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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
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25-11 楽しい夕食・・・に相応しくない話?

ただいまは、フォングラム家とキャバリエ家で夕食を食べています。もちろん席はくじ引きで決めました。私の右隣りはジーク伯父さまで、左はクラーラお姉様です。そのお姉様の隣に初めてファラント・オブライン様も同席しています。


ファラント様は最初は固辞していたのですが、近い将来にクラーラお姉様と婚姻をなさるのだからと、おじい様が強引に席に着かせたのでした。


というか、このくじ引きはやる意味があったのでしょうか。だって、私の隣を誰にするというものだったのですもの。それもキャバリエ家限定で。なので私の向かいにはカテリア伯母様、その両隣にローラントお兄様とオスカーお兄様が座っています。あとは、お父様とお母様が並んで座り、おじい様とおばあ様は向かい合うように、ミルフォードお兄様はオスカーお兄様の隣に座られています。


そして食事をしながらお話をしていますが・・・あまり楽しくない話が続いています。というより、先ほどの話の続きではあるのですけど・・・。


おじい様とおばあ様、お父様は王宮から帰ってきてから、着替えていなくて。なので、もう少し話が長くなりそうだということで、着替えに行かれました。


おじい様たちが戻ってくるのを待っている間は、領地で何をしようとか、領地の館には何があるのかという話を聞いていました。なんでも前にも聞いた温室はかなり大きいらしく、その植物たちは見ごたえがあるそうなのです。今からすごく楽しみです。


というわけで、先ほどの続きです。


「とりあえずリドカイン様の思惑など、探りようもないからの。そのことを考えるのはやめにしようぞ」

「そうですね。それでしたら、もう少しセリアテスに説明をした方がいいでしょうか」


おじい様の言葉にジーク伯父さまが同意を示しました。


「そうじゃのう、それではうちと王家の入れ替えに、意味がないことについて話してやろうかの。わしの妹がキュベリックに嫁いでいることは知っているじゃろ。もともとは公爵家に嫁いだと言うても、今は王妃となっておる。それにカテリアもサンフェリスの王太子妃になってしもうたじゃろ。他の国のやつらは、そこを突いてくるじゃろうの」

「どうしてですか。王家同士の婚姻は行われないと言われましたよね」

「だからじゃよ。実家であるフォングラム家が、入れ替わって王家になってしまえば、王家同士の婚姻が成り立つじゃろ」

「あっ。で、でも、それって、屁理屈のような・・・」

「まあ、そういうもんじゃよ。ただの、そうなると一番セリアテスの婚姻相手として、相応しいと思われるところがあるじゃろ」

「えー、と、やはり第1聖王家のフォンテインですか」

「優先権を主張するのなら、そうなるじゃろ。だが、それは無理じゃの」

「それは王太子様がもう結婚をされているからですか」

「ほおー、よく知っておったの」

「おじい様、ランベルク様が私に求婚した時に話してありますの」

「そうかの、ランベルクのクソガ・・・ゴホン」


クラーラお姉様が説明をされましたら、おじい様は不穏な言葉を言いかけました。えーと、聞いてないです、私は。うん。


「女神様の愛し子を王家に望むのであれば、王妃しかあるまいと思う輩は多いじゃろ。じゃが、フォンテインの王太子はもう王太子妃を迎えておる。子供まで成しているのに、離縁はあり得んしの。無理にフォンテインに娶りたいのであれば、第2王子か第3王子と婚姻が成り立つのじゃが、それでは王妃には成れん。セリアテスを王妃にとしたければ、王太子に理由をつけて廃嫡するしかないのう」

「でも、それじゃあフォンテインは荒れるだろうね。王太子様は人望があるって聞くもの」


オスカーお兄様が茶化すように割り込んできました。


「そうじゃ。そんな綱渡りをフォンテインの王がするとは思えんの。そして、聖王家はほぼフォンテインと同じ状況じゃ」

「同じですか?」

「ニアンガラ、マルズーク、オシヴェロの3家とも、セリアテスと歳が近い王子はおらんからの。キュベリックについては・・・まあ、言わんでもわかるじゃろ」

「はい。あれ、でもシャンテルはどうなのですか?」

「・・・シャンテルかー」


何故かおじい様は言い淀んでいます。大人の方たちは表情から笑みが消えました。


「あそこは第1王子が12歳で第2王子が8歳だったよね」


空気を読まずにオスカーお兄様が言いました。・・・つまり私と丁度いい年の差といえます。


「だけどさお爺様、そういうことに関しては、前提が違うよね」

「前提が違うってなんですか、オスカーお兄様」

「だってさ、決定権はセリアテスにあるんだよ。リドカイン様が言いおいていったからって、向こうに決定権があるわけじゃない。女神様もセリアテスの気持ちが一番だって言ってくれたじゃないか」


オスカーお兄様が不敵な顔でそう言い、隣のミルフォードお兄様も同意するように頷いています。


「確かにそうだ。だがそれでも、セリアテスから言質を引きだそうと、様々なことを仕掛けてくるだろうとは、予想が出来るだろう」

「父上、解っていますけど、もうこの話はいいにしませんか。まだ先の話ですし。それよりもせっかくのフォングラム家の者たちの心尽くしを、不快な話で楽しめなくなっていますよ」


ジーク伯父さまがオスカーお兄様の言葉に返したところで、ローラントお兄様が苦言を呈されたのでした。



409話。

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