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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
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24-14 範囲魔法?・・・女神様の加護って?

私の一言で、対決が決まったファラント様とランベルク様です。


ですが、その前に他の聖王家の魔術師長たちの処罰が言われました。

と云っても、これも私に希望を聞かれたので、「2月の王国会議が終わるまで、私の前に現れないように」と、言いました。


クラーラお姉様は不満そうに「この国に入れないようにすればいいのに」と言っていました。けど、せっかく『オットマー様の手助けをしたい』と言っていたのです。魔法の基本を決めることに尽力してもらおうではありませんか。


そう言いましたら「セリアテスの手を煩わせないのであればいいわ」と了承してくれました。


さて、それでは訓練所へと移動ですね。ワクワクしながら言い出すのを待っていたら、なぜか皆様の視線が私へと集まりました。


あれ? 私、何かしましたか?


「セリアテス様、ランベルク様に掛けた、魔法を解いていただけないでしょうか?」


オットマー先生がそう言いました。私は首を傾げました。魔法を使った覚えはないのですけど?


「魔法って何ですか?」

「・・・やはり無自覚か」


お父様がそういうと私のそばに来て、私を抱き上げました。そのままランベルク様のほうへと歩いて行きます。

が、ある所まで来たら、ランベルク様は押されたように後ろへと下がったのです。


「えっ?」


お父様が近づくと下がるランベルク様。でも、下がるといっても歩いているわけではないのです。見えない壁に押されるようにススッと下がっていきます。お父様は数歩で立ち止まりました。ランベルク様も下がることは無くなりました。


ランベルク様が縋るような目を向けてきました。


「本当に申し訳ございませんでした。この後、セリアテス様の御目に留まらなようにいたします。なので、どうかお願いします。この魔法を解いてください」

「ええっと?」


私は困ってしまいました。魔法を使った覚えはありません。でも、みんなはこの状態は私の魔法というのです。どういうことなのでしょうか。


「セリア、あの時セリアは『お兄様たちを傷つけたあなたは、私の範囲5メートル以内に近寄らないで!』と言ったのよ。そうしたらランベルク様は弾かれたように、セリアから離れていったのよ」


ビアンカが教えてくれました。ええっと・・・どうでしたっけ?

そう言えばランベルク様に抱き上げられていたのに、気がついたら床に足をつけていました。だから、直ぐにお兄様のそばに行ったのでした。


えっ? まさか、あの言葉で? 魔法が発動したの?


「おじい様はどう思われますか?」


ローラントお兄様がおじい様に聞いています。


「その前にヴィクトール、お前はこの状態をどう思う」

「私にも何とも言えません。先ほどは魔法と言ったのですが、違う気も致します」

「どこが違うと?」

「一定範囲に近寄れない魔法はあります。我々は障壁(シールド)と呼んでいるものですが、それとは違うのですよ。近寄れない対象はすべてのものになりますから」

「ああ、あれか。確かにそうだの。ただ一人だけが対象になるというものではなかったのう。そうなると、これは、もしかしたら女神様の加護かもしれんの」

「女神様の加護ですか?」

「ああ、そうじゃ。女神様が降臨なされた時に、セリアテスに与えられたのではないかと思うておる」

「そういえば女神様は特に『セリアテス様の言葉をよく聞きなさい』とおっしゃられましたね。それであれば、セリアテス様が発する言葉に加護を与えたのかもしれません」


私は驚きに目を開きました。言葉に加護だなんて、これからは迂闊にしゃべることが出来ないではないですか。


「ですが父上、それではセリアテスが話す言葉すべてに、魔法の効果が出るということになるのではないですか」

「いや、それはないじゃろ。それではセリアテスは何も話せなくなってしまうではないか。今まで話していて、そのようなことはなかったからの。それよりも女神様に言われた時のことじゃよ。あの時、わしとセルジアスとアーマドを呼び、セリアテスを守るようにと言ったではないか。だが、今回のようにわしらがおらん時に、セリアテスの身に危険が迫ることもあるじゃろう。そういう時に発動するような加護を与えられているとしたらどうじゃろうな」

「それが・・・一番近いような気がします」


オットマー先生もおじい様の言葉に納得したように頷きました。


その時、壁際にいた近衛騎士の方が「発言をよろしいでしょうか」と言いました。あの人はサロンの警護をしていた方です。おじい様が許可を出しました。


「先に謝罪させてください。ご子息様方を守る立場にありながら、何もできませんでした。相手が聖王家の方とはいえ、不法侵入も魔法を使うことを許してしまいました。警備隊長としての任を全うできなかったこと、申しわけございませんでした」


そう言って、深くお辞儀をした後、顔を上げて言葉を続けました。


「あの時のことですが、ランベルク様が魔法を使われてオスカー様、ミルフォード様が壁に激突なさったのを見たセリアテス様は、様子が変わりました。なんと申すのが正しいのかわかりませんが、雰囲気が変わりまして・・・」

「雰囲気が変わったじゃと。それはどのようにじゃ?」

「その、神々(こうごう)しくなられた・・・という感じです」

「神々しくじゃと」


おじい様は訝しそうに呟きました。

私も意味がわからなくて首を傾げました。


「あの、私からもよろしいでしょうか」


今度は侍女の方です。おじい様が頷いたのを見て、口を開きました。


「私も見ました。セリアテス様が『近寄らないで』とおっしゃられた時に、セリアテス様のお体が輝いたのを!」



389話。

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