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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
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23-13 女神様へは・・・一人で呼びかけるようです

レオポルド神官長がこの部屋の説明をしてくださいました。


やはり女神様に呼び掛けるには、呼びかける方の魔力をかなり使うそうです。一人では女神様に声を届けるのも難しいとか。それを補助・・・というより増幅のが正しいきがします。えーと、それで魔石が力を大きくしてくれて女神様に声を届け、届いたら女神様から声が返ってくるようです。


これは滅多にすることはないらしいです。基本は大神殿の神官長様か、各国の王都にある主神殿の神官長が行うくらいだとか。それも本当に緊急に聞きたいことが出来た時だけだったと言います。なので女神様へ呼びかけるのは、神官長お一人で行ったそうです。


それ以外で女神様とお話したのは、女神様から祈りの時間に話しかけられて・・・だそうです。まあこれも、滅多にないことだったと聞きました。


そういうことなので、この前の降臨というのが、各国で大騒ぎになった・・・らしいです。


えーと、子供である私にはその辺のことはほとんど教えてもらえていませんでした。今日、私が女神様とお話したいと言ったことで、お父様がやっと教えてくださったのです。


そうなのです。神殿に向かう馬車の中で話してくださいました。各国で大騒ぎになったということだけでしたけど。どうやら私が女神様とお話をすることで、また各国が大騒ぎをするだろうと言いたいみたいでした。でも、私がしようとすることに反対ではないみたいです。


神官長からの部屋についての説明が終わりました。さて、どうしましょう。出来れば女神様とお話をするのに、他の方がいない状態でお話がしたいです。でも、これは私の我が儘になるのでしょうか。


そんなことを考えている私の耳にレオポルド神官長の言葉が聞こえてきました。


「では皆様、別室にてセリアテス様をお待ちいたしましょう」

「は? 何を言うのだ、レオポルド神官長。セリアテスを一人にしろというのか」


おじい様が渋面で噛みつくような言い方をして、神官長に詰め寄りました。神官長は少し呆れたような視線をおじい様へと向けています。


「リチャード様、いま私が話したことをお聞きになっていらっしゃらなかったのですか。女神様に呼び掛ける時は一人で行うものですと、私は言いましたよね」

「だがな、セリアテスは子供じゃ。何かが起こってからでは、遅いじゃろう」

「それこそ何をおっしゃっておられるのでしょうか、リチャード様は。セリアテス様が女神様と話をするのに、何かが起こるわけはないでしょう」

「わしは祖父としてセリアテスを見守りたいんじゃ!」


最後には開き直ったように胸を張っておじい様は言いました。神官長は息を吐き出しながら首を振りました。


「リチャード様、先ほども言いましたがそれは出来ません。他の方の魔力が混ざることで、逆にセリアテス様によくないことが起こる場合があります。セリアテス様」


おじい様の説得に困ったのか、神官長は私のほうを向きました。


「セリアテス様はどうなさりたいですか。ご家族の方に見守っていただきながら女神様とお話をなさいますか。それともお一人で女神様とお話をなさいますか」


神官長の言葉に私は一瞬、ミルフォードお兄様へと視線を向けました。お兄様は私からの視線を受けて、小さく頷いてくれました。


「私は一人で女神様とお話をしたいと思います」


私の返事にお母様が息をのんだのがわかりました。お母様たちのほうを見ましたら、お父様がお母様のことを支えるように肩を抱いていました。お父様は少し眉間にしわを寄せていましたが、何も言わずに私のことを見てきただけでした。おじい様とおばあ様も何も言わずに緩く頭を振っていました。


「ではセリアテス様、我らは隣室にてお待ちいたします。ですが、もし何か不都合が起きた時のためにこれを置いていきますね」


神官長様はそういうと、壁の棚のところから、水晶・・・でしょうか? 透き通ったベルを持ってきて祭壇へと置きました。


「何かあったら、これを鳴らしてください。もし手に持って鳴らすことが出来なければ、床へと落としてくださって構いません。落としたくらいで壊れるものではありませんから」

「分かりました」


それから、神官長はもう一度、女神様への呼びかけの仕方を話してくれてから、他の皆様を促して部屋から出て行ったのでした。


皆様が部屋を出て行き、私は息を大きく吸ってから吐き出しました。


なんか勢いで女神様に直接お話をすることになってしまった気がします。でも、ここまで来たのでしたら、やるしかないでしょう。


私は祭壇の後ろにある女神像を見つめました。自然と手が上がり胸の前で手を組み合わせました。


(女神様 ミュスカリーデ様)


女神様のお名前を心の中で呼びかけるように、何度も唱えます。


(女神様 ミュスカリーデ様 あなたが愛し子(いとしご)と言ってくださった、セリアテス・クリスチーネ・フォングラムです どうか私の声をお聞き届けください)


目を閉じて一心に願います。


「女神様、ミュスカリーデ様。お聞きしたいことがあるのです。どうか私の声にお答えください」


声に出して言った時です。部屋の中に神気が満ちてくるのがわかりました。



349話

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