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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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4-3 想いは・・・みだれて・・・

ウルバーン医師の言葉にとても驚きました。

それと共に納得もしました。

だから、彼は私を観察していたのだと。


でも・・・。

えっ?人格乗っ取り?何を言っているの。

確かに彼女の記憶のせいで、・・・あー、影響されて?

考え方が変わったかもしれないけど、私は私よ。 

彼女じゃないわ。

そうよ。

私は私(・・・)なのよ。


キッとウルバーン医師をにらみました。


「人格の乗っ取りだなんて、穏やかでない言い方ですわね」

「そう考えるほうが自然だとおもいませんか」

「・・・私は誰かに取って代わられたりしてません」

「記憶がないのになぜわかるのですか」


言い返す言葉が見つかりません。

彼女のことは言う訳にはいかないという思いと、言ってしまいたいという思いがせめぎ合います。

涙が浮かんできましたが、そのままにらみ続けます。


「・・・でも、・・・本当に・・・私は・・・」


ああ、泣くつもりはないのに涙があふれてしまいました。

声も涙声です。


バッターン


その時扉が音を立てるほどの勢いで開きました。

そこから3人の少女が入ってきました。


「あなたはセリアに何をしているの!」

「セリアおねえさまをなかすひとは、マインがゆるさないのです~」

「医師の方とはいえ、セリアテス様に言いがかりをつけないでください」


ローザ様、マイン様、フィリナ様が私とウルバーン医師の間に立ちはだかりました。


「申し訳ありませんが、王女様方。口出ししないでいただけますか」

「ウルバーン医師、あなたは誰に向かってそんな口をきいているのかしら」

「すみませんが、邪魔をしないでいただけませんか」

「あなた!私が誰かわかっているのよね」

「もちろんです。ローザ王女殿下。ですが、こちらは王命でセリアテス嬢と話をしているのです。この疑惑が晴れない限りセリアテス嬢は王宮をでることがかないません」

「そんな、ひどいわ」

「スクワーレ伯爵令嬢、あなたも静かにできないのなら、この部屋から出て行っていただきますよ」


ウルバーン医師の言葉に、3人とも絶句して立ち尽くしてしまいました。

彼女たちはメイドさんに促されて離れた椅子に座りました。

ウルバーン医師は何事もなかったように私に話しかけてきました。


「話が中断してしまいましたね。先ほども言いましたが、我々はセリアテス嬢が眠っている間に、他の人物と人格が入れ替わったのではないかと思っています。そうであれば、あなたのいろいろな変化に説明がつくのです。過去にそういう例もあります。あなたが誰かと入れ替わっていないというのなら、それを証明しなくてはなりません」


私は涙を流しながら、ウルバーン医師をにらみ続けました。

頭の中ではいろいろな思考が渦巻いています。

ウルバーン医師の言い分が正しいと認めている自分と、認めたくない自分。

私のためにウルバーン医師に食ってかかってくれたローザ様をうれしく思っている自分。


ううん。きっと隣の部屋にいて、こちらの様子をうかがっていてくれたのだわ。

私のピンチに矢も楯もたまらずに、この部屋に入ってきてしまったのだわ。

・・・なんて、幸せ者なのかしら。私は。


少しだけ・・・そう、少しだけなら話してもいいのかしら。

彼女のことを・・・。

最初から、隠し通すのは無理だったのよね。

ウルバーン医師には・・・疑われていたみたいだし。

それならば・・・。

そういえば、彼に夢を見なかったか聞かれたわね。

確か、私は「見ていたような気がするけど、思い出せない」と、答えたのだわ。


そうよ。これを誤魔化したから疑われたのよ。

じゃあ、夢ということにして・・・。って、本当のことじゃない。

まあいいわ。できるだけ、あたりさわりのないことを話すことにしましょう。


「・・・だって・・・」


思ったよりかすれた声がでました。メイドさんが改めて入れてくれたお茶を渡してくれました。

一口飲んでテーブルに置くと別のメイドさんが私の涙を拭いてくれました。

二人は私の世話が終わると少し離れて立ちました。

メイドさん達が私を見る時には気づかわしげに、ウルバーン医師を見る時は非難を込めたまなざしをむけています。

思考が落ち着いたのか、周りを見る余裕ができたようです。


さあ、反撃・・・?を、しましょう。


45話です。


転がっています。

おもいっきり転がっています。

ただいま目覚め編の転に入っています。


余談ですが、パウル君は・・・マイン様に敵認定されました。

・・・その話はでてきませんが・・・。

後日談、もしくは番外編で語れるかな?


言葉の迷路から抜け出しました。

書くペースが上がってきたので、毎日投稿できそうです。


では、次話で。


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