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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
334/444

22-10 それで・・・どうしてこうなったのだろう?

「あら、それならいい方法があるじゃない」


ローザ様がクラーラお姉様や私のほうを見てからにっこりと笑いました。ええ。あれの出番ですね。そうしてくじ引きが行われたのですが、席に着いた王子様方は不満たらたらの顔をしています。まあそういう顔をなされても、仕方がないと思いますけどね。


前と違って用意されたのは丸テーブルです。それが6つ。3つずつ2列に並べて置かれました。席はそれぞれ5つずつ用意されました。そして、肝心なことが一つ。席を決める時に男性と女性と別々にくじを引いたことです。つまり、同じテーブルを囲んでいるのは同性同士というわけなのです。


「それで、その親衛隊ってなんなの?」


好奇心が押さえられないというように、アルザス様がいいました。それにローラントお兄様が待ったをかけました。


「少し待ってもらえないかな、アルザス・ルーファニア・レグルス。君たちは自国の貴族のことを把握していると思うけど、私たちはこの国の者じゃない。出来れば、君たちの関係性を含めて自己紹介をしてくれないかな」


男性方は顔を見合わせました。皆様はきっと隣国の王族であるローラントお兄様が、王子様達の友人のことを知らないとは思っていないのでしょう。では、何を意図しての発言なのかと、考えているようです。


ローラントお兄様とクラーラお姉様は、年上の余裕の笑みを浮かべています。まるで出来の悪い教え子を見守る先生のように見えます。ミルフォードお兄様、オスカーお兄様も解っているみたいです。アルザス様も何かに気がついたのか、私達のほうを見てから頷いていました。


「アルザス、気がついたのなら教えろよ」


小声でカークライト王子が訊いていますが、皆様にも丸聞こえですよ。皆様に注目をされていると気がついたカークライト王子は、少し頬を赤くしながらアルフレッド王子のことを見ました。アルフレッド王子に頷かれて、アルザス様が口を開きました。


「えー、王子様方にお願いがあります。あっ、ローザ王女様、マイン王女様にもです。ここは社交の場ではないですよね。ですから、身分云々は無しの発言をさせていただいていいですか」


アルザス様の言葉でローラントお兄様が、自己紹介云々を言い出した意図がわかりました。ここには子爵家令嬢が3人います。先ほども伯爵家令嬢であるクラリスは、ものすごく緊張をして言葉を発していました。身分的にも許しもなく上の身分の方に話しかけることは、いけないことなのでしょう。


でも王宮とはいえ、ここは王子様王女様のプライベート空間です。なので、身分云々は無しにしろと、言いたいのでしょう。先ほどもカークライト王子とシュナイダー王子は、身分を嵩に来た上から目線な発言をしていました。どうやら、ローラントお兄様はそのことを遠回しに責めていたようです。


「あっ。えーと、その」

「えーと、えーと。アルフレッド兄上~」


カークライト王子とシュナイダー王子に、縋る様な目を向けられたアルフレッド王子は、肩をすくめるとローラントお兄様のことを見つめて言いました。


「先ほどの弟たちの発言を許してもらえないだろうか。私も含めて私たちは勉強をやり直しているところなのだ。私達王族は、どうして王族として認められているのか。それを恥ずかしながら、少し前に気がついたのです。だから君たちに謝罪しよう。高圧的な態度に出てすまなかった」

「「すみませんでした」」


アルフレッド王子が頭を下げたのに合わせて、カークライト王子とシュナイダー王子も頭を下げました。その様子を謝られたレイチェル達が、目を白黒させてみていました。


「私からもお願いするわ。兄たちを許してくださらないかしら」


ローザ様がレイチェル達にウィンクをしながら言いました。ちょうど男性たちに背を向けて座っているとはいえ、見られてもおかしくないですよ。


「ええ~と、あの、謝罪は受け取りました。なので、頭をお上げください」


レイチェルが代表して王子達に答えました。



それから・・・。


私は、はぁ~とため息を吐きかけて、慌てて息を飲みこみました。そっと周りを伺うと今の私の様子は気付かれていないようでした。周りにいる令嬢と令息たちは楽しそうに話をしています。


あれから場が和んで、先ほどのアルザス様の質問になりました。それで、クラリスを中心に令嬢方が説明をしたのですが、よく解らないということで、クラリスが持ち込んだ本をこちらに持ってきたのです。それと、クラリスが書き出してくれたあの紙も。それを見ながら数人ずつまとまって、親衛隊はどうあるべきかの話し合いになりました。


エックハルト3兄弟は騎士団の規律を出してここはこうしたらという意見を言い、それに対して女性のみが入れるものにするので、そこまでのものはいらないとなったり。女性だけでは不公平だという言葉が出てきたり・・・。そうしたら親衛隊だけではなく、ファンクラブを作ったらどうかとなり、それが書かれた部分を皆様で探すことになったり・・・。


いつの間にか男女で同じテーブルを囲んで話し合いをしていました。


そこに魔術師長が私に話があると連絡が来たのです。皆様はここで魔術師長を迎えることを了承してくれました。


部屋の扉が開いて、魔術師長が入って来ました。それを見て、居住まいを正す皆様を視界の端に見ながら、私は思ったのです。


どうしてこうなったのだろうと。

でも、仲が良くなったことはいいことなのですよね。



333話です。


ゾロ目だった~。

ではなくて、これで「14-1 1人目の来訪者」の最初の部分になりました。

次の閑話で第2章が終ります。


その後もまだまだ続きますので、よろしければお付き合いください。

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