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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
425/444

26-5 領地へ・・・すんなり出発は出来ません その2

さて、フォングラム邸を出発前に少しゴタゴタがありましたが、皆様馬車に乗りこみました。


一台目の馬車にはおじい様、おばあ様、お父様、お母様。

二台目の馬車にクラーラお姉様、ローラントお兄様、オスカーお兄様、ミルフォードお兄様と私です。

三台目の馬車にはジークフリート伯父さまとカテリア伯母様、それから何故かオットマー先生です。

四台目は空の馬車です。こちらはキャバリエ家の馬車で、どうやら伯父様たちが二台に別れることが出来るように、持ってきていたようでした。


それから侍女たちが乗る馬車が三台と、荷馬車が三台あります。侍女たち用の馬車はクリスさんが行くことになったので一台増えることになりました。

えー、イアン料理長は・・・荷馬車に乗っていくそうです。


えっと、これって普通ですか? 十台の馬車が連なるのって・・・。


それに護衛の方々が騎馬でつくので、人数がすごいことになっていますけど?


あっ! そうでした。ジーク伯父様たちはサンフェリス国の王太子一家でした。これくらいの護衛の数は普通のことですよね。


「セリアテス、これで護衛はすべてじゃないよ」


私が騎乗した護衛の方々のことを見ていたら、ローラントお兄様が言いました。クラーラお姉様も笑顔で言いました。


「そうよ~。アーマド叔父様が率いる一隊がまだよね。どなたがつかれるのか、楽しみだわ」


馬車がゆっくりと動き出し、門へと差し掛かったところで、いったん止まりました。少しして騎馬のままアーマド叔父様が私たちの馬車へと来ました。


「おはようございます、セリアテス様。ただいまより、フォングラム領への旅程及び滞在期間、並びに王都ご帰還まで警護につかせていただきます」

「おはようございます、アーマド叔父様。お役目ご苦労様です」

「クラーラ姫、ローラント王子、オスカー王子。ご同道をよろしくお願いいたします」

「ええ、こちらこそですわ。何かあった時は、私たちよりもセリアテスをお願いね」

「何を言うか。もちろん可愛い姪、甥たちに、手出しをさせるわけがないだろう」

「叔父上、口調が崩れてますよ」

「ローラント、形式ばった話し方がいいのなら、そうするが?」

「もちろんいつもの話し方がいいですよ。でも、今は」

「大丈夫さ、オスカー。ここはフォングラム邸内だろ」

「相変わらずですね、叔父上は」

「まあな、ミルフォード。性分だからな。それじゃあジークフリート殿に挨拶をしたら出発するからな」

「「「「「わかりました(わ)」」」」」


アーマド叔父様は後ろへと行き、すぐに前へと戻って行かれました。門を出ると、あらかじめ決めていたようにアーマド叔父様の隊もフォングラム家の護衛と、サンフェリス国の騎士隊の間に入ってきました。私たちの馬車に並ぶ騎馬に見知った姿を見つけて、私は目を丸くしました。


「あれは・・・」

「どうしたの、セリアテス」

「隣に並んでいる方は、ローゼンメラー様ですよね」

「ああ、本当だね」

「ローゼンメラー様は隊を移られたのでしょうか」


ローゼンメラー様は近衛第6師団団長といっていました。今回の護衛にいるということは、新しく作られた女神様の愛し子のための隊に移動したということなのでしょうか。


「違うんじゃないかな」

「そうね。私もそう思うわ」


ローラントお兄様とクラーラお姉様が、思案しながらそう言いました。


「どうしてそう思うのでしょうか」

「だってねえ」

「ええ。これまでのあれこれなどを考えると、新しい隊に回せる人員はそう多くないと思うのよ。もともと聖騎士候補になった人達は、身元がしっかりしていてそれなりの実力がある人達のはずよね。でも神殿側の聖騎士候補も出るだろうから、その兼ね合いもあって多くの人員は選ばれていなかったでしょう。今回急遽新しい隊という形になってしまったから、人数を揃えるためにも補完された人たちは、身元がわかる人優先で選ばれたはずよ。それにセリアテスが女の子なのだから女性の師団であるローゼンメラー様の団から、多くの人数を出していてもおかしくはないでしょうね」

「・・・えっと、まさかですけど、ここに居らっしゃる人以外にも、もっと多くの人数が割かれているのでしょうか」

「そうでしょうね」


お姉様の返事に驚いてしまいました。横に座るお姉様から向かいに座るお兄様たちへと視線を向けると、皆様渋面を作っていらっしゃいます。


「やっぱり浮かれ過ぎていたかな~」

「仕方がないよ、オスカー。それよりもこのままいくと、すんなり王都を出られるかどうかだよね」

「ローラント、やはり無理ですかね」

「まあ、覚悟するしかないかな、ミルフォード。そのためのこの人員だろ」


お兄様たちが意味ありげに頷き合います。どうやらわかっていないのは、私だけのようです。隣のお姉様も分かっているように頷いていますから。


「大丈夫よ、セリアテス。最悪の場合は、あなたの一言で片付くのだからね」

「私の一言って・・・どういうことですか」

「そのことは、説明するより見た方が早いよ」


そろそろ市街地・・・ではなくて、貴族街から一般の方々が暮らす街へと入った辺り・・・らしいです。先ほどから歓声らしき声が聞こえているように思っていたのですが、どうやら間違いではなかったようです。


・・・って、まさか、これって私が領地に行くことが、バレていたってことですかー!



424話。

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