はどれも一回り以上大きいです。サクランボが直径7センチなんて大きすぎでしょう。でも、食べてみるとどれも甘くておいしいです。
果物は・・・いいのですが、お菓子は・・・。
見た目も味もいまいちです。
あの世界のようにとは言いませんが、もう少しどうにかならないのかしら?
甘味が貴重なことはなんとなくわかったのですが、まさか甘味を強くしたお菓子が、貴族のステイタスなんて言わないわよね。
「そろそろ、いいかしらね」
ローザ様がきりだしました。
おっと、そうでした。お話し、お話し。
「セリア、あなた、アラクラーダ様のことを聞いていないのよね」
首をかしげることで、知らないと伝えました。
って、ローザ様、同性なんだから、慣れてくださいよ。
赤くならないでください。
「えー、アラクラーダ様というのは、この世界を御創りになられた、女神さまなのよ」
「女神さま?」
「それでね、何年かごとにアラクラーダ様に啓示を受けたものが現れると言われているのね」
「そうなんですね」
「・・・その神子には不思議なことがおこるというわ」
「そう・・・えっ?」
ローザ様は溜め息をつかれました。
「たぶん、ウェルナー医師とウルバーン医師は、あなたに神の啓示があったとお父様達に報告しているとおもうわ」
47話目です。
あはははははー。
はぁ~。
神子フラグ立ちました。
フラグはね、早めに折ったほうがいいと思うのよ。
回避できるといいね、セリアちゃん。
ということで、次話で会いましょう。