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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
352/444

23-15 女神様と・・・お茶会ですか?

女神様の質問にパチパチと瞬きをしました。それから考えながら答えます。


「えっ、えっと、女神様はこの世界をつくられた方です」

『ええ、そうね。それから』


それからと言われたので、う~んともう少し考えて言葉にします。


「女神様は・・・この前降臨なさったのが、初めてだと聞いています」

『そうよ。それはどうしてだと思うのかしら』


私が答えたらそれにまた質問をされてしまいました。女神様がなぜ聞いてくるのかがわからなくて、もう少し考えます。


「えーと、たぶん・・・なのですけど、女神様の力は強すぎて、地上に降りるには制約・・・みたいなものがあるのではないでしょうか。この前は・・・その条件がクリアされたので降臨することが出来た・・・のではないかと」


歯切れが悪くなりましたけど、何とか答えました。フッと女神様が微笑んだような気配が伝わってきました。


『そう、そうなのよ。さすがはセリアテスね。私の神力は地上に降りるには強すぎるの。だから今までは降りることが出来なかったのよ。ではなぜ今回降りることが出来たと思うかしら』


女神様は楽しそうに聞いて来ます。


「えーと、私・・・が居たから、ですか?」

『そう! その通りなのよ。ねえセリアテス、あなたは気がついたかしら。私とあなたの共通点に』

「あの・・・髪の色が、同じ・・・ですよね」

『うふふっ。それだけではないのよ。あなたの魔力の波長は、私ととても近いの。だからね、この前は、セリアテスを目印に降りていったの。それにね、あなたの魔力に神力を重ねたら、地上への影響は微々たるもので済んだのね。これならこれからもう少し地上の様子を見やすくなるわ』


また女神様ははしゃいだ声をあげました。本当に楽しそうな様子が伝わってきます。・・・ですが、私は、女神様の言葉に体を震わせました。


「それでは私は・・・女神様の依り代・・・となれ、ということです・・・ね」

『えっ? あら、やだ。違うわ。そうじゃないのよ』


私が呟くように言った言葉に、女神様は焦ったように言葉を返してきました。


『うん、もう。私ってば、どうしてこうなのかしら。誤解させるような言い方になってしまって、ごめんなさいね、セリアテス。・・・そうね、このままじゃ、時間ばかりかかってしまうわね。セリアテス、今からあなたの意識を私の意識に同調させます。大丈夫よ、難しいこともあなたに負担をかけることもしないわ。ただ気持ちを楽にして目を瞑ってくれればいいの』

「わかりました」


私は瞬きをしてから、一度深呼吸をしました。それから目を瞑り体の力を抜きました。


フッと、目の前に誰かが立たれた気配がしました。


「目を開けていいわよ」


先ほどよりも近いところで女神様の声が聞こえてきました。目を開けると、目の前に女神様が立っていました。


「今、セリアテスが見ているものは、現実ではないわ。そうねえ、例えるのなら夢を見ているような状態かしら。意識だけ私のそばに来てもらったのよ。ここで話すのなら時間を気にしなくていいの。何時間を過ごそうと、瞬き一つ分の時間しか、現実では経たないから。それでは、セリアテスを悩ませてしまったことなどについて話したいのだけど・・・」


女神様は意味深に言葉を切って、私のことを見てきました。そして手をさっと振ったのです。


「立ち話もなんだから、座ってお茶を飲みながらお話をしましょう」


当たりの風景が一変しました。まるでどこかの庭園のあずまやのようなところに、私と女神様はいました。目の前にはおいしそうなお菓子たち。それも彼女が食べていたような、色とりどりのスイーツが並んでいました。


「かわいいわよね、このマカロン。シェル型のマドレーヌもあるのよ。生クリームたっぷりのケーキも。それともこちらのフルーツを閉じ込めたゼリーがいいかしら。ああ、そうそう。もしよければパフェを食べない? イチゴパフェもいいけど、私はチョコレートパフェが好きなのよ。セリアテスが食べてみたいものがあれば何でも言ってね。すぐに出してあげるから」


女神様が座られたので、私も女神様の正面に座りました。・・・いつの間にかカップには紅茶が入っていて、湯気が立ち上りいい香りが漂っています。が、私は首を傾げました。


「どうしたのかしら、セリアテス」

「えーと、女神様。ここって意識の世界なのですよね。それなのに、温度や香りを感じるのですけど」

「だって、つまらないじゃない。せっかくセリアテスとお茶会が出来るのに、匂いも味も感じないなんて」

「味もするのですか」

「もちろんよ。食べて感じるのは満足感だけ・・・というのは虚しいかしら。それともいくら食べても太らないからと、あるだけのお菓子を食べたいと思うのかしら」


女神様はいたずらっぽく微笑むと、カップを持ち上げて一口飲まれました。漂ってきた香りは・・・今までに嗅いだことがないものです。いえ、違います。彼女が飲んでいたものです。えーと、コーヒー・・・でしたっけ? 豆を焙煎して抽出するというもの。女神様は優雅な手つきでカップを置くと、にっこりと笑いました。


「それでね、よければ先に教えてほしいことがあるのよ。セリアテスに起こったことよ。あなたはどこから魔物の大量発生のことを知ったのかしら。記憶を失くしたとも聞いたのだけど。あとね、私が降りたことで各国で何が起こっているのかも教えてほしいわ」



351話。


女神様がポンコツに見える?

あれ~?

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