3-4 お友達をつくります・・・?
「あの、顔をあげてください」
「いえ、本当なら、こちらに顔をだせる立場ではないんです。でも、一言、謝罪したくて、お父様に無理を言って連れてきてもらったんです。私のことは許してくださいとは言いません。ですが、お父様のことは」
フィリナ嬢は泣き出してしまわれました。
王女様達の手を借りて立ち上がると彼女のそばに行きソファーに座らせました。
しばらく泣いて、落ち着いてきた彼女に話を聞くと、私が倒れた日にフィリナ嬢から話を聞いたスクワーレ伯爵はお父様に謝られたそうです。ですが、お父様は許さないと言われたそうです。それから毎日スクワーレ伯爵とフィリナ嬢は私が目覚めるまで王宮に通いました。スクワーレ伯爵はお父様に面会を申し込みましたが、お父様は会ってくださらなかったそうです。
おもわず拳を握ってしまいました。
何をやっているのですか、お父様。
「父がごめんなさい」
「いいえ。こちらが悪いので仕方がないのです。フォングラム家の方が位が上ですし、何をされても文句はいえないのです」
「それは、おかしいとおもうわ」
そういうと、3人とも私の顔を見ました。メイドさんも私を見ています。
「今回のことはあなたに責任はないわ」
「でも、私が突き飛ばしたから」
「いいえ、あれは不幸な事故です。だって花を見ていたからってそこにハチがいるとは思わないじゃない。ましてこちらに飛んでくるなんて。私だってそうなったら逃げるし、そうしたら前をよく見ていなくて人とぶつかることだってあるじゃない。ぶつかった人が倒れて怪我をすることもあるわよね」
「そうかもしれませんが・・・」
「でもね、そのひとが高熱を出して7日間も寝込むなんてことになったのは、怪我をさせた人の責任ではないとおもうのよ。だって普通じゃありえないことなのでしょう」
「・・・」
「ましてね、子供のことに親がでてくるのはおかしいわよね」
「・・・おかしいのですか?」
「そうよ。本人同士が話し合って解決できることですもの」
「・・・話し合い・・・」
「まあ、今回は7日も目が覚めなかった私を、心配しすぎたお父様が八つ当たりしたのでしょうけど」
「・・・」
「お父様には私から言っておくわね。だから、あなたももう気にしないでね」
「それでは、私の気がすみません」
「私は気にしてないんだけどな」
「・・・ですが・・・」
うーん。ここまで言っても気にしてくれちゃうんだ。
いいこ、なんだよね。なんかいいな。
友達になれないかな。・・・そうだ。
「では、フィリナ様。あなたにお願いがあるのだけれど、聞いてもらえるかしら?」
「は、はい」
「あなたも聞いているとおもうけど、私は今までのことを忘れてしまったの」
「はい・・・すみません」
「責めているわけではないのよ。それでこれからいろいろ勉強しないとならないとおもうの」
「はっ・・・はい?」
「あなたに手伝ってもらえないかと思って」
「は・い?」
「ですから、一緒にお勉強しませんか。ということなんですが」
「えっ!私?!私でいいんですか?」
「ぜひ、お願いしたいわ」
にっこり微笑むとフィリナ嬢は顔を赤くしながら、コクコクと顔を上下させました。
「はい。よろしくお願いします」
「・・・ずるいです」
ぼそっとマイン様が呟かれました。
「マインもおてつだいするです~」
「マイン様」
「確かにずるいわ」
「ローザ様まで」
「私達にも手伝わせなさいよー」
えっ、でも王女様達に家に来ていただくわけにはいかないだろうし。
「そうだわ、診察もあるだろうし、お母様も気になさっていたから月に何度か王宮に来るのよね。その時に一緒に勉強すればいいわ」
「あの、私は一からの勉強になるので、王女様方にはつまらないかと・・・」
「いいの。私達が覚えているかの確認になるんだもの」
「はぁ~・・・」
「だから、あなたも来なさい」
フィリナ嬢にローザ様がいいました。
「は、い。私もですか?」
「そうよ。セリアの勉強の進み具合を教えてくれる人がいなければ、困るじゃない」
「あの・・・」
「私はあなたがセリアのそばにいることを認めたわけじゃないわ。だから、セリアと一緒にいて有害かそうじゃないか確認するためにも一緒にきなさい」
ローザ様の言葉に目を白黒させるフィリナ嬢でした。
39話です。
セリアちゃん、お友だちゲットの回でした。
では、次話で。




