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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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21-13 明日からのことを・・・

ビアンカはお父様の言葉にしばらく考えを巡らせていました。それから視線をレイチェルに向けました。


「私が上に立つことでセリアの力になるというのでしたら、喜んでならせていただきますわ。その代わり皆様にも協力していただきたいと思いますけど」


レイチェルたちだけでなくカトリーナたちも一様に頷きました。お父様は視線を令嬢たちの保護者の方達へと向けました。


「皆様もお聞きのとおりに、ご令嬢方は『セリアテス・クリスチーネ・フォングラム』の友人ではなくなりました。ですがこれからは親衛隊という名で、セリアテスのそばに居ることになります。先ほどセリアテスが言ったように、令嬢方にも危険が及ぶ可能性が高くなります。それがお嫌でしたら、今すぐにご令嬢を連れてお帰りください」


皆様のご両親並びにご当主様方は、ご自分の令嬢方のことを見つめました。令嬢方も保護者の方達のことを見つめています。


「ここまでのご令嬢方の決意を無にしたいのであればですがね」


お父様が続けて言った言葉に保護者の方達の視線が、お父様に集中しました。


「フォングラム公爵、我らもリングスタットの貴族です。娘が決意したことの邪魔はしたくありません。それに我らのことも侮らないでいただきたい。フォングラム公爵家の係累として、『女神様の愛し子様』の足を引っ張ることは致しません」


代表をしてイェネヴァイン侯爵が言いました。他の方々も頷いています。夫人の何人かは少し不安そうな顔をしています。その答えにお父様は笑いました。


「よろしい。それでは、リングスタット貴族としてこれからのことを話し合おうではないか」


お父様の言葉に大人の方達は頷きました。そして促されてサロンを出て行きます。


「セリアテス、私達はもう少し話をするから、ゆっくりとしていなさい」

「はい、わかりました。お父様」


大人の方達が出て行ったあと、私はサラエさんに言いました。


「サラエさん、テーブルをセットしてくださいませんか」

「承知いたしました」


サラエさんだけでなく他にも侍女と侍従の方がサロンに入ってきて、テキパキとテーブルや椅子を移動してくださいました。


テーブルが整い促されて皆様は席に着きました。私がテーブルの中央の席、その隣に当然と言うようにクラーラお姉様とローザ様が座りました。クラーラお姉様の隣にはローラントお兄様、オスカーお兄様、ミルフォードお兄様の順番に座られました。ローザ様の隣にはマイン様、ビアンカ、それから座るように言われたのでフィリナが座りました。向かい側はミルフォードお兄様の前にアデリーナ、イリーナ、カトリーナ、ミラルテス、レイチェル、ディリーナ、クラリス、オリビア、ファリアの順に座りました。


レイチェルたちは居心地が悪そうに身をすくませています。改めて用意されたお茶を一口飲んでから、クラーラお姉様が口を開きました。


「わかっていると思うけど、私はあなた方がセリアテスのそばに居ることを認めたわけではないわよ。でも叔父様が認めたのだから、私が異を唱えても無駄なのでしょうね」


笑顔でおっしゃいましたけど、お姉様はまだ怒っていらっしゃるようです。


「そうですわね、クラーラ姫様。今までの態度を見ていれば、そう簡単に心を入れ替えるとは思えませんもの」


ローザ様も笑顔で言いながらも、きつい視線をレイチェルたちに向けています。


「そうよね、『親衛隊』などというもので、セリアのそばに居られるように丸め込もうとするのですもの。でも、伯父様はそんなに甘い方ではないわよ。今まではセリアが何も言わないから、あなたたちのことを放っておいたけど、今度はそうはいかないわね」


ビアンカまでがレイチェルたちに威嚇します。いえ、威嚇ではなくて事実なのでしょう。


「では、デルフォート伯爵令嬢クラリス。その親衛隊のことを知りたいので、話してくださらないかしら」


お姉さまは気を取り直したように言いました。他の方も興味津々という感じにクラリスの言葉を聞いています。クラリスは本の内容を思い出しながら説明をしましたが、緊張の為なのかそれとも内容をよく覚えていないのか、しどろもどろになりました。


「なんかよくわからないわね。どうしましょうか、クラーラ姫様」

「そうねえ。その本を読んだ方が早いのではなくて」


ローザ様とお姉様が相談します。お姉様の提案にローザ様が頷きました。


「その方が早いわね。じゃあデルフォート伯爵令嬢、明日はその本を持って、王城に来なさい」

「えっ。あの」


クラリスは突然言われて目を白黒させています。ローザ様はクラリス以外の令嬢方にも順番に視線を向けると言いました。


「もちろん皆様にも来てもらうわよ。よろしいわよね」

「はい」


皆様は戸惑いながらもローザ様に返事をしました。


「明日、皆様は王城に行かれるのですか」


疑問を覚えてそう口に出したら、呆れた視線がローザ様から飛んできました。


「セリアは何を言っているのよ。あなたが王城にくる日なのよ。そうしたら他の方も王城にくるしかないでしょう」


私に合わせたことみたいでした。ですが、私も3日置きに王城に通うことに、いつ決まったのでしたっけ?



317話です。


ひとまず取り巻き令嬢たちの話は終わりました。

次からは閑話の祖父話になります。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

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