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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
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25-13 別の意味で・・・不穏な話?

とりあえず、怒れるジーク伯父様を宥めて、場所を移しました。応接室です。もちろんイアン料理長と侍女のクリスもいます。


それぞれ座っておりますが、お母様は気まずそうに体を縮こまらせています。


「ミリアリア様」

「はい」


イアン料理長に声を掛けられてお母様はピシッと背筋を伸ばして返事をしました。


「セリアテス様に口止めをしたのではないのですか?」

「ごめんなさい。あのあと、ポタージュに心を奪われてしまって、口止めをするのを忘れてしまったのよ」

「そうですか。わかりました」


あー、私から身元がバレたとイアン料理長は気がついたのですね。


「イアン料理長、ごめんなさい。私が余計なことを言ったばかりに」

「いいえ、セリアテス様。きっと潮時だったのですよ。ジークフリートが王太子になることが決まったことですし、私を探すことを止めさせるのにいい機会だったのです」

「それ! 兄上が見つかったのですから、私は王位を継ぎません。ベルンハルト兄上の後は、イアソート兄上が継ぐべきです」


ジーク伯父様が立ち上がって言いました。


「そうです。一緒にサンフェリスに戻りましょう。ベルンハルト兄上も、イアソート兄上が見つかったと知れば、喜ばれます」

「ジークフリート、それは出来ない話だよ。仮に私が戻ったとしても、結局はジークが跡継ぎなのは変わらないだろう」


イアン料理長が穏やかな声で言いました。


「どうしてですか。歳の順から言っても兄上が継ぐべきですよね」

「ジークフリート、聡明なお前がわからないはずはないだろう。私が今更現れても、国民は納得しないだろう。それにベルンハルト陛下の後を私が継いだとしても、結局はジークフリートかローラントへと、継がれることになるだろう」

「兄上の子供が跡を継げばいいじゃないですか」


ジーク伯父様の言葉に、イアン料理長は口元にほろ苦い? 笑みを浮かべました。


「私には妻も子供はいないんだよ。ジークフリート」

「それならば、王位を継がれた後、妃を娶れば」

「ジーク! いいかい、よく聞くんだ。私には子供を作ることが出来ないのだよ。そのことが分かったから、キャバリエ公爵家をお前に任せたのだ」

「そんな・・・。何かの間違いではないのですか」


ジーク伯父様の問いに、イアン料理長は首を振りました。そして。


「ついでというわけではないけど、お前に覚悟を決めてもらうためにも、サンフェリス王家について話しておこう」


と、イアン料理長は言いました。


そこからの話は・・・えー、私が聞いていい話だったのでしょうか。本来なら他国の者が聞いていい話ではない気がします。でも、イアン料理長は気にした風もなく話し出したのです。


一応ところどころ割愛はされていたようですが、それでも、それでもですね、子供に話す内容ではないですよね。



イアン料理長の話は、まずベルンハルト陛下とジークフリート伯父様との関係からでした。・・・そうなのです。お二人は親子・・・だそうです。

ええ、ベルンハルト陛下は49歳でジークフリート伯父様は34歳です。15歳で成人となり婚姻も可能ですので、あり得る年齢差ですよね。なのに、なぜ子供ではなく弟としたのか。


ベルンハルト様が王子だった頃、ベルンハルト様が好きになった女性がいました。ベルンハルト様より3歳年上で、王妃様(ベルンハルト陛下の母上)のところに侍女として仕えていたそうです。王妃様も彼女を気に入っていて、伯爵家の次女ということもあり、ベルンハルト様の妃となっても遜色がなかった方だったそうでした。

ですが、彼女の実家・・・当主である父親が不正をしたことが発覚し、処罰されてしまいました。そんな家の者が将来の王妃には相応しくない・・・それ以前に、彼女には王宮に勤める資格はないと追放されたそうです。

ですが、彼女の家の不正に疑問を持っていた国王、王妃が、彼女を離宮へと匿いました。そこに移ってしばらくして、彼女の妊娠が発覚。生まれた子供の特徴からベルンハルト陛下の子供で間違いないということになったそうです。女性は・・・子供を出産したあと、しばらくして亡くなってしまったそうです。

王妃様は彼女の妊娠がわかってから、たびたびその離宮へと行っていました。なので、子供・・・ジークフリート伯父様を自分が産んだ子供として、王宮へと連れて戻ったのでした。


彼女の父親の不正は、やはり嵌められたものでした。父親に罪を着せるために不審な行動をとらせていたようです。その者たちを断罪できたのは、事件から10年が過ぎていたそうです。その頃にはベルンハルト陛下が王位を継いでいました。

黒幕は・・・ベルンハルト陛下の妃となられた方の祖父でした。お妃様は何も知らなかったそうです。ですが、祖父が行ったことは彼女を王妃にするための行動だったと知り、お妃様自ら毒杯を仰ぐことを願い出たと言います。

ベルンハルト陛下は・・・すぐには許可をしなかったそうです。お妃様との間には子供が一人いて、その子はまだ小さかったから・・・だそうでした。


結局ベルンハルト陛下のお妃様は、それから5年後に病のために亡くなられたそうでした。



411話。


さあ、サンフェリス王家の闇(笑)の話になってきました。

なるべくさっくりいきたいと思います。

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