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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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22-4 聖騎士についての疑問?

私の言葉に国王陛下は嬉しそうに頷いてくれました。国に特産品が出来るかもしれないということが嬉しいのでしょう。


「では、5日後に領地へと向かいたいと思います。いいですよね、陛下」


私がにっこりと笑ってそう言いましたら、陛下は笑顔のまま固まってしまいました。そっと周りを見回すと、大臣方もいつの間にか立ち上がっていた宰相様までもが、固まっています。


あれ? 聖騎士うんぬんを置いておいても、アーマド叔父様が警護に就くことになったのですよね。アーマド叔父様は騎士団に所属していて、三つある団の中の団長でしたよね。たしか、王都守護騎士団の団長だったと思います。すべてを総べる騎士団長はエックハルト様です。エックハルト様は近衛騎士団を直属にしていたはずです。あと一つは国境守護騎士団だったはずです。


えーと、これ以上はまだ教えてもらっていないのでわかりません。でも、そんな叔父様が私の警護についてくれるというのです。安心ですよね。それとも、王都守護騎士団団長としては、私のことを警護するのは駄目なのでしょうか。


そういえば、私に付く聖騎士が決まっていないと言っていましたが、そもそも聖騎士って何なのでしょうか? 神殿に所属する騎士がいることはなんとなくわかりますが、その方たちが聖騎士ではないのでしょうか。わからないことは聞くに限りますね。そう思ったのに、私が言葉を発する前に陛下が口を開きました。


「セリアテス様、そなたの気持ちはわかるが、領地に行くことはもう少し後にしてもらえないだろうか」

「それはどうしてですか」


じっと陛下の目を見つめて問いましたら、誰かの手が体にかかり、国王陛下からその人の腕の中に移動しました。私を抱きとったのはお父様でした。


「先ほども言ったが、それはフォングラム公爵家を馬鹿にしていると、とるぞ」

「そんなつもりはないと言っただろう。神殿との兼ね合いもあり、セリアテス様の聖騎士の選別が済んでないのだ」


お父様が陛下の目を見て、きっぱりと言い切りました。陛下はお父様の目を見つめ返して、やはりはっきりと答えました。


「そんなものは知らん。そっちで勝手にやっていることだろう。それを待っていたら、セリアテスはどこにも行けなくなってしまうではないか」


お父様と陛下のやり取りを聞いていて、やはり聖騎士のことがよくわかりません。なので、聞くことにします。


「えーと、お父様、陛下、お聞きしたいことがあるのですけどいいですか」

「何かな、セリア」


お父様が優しく私の目をのぞき込むように見つめてきました。


「聖騎士って何ですか」


虚を突かれたように、お父様は黙られました。少し思案をするようなそぶりを見せてから、話しだしました。


「聖騎士というのは、アラ・・・神子をお守りするための騎士で、特別に選抜された騎士たちなんだよ」

「その騎士は神殿に所属する方がなるものですか」

「いや、そうではなかったはずだ」

「では陛下、聖騎士の選別が済んでいないのは、神殿側なのですよね」

「あー、そうである様な、無いような」


陛下は歯切れ悪く言い淀んだものの、答えてくれました。話を要約すると、今回の聖騎士の選抜が難航しているのは、各国の神殿からも聖騎士に推挙されている人がいるからだそうです。女神様の降臨による『愛し子』認定だったので、神殿の威信をかけて? 選抜しているのだとか。


それに対し、今までは『神子』が現れた国とその神殿とが協力して、聖騎士を選び出していたのです。だからリングスタット王国としても、慣例に倣って王国騎士から聖騎士候補を選抜したそうですが、神殿側がこれをやんわりと拒否してきたらしいのです。


う~ん。威信とか、面子とかいろいろ大人は大変そうです。でも、そのせいで私が領地に行くことが出来ないのは困ります。


ふと、思いついたことがあります。これを言ってもいいのでしょうか。伺うように陛下の顔を見たら、陛下が微かに目元に笑みを浮かべて言ってきました。


「セリアテス・・・様、何かあるのなら、言ってほしい」

「えーとですね、聖騎士というのは神殿が認めた騎士ということなんですよね」

「そうだな」

「それで、私は『女神様の愛し子』である前に、リングスタット王国のフォングラム公爵家の令嬢ですよね」

「そうだけど、それがどうかしたのかい、セリア」


お父様も私が何を言い出すのだろうと、興味深げに見つめています。


「えーと、詭弁かもしれないのですけど、『女神様の愛し子』を守るのは、聖騎士でなければならないわけではないと思います。リングスタット王国の騎士団の中に、『女神様の愛し子』を警護するための部署があってもいいと思いませんか」


私の提案に大人たちが目を見交わしあっています。騎士団長とアイコンタクトを済ませた陛下が、笑顔で言いました。


「皆、聞いたであろう。リングスタット王国騎士団から、聖騎士は出さぬ。代わりに『女神様の愛し子』を警護するための、新たな騎士団を発足することとする。団長にはアーマド・エトワード・アルンストを充てる。王都守護騎士団の団長は暫し空位とし、フィクトール・テニール・エックハルト王国騎士団長が兼任するものとする。人員は先に選出された者達を中心とし、足りない人員は新たに選出するように」

「ははっ!」



327話。


2019年、明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。


お読みいただきありがとうございます。

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