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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第3章 魔法と領地ともろもろと
343/444

23-8 内緒・・・にするのではないのですか?

ソニック君が付け加えるように言った言葉に、今度こそ私は何も言えなくなりました。私は女神様に『愛し子』と言われたことで、ふさわしくなろうと、そのことばかり考えていました。『彼女』の記憶も、女神様のために役立てられるようにしようと思いました。


ですが、私以外の人はどうなるのでしょう。ソニック君のように記憶があるのに、女神様から認識されていない方々が・・・いらっしゃいましたよね。私だって『なんで私が』と思いましたけど、私以外の方々も『なんで自分じゃないんだ』と思っているはずです。


今までだって多くの記憶を持った方々がいたはずです。アラクラーダの巫女と言われた方々だって、自分からそうなったわけではなかったはずです。今の世の中に役立つ素晴らしいものを伝えてくださった方々を、女神様の名前を間違えたからといって、認めないという風潮? が、出てきていると聞きました。今の快適な生活を送れるようにしてくださった方々を、貶めるようなことをしていいものではないでしょう。


神殿に行きましたらそのことも伝えたいと、少しずれた思考で考えていましたら、コモナー執事長がソニック君のそばへと来ました。執事長は跪いてソニック君と目線を合わせるようにしました。


「ソニック様、あなた様はとても賢くていらっしゃいます。前世の知識に惑わされることなく、このまま成長されることを願います。そうですね、私も女神様にお聞きすることが出来るのなら、問うてみたいことがございます」


執事長の言葉に瞬きを繰り返すソニック君。


「えーと、執事長のおじいちゃんも、女神様に聞きたいことがあるの?」

「はい。ですから、私と共に神殿に参りましょう」


ソニック君から視線を私に向けた執事長。


「それでよろしいでしょうか、セリアテス様」

「一緒に来ていただけると心強いです」

「では、お供させていただきます」


立ち上がり今度こそ扉のほうへと向かった執事長。ノブに手を掛けて振り向きました。


「ああ、そうでした。この後お話している時間はないと思いますので、これだけは。神殿ではセリアテス様だけが、女神様とお話することになるでしょう。ですから、ソニック様や私のことはセリアテス様から女神様にお話しください」


それだけいうと、執事長は部屋を出て行かれました。私達は誰ともなく視線を向け会いました。


「えーと、どうしたほうがいいのかしら」


私がそう言い終わったら侍女が部屋へと入ってきたので、迂闊なことが言えなくなりました。


「そうだな、やはりセリアが話すのがいいと思うよ」


ミルフォードお兄様が答えてくれました。ソニック君も一つ頷くと言いました。


「僕もセリアテス様にお任せします」

「それでしたら、お任せされます?」

「なんで疑問形になるかな?」


ミルフォードお兄様は目元をほころばせておっしゃいました。だけど、話すと言っても、どのように話せばいいのでしょうか。それと、これで神殿へと行くことが決定したのですよね。そうしますと、今日は王宮へは行けなくなってしまうのでしょうか。ローザ様・・・ではなくて、皆様を待ちぼうけにさせてしまうのではないでしょうか。それなら、そのことも含め、連絡した方がいいのではないでしょうか。


そんなことを思っていましたら、お兄様が私に言いました。


「ああ、そうだ。セリア、日にちもないことだし、神殿でのことが終わったら、王宮にも行くことにしようよ」

「えーと、お父様たちに駄目だと言われませんか」

「そこは大丈夫。というよりも、急に神殿に行ったと知ったら、周りが黙っているわけがないよ。そのためにもカテリア伯母上たちに王宮に行ってもらうことにしようと思うんだ。執事長がうまく話してくれると思うけど、セリアからもお願いしようね」


意味ありげな言い方ですね、お兄様。・・・というか、カテリア伯母様をそのように使っていいのでしょうか? でも、ソニック君のことを他の方に知らせないようにするためには、仕方がないことですよね。


「えーと、・・・はい?」


お兄様に返事をしようとして、廊下を足音を立てて近づいてくる人がいることに気がつき、変な言い方になってしまいました。


バターン


扉が壊れるかというような勢いで開き(というか、壁にぶつかりましたけど)、お父様、スクワーレ伯爵、ジーク伯父様がなだれ込んできました。そのままソニック君のそばへと来て、スクワーレ伯爵がソニック君の肩を掴みました。


「ソ、ソニック! お前にも他の記憶があるんだって?」


・・・コモナー執事長~! 皆様に何を言ったのですかー!


「えっと・・・あの・・・その・・・」


ソニック君は目を白黒させて、なんと答えたものか困ってしまったようです。助けを求めるように、私やミルフォードお兄様のことを見てきました。


「こりゃ、待たんか。ソニックが怯えておるじゃろう。ユーリックも言っておったではないか。セリアテスの話を聞いておったソニックが、えーと、なんじゃ? ゲームだったかの。その内容を思い出して混乱しておると。やっと少し落ち着いたから、わしらに話しにこれたというたじゃろ。ほれ、見ろ! ソニックがまた泣き出しそうじゃないか」


おじい様が追い付いてきて言った言葉に、慌ててソニック君のことを見たら、ソニック君は目に涙をためています。


「ぼ、ぼく・・・魔法の・・・レベルが・・・爆炎・・・隕石・・・大海象(だいかいしょう)・・・うわ~ん。怖いよ~」


そういうとソニック君は、スクワーレ伯爵にしがみついて泣き出してしまったのでした。 



342話です。


ソニック君の名(迷)演技?(笑)

これの理由は閑話のソニック君話で語りましょうか?

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