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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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祖父話2-6 孫と取り巻きの話し合いの裏で その6

セレネの言葉にわしは顔を顰めた。


「何を言うておる。わしはまだまだセルジアスに負けんぞ。それにの、セリアテスのことも子供らに任せておけるか。絶対ちょっかいをかけてくるに決まっておる。それをわしが叩き潰さんでどうするのじゃ」


わしの言葉にセレネはやれやれと言う感じに笑った。


「そうね。ここで子供らに譲るようではあなたじゃないわね。・・・いいわ。私もとことんあなたに付き合うことにするわ」


嬉しいことを言うてくれるのう。さすがセレネじゃ。


この後、各国をどう組ませるか、大体の案をセルジアスたちは決めておった。明日にこれを国王以下大臣たちに提出して、そこからどの侯爵家がどこの国々を担当することにするかを、決めてもらうことにするようだ。問題はバレンクルスとリメイラとアンタキヤじゃが、これはたぶんエックハルト侯爵家が引き受けてくれることになるのじゃろう。さすがに我が国の騎士団長を相手に馬鹿なことはやらかさんじゃろ。


そうこうしている間にギルベルトを迎えに行ったミルフォードが戻り、ソフィティア達もやってきた。あとは仕事が終わったアーマドとエグモントが来れば、夕食を一緒にとってそれから今日のことの話をすることになるのだろう。


子供たちも居間に集まってきた。中心にいるのはセリアテスじゃ。アマリアがセリアテスとクラーラに甘えるように、二人の間に座っている。ビアンカも楽しそうに話をしていた。

ギルベルトもミルフォードに甘えながらも、ローラントとオスカーに気を使うようにしている。シュレインは幾分ローラントとオスカーに遠慮しているようだが、二人の方がシュレインに構っていた。


ビアンカとギルベルトはわしらの孫ではない。じゃが、二人とも赤子の時から見てきているから、わしらにとっては孫と同じに思っておる。そのことをウルリーケは恐縮しておった。ウルリーケも様々なことを抱えておるが、ミリアリアのことを第一に考えるのは、結婚をした今でも変わらないようじゃ。少しでもウルリーケが楽になってくれればと、思わずにはいられない。


子供らの様子を目を細めて見ておったら、カテリアが話しかけてきた。


「本当に子供たちの仲が良くてよかったわ、お父様」

「そうじゃのう。それもお前の育て方がよかったのじゃろう」

「まあ、どうなさいましたの。お父様に褒められるだなんて。明日は嵐になってしまうのではなくて」


カテリアが揶揄うように笑いながら言った。


「おいおい。何を言うておるんじゃ。わしはの、お前はわしの子にはもったいないくらいの娘じゃと思っておったんじゃよ。もちろんセレネの育て方がよかったのだとはわかっておる。だが、時々思っていたのだ。お前が男に生まれていればとな。そんなことを言うては詮無き事だがの」

「あら、そんなにもセルジアスは頼りないのかしら」

「そんなことはない。あやつも消極的なところを除けば、過分はないのじゃ」

「あらあら。でも今までは仕方がなかったのではなくて」


カテリアがクスクスと笑いながら、それでも弟のことを庇うような発言をした。わしだってわかっておるさ。息子の立場はかなり微妙なものじゃ。王家に一番近い公爵家は、王女を母に持つわしがいるフォングラム公爵家になる。本当ならわしの代と子供らの代で他の公爵家に王女が降嫁されるはずじゃった。それをしなかったのはうちの位置を王家の次に留めるためじゃ。先王のクロフォード、先々王のアルフォード陛下の意向だったのだから、仕方がないのじゃがな。


アーマドとエグモントが二人そろって顔を見せた。全員が揃ったところで、楽しい晩餐会じゃ。ヴィクトールはくじ引きでの席決めに目を白黒とさせておった。そしてセリアテスの右隣になったことを恐縮しておったの。セリアテスは楽しそうにヴィクトールに話しかけておったがの。


夕食の席での話題は、カテリアたちが国に帰ることと、セルジアスが休みを取って領地に行くことの二つじゃった。アマリアとギルベルトは、クラーラたちとあと数日しかいられないと悲しみ、フォングラム公爵の領地に行くという話を羨ましそうに聞いていた。さすがに一緒に行きたいとは言いださなかった。


もう11月も11日まで来てしまった。そろそろサンフェリス国に帰らなければ、新年の行事に差し支えるだろう。最悪の場合は転移門を使えば一瞬でサンフェリス国に戻ることもできる。じゃが、それをしようとしないのは、カテリアの我が儘じゃな。いや、違うかの。次にわしらと会う時には立場が違うから、少しでも長く今の状態でいたいのじゃろう。


夕食を食べ終わり子供と大人に別れてまた話しあいじゃ。昼間のことをいなかったアーマドとエグモント、ソフィティアに、セルジアスが話した。話を聞いた3人の表情が引き締まった。間諜共のことは、アーマドの仕事にもかかわってくるからの。


わしらが領地にいくのに、ヴィクトールが同行したいと言ってきたのには驚いた。どうやら魔法のことについてセリアテスと話したいのじゃが、今まではそのような時間が取れなかったから、領地にてそれをしたいそうだ。


わしらには異存はないが、結局は国の方がどう出るかじゃの。


だが、どうとでもなるじゃろう。セリアテスがヴィクトールも同行したい言ったら、ことのほか喜んでおったからのう。セリアテスの守りのためにも、ヴィクトールが来ることには賛成じゃな。



323話です。


じい様話はこれにて終了。

次話からは取り巻き令嬢たちとの話の、最終決着になります。

さて、どうなりますことやら。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

また次話でお会いいたしましょう。

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