表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
380/444

24-5 クラーラお姉様は・・・最強です!

お姉様たちの間から困惑した顔をした彼らの姿が見えます。でも、すぐに銀髪の方が口元に不敵な笑みを浮かべました。


「なかなか手厳しいお姫様だ。でも、いいのかい。サンフェリスは我が国(うち)よりも格下だよね」

「そちらこそ、思い違いも甚だしいのではなくて。ここは、あなた方の国ではないのよ。よその国でそんな無法な態度が通ると思っていらっしゃるだなんて」


お姉様はそこで言葉を止めるとフッと息を吐き出しました。


「よほど甘やかされて育てられたようですわね」


銀髪の方は顔を歪めていらっしゃいます。・・・ええっと、クラーラお姉様、もしかして嘲笑をなさいました?


「それに勘違いなさらないでくださるかしら。私はサンフェリスの王族としてではなく、セリアテスの従姉妹(いとこ)として対峙しているのですわ。まさかとは思いますけど、それもお分かりにならないとは申しませんわよね」


銀髪の方はグッと呻いて言葉に詰まったようです。口元をへの字にして渋面になられましたもの。


「あとさ、まさかと思うけど聞いてないってことないよね」


オスカーお兄様が軽い調子で言いました。その言葉に青い髪の方が不快そうにお兄様のことを見ました。


「昨日、女神様が大神官に伝えたことを。その中に女神様の愛し子の騎士の話もあったと思うけど?」


青い髪の方はギクリとして、肩を揺らしました。他の方も少し動揺しているみたいです。


「僕こと、オスカー・エルハルト・キャバリエと、この(と隣に立つお兄様へと手を向けて)ミルフォード・カイセル・フォングラムは、女神様直々の認可により、愛し子を守る『月光の騎士』に任命されたんだ。その僕たちを素通りできるだなんて思わないでよね」


ウグッと呻いたあと、緑の髪の方が言いました。


「酷いだろ。女神様の御名前を出されたら、何も言えないだろう」

「先に聖王家の名をちらつかせてきたのはそちらでしょう」


ミルフォードお兄様が冷たく言い返しました。


「そうそう。子供ばかりだと、侮ってくれたのはそちらです。それならば最強のカードで対応するのが、礼儀でしょう。そういう態度で来たのはあなた方ですから」


ローラントお兄様まで冷たい口調で言い、口を開きかけた金髪の方は気まずげに口を閉じたのでした。


「気持ちは分かるけど、もうそこいら辺で許してくれないかな。彼らには後ほど、きつく言い聞かせるからね」


取り持つように赤同色の髪の方が言いました。


「それが出来ないからこうなったんでしょう! エルハルト様!」

「それに酷いじゃないですか。なんでそちら側にいるんですか!」

「もう、エルハルト様! あなたが彼らを甘やかしてどうするんですか。同じ聖王家でしょう。歳は一番下かもしれないですけど、同じ魔術師長というのは、変わらないはずです。下でに出る必要はないはずですわ」


ローラントお兄様、オスカーお兄様、クラーラお姉様が、キャンキャンと吠えるように赤同色の髪の男の方に文句を言いました。なにやら気安く見えますね。詰め寄られた男の人は、「困ったなー」と苦笑を浮かべていますし。


ええっと、どういうことなのでしょうか?

もしかしたらジーク伯父様の母方の親戚・・・とか?


私が困惑しながら考えていると、右手がぎゅっと握られました。ビアンカのほうを見ると、そっと小声で囁いてきました。


「セリアは忘れちゃったけど、エルハルト様はフォングラム家の親戚よ。エルハルト様のお母様はリチャード様の妹なのよ」


フォングラム家(うち)の親戚? リチャード様の妹?

リチャード様って、おじい様よね。

おじい様の妹が赤同色の髪の男性、エルハルト様のお母様で・・・。

エルハルト様は聖王家の人間で、魔術師長をしているって。

えっ? えっ?

エルハルト様のお母様は王妃様?


「ええ~!」


私は大声で叫んでしまいました。そして、ヘナヘナと座り込んでしまったのです。ビアンカが私を支えようとしましたけど、無理でした。


「どうしたの、セリア」

「また具合が悪くなったの?」

「余計な心労をかけた人がいますものね」


お兄様たちが私の周りへと集まってきました。お姉様は私の様子を窺いながら、じろっと彼らのことを見ました。彼らは気まずげにしています。お兄様に顔を覗き込まれた私は・・・。


「聞いてないです~」


と、言ったのでした。



さて、私が腰を抜かして座り込んでしまったために、一時糾弾するのはやめになりました。クラーラお姉様の指示で席の移動がなされました。一応、入口よりに彼らの席も用意されました。


彼らは先ほどまでの威勢はどこへやら、という感じでおとなしく座り込んでいます。


私は皆様に甲斐甲斐しくお世話をされています。ソファーに座らされて、飲み物やお菓子や果物を供されているのです。


彼らにもお茶の用意はされたのですけど、あとはほったらかしですね。


紅茶を飲んで気持ちが落ち着きました。ひとごこちがついたので、そろそろお兄様に聞きましょうか。


「あの、お兄様」

「「「「なんだい、セリア」」」」


あっ、お名前を入れなかったので、4人から返事をされてしまいました。

ええっと、誰に聞いたらいいのでしょうか?

困っていたらお姉様が聞いてきました。


「もしかしてエルハルト様のことかしら?」



379話。


あれ? 彼らの正体の前に、従姉兄連合からの口撃がありましたね。

彼らがどうなったのかは、次話をお待ちくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ