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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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魔術師長話2 明日のために準備をする・・・ぞ?

おー、やはりウルバーンが反対したか。


「反対と言ったか。理由があるのだろう」

「はい。昨日もいいましたがセリアテス嬢には、人格入れ替わりの疑惑があります」

「それを言っているのは、そなたと魔術師長のみだとおもうのだがな」

「はい。それも承知しております。ですが、この疑惑を放置したまま帰宅させるわけにはいきません」

「では、どうしろというのだ。疑惑が晴れるまで幽閉せよとでもいうのか」

「それは」

「おまちください、陛下」


私はレイフォードの言い方にカチンときたので会話に割って入ることにした。


「ウルバーン医師が、そのようなことを言う訳ないだろう。それよりも、なにか提案があっての発言だとおもうのだが」

「どうなのだ。魔術師長の言う通り、何か案があるのか」

「提案というほどではないのですが・・・。ですが、セリアテス嬢が目覚めてから今日までの言葉を聞きまして、人格入れ替わりがあったとしても、悪い人物に乗っ取られたわけではないようにおもいます。ですので、私に彼女と話をさせていただきたいのです」

「そなたは診察に行き、話をしているのではないか」

「いえ、私は主に記録を取っているので、話しに加わっていません」


隣でウェルナー医師長も頷いています。


「話をしたからといって」

「陛下!」


まだ何かレイフォードが言おうとしたが、遮らせてもらう。


「彼女が倒れてから今日まで、我々は何も手を打ててないだろう。ああ、少し待ってくれ。言いたいこともあるだろうが、私の話を聞いてからにしてほしい。今日までに我々が出来たことは見守るだけだった。彼女の変化の理由も記憶を失くしてしまったことについても、何もわかっていない。できたのは推測だけだ。その推測もありきたりなものばかりだった。ただ一人ウルバーン医師だけが、我々と違う観点から発言できたのだ。彼ならセリアテス嬢と話をすることで、我々が気付かないことにも気付けるかもしれないのではないのか」


私の言葉に皆黙り込んでしまった。

皆を見回していると、エリザ王妃と目が合った。

彼女は溜め息をつくと静かに話しだしだ。


「魔術師長のおっしゃることには、一理ありますわ。では、こうしませんこと。明日ウェルナー医師長の診察のあと、ウルバーン医師とセリアテスと話をするのです。それを私達も聞かせてもらうというのはどうかしら。確か遠話の魔道具がありましたわよね。それを使えばいいのではないかしら」

「確かにそれなら部屋まで押しかけることもないな」

「それと遠見の魔道具もありましたわよね」

「ああ、それも使えば会話の様子もわかるな」


それからの話し合いは早かった。セルジアスは少し渋っていたが、魔道具の設置を了承した。

自分も同席すると言ったが、セリアテス嬢が気付くかもしれないからと、こちらにいることになった。

ウルバーン医師とどういう風に話を誘導していくか話しあった。

大体の流れを決めて、あとはセリアテス嬢との会話次第ということにした。

最後に王妃から大きなくぎを刺されてしまったが、まあ、仕方がないことと、ウルバーン医師を慰めておいた。


「いいこと。あなたとセリアテスが話をすることは了承したけど、もし、あの子を泣かせるようなことをしてごらんなさい。必要なことだったとしても許しませんわ。お覚悟なさい」


うん。多分彼女を泣かすことになるのだろうな。

王妃は無理でも、セルジアスのことはまかせろ。


会議室を出たあと魔道具を設置するために彼女の部屋に向かう。

セルジアスが話しかけてきた。


「なあ、ヴィクトール。今回のことについてどう思っているんだ」

「どうって」

「人格が入れ替わっているかもしれないことだよ」


ずるいかもしれないけど質問に答えずに、先にセルジアスの考えを聞くことにした。


「お前こそどう思っているんだ」

「・・・私は・・・忘れてしまっただけだと思いたい」


まあ、父親としてはそうなんだろうな。


「お前・・・いや、魔術師長としてどうみる」

「おいおい、公式見解がほしいのかよ」

「そんなわけあるか」

「そうだな。すまない」

「それで?」

「私は人格が入れ替わったとは、思っていない」


私の言葉にセルジアスは驚いた顔をしている。

いや、自分で言っておきながら、自分に驚いている。


「では?」

「ああ。セリアテス嬢は何かを隠しているのではないかとおもう」

「何かとは?」

「それは、わからん」

「・・・記憶喪失については?」

「たぶん、記憶がないのは本当だろう」

「・・・そう思っているのなら、なぜ言わなかった」

「言わなければならんことだったか」

「・・・いや。そうだな。お前の立場じゃ軽々しく言えないな」


わかってくれたようだ。

明日の会話で何か糸口がつかめるといいなと思いながら魔道具を見つかりにくいところに設置したのだった。




42話です。


いつも読んでくださりありがとうございます。


今回は楽しく書けました。


補足 です。

国王とフォングラム公爵と魔術師長は同い年の悪友です。

学生時代は3人でやんちゃしてました。


あと、魔術師長は独身です。


では、次話で。

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