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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
307/444

21-2 待つ時間の間の・・・

昼食を少し早い時間に食べ終わり、私はソワソワしてきました。もうすぐ約束の時間です。私の友人の令嬢方が保護者の方といらっしゃいます。いいえ、違いました。セリアテス(・・・・・)の友人でした。


今の私にとって友人・・・ではなくて友達なのは、ローザ様、マイン様、ビアンカ、フィリナ、カトリーナ様、イリーナ様、アデリーナ様の8名です。他の方々は一度ないし2、3度お会いした方達です。


令嬢方より先に、昨日と同じようにルートガー公爵家の馬車が来ました。乗っていたのは、ビアンカとカトリーナ様、イリーナ様、アデリーナ様の4名です。皆様は私が待つサロンへといらっしゃいました。それからすぐに、クラーラお姉様と共にローザ様とマイン様もいらっしゃいました。ローザ様とマイン様は昨日と同じようにクラーラお姉様のところにいらしていました。それから、フィリナは最初から私と一緒にいました。


皆様と挨拶を交わした後、誰もしゃべらないまま、しばらく時間が流れました。いいえ、待っている時の時間というのは、経つのがすごく遅く感じます。


時計にばかり目がいってしまい、何度目かの時間確認をしようとしたら、窓の外から馬の嘶きが聞こえてきました。思わず皆様と視線を交わしました。


「どうやら来たようね。セリアテス、大丈夫ね」

「はい、クラーラお姉様」


クラーラお姉様に笑いかけましたけど、頬が引きつっていてうまく笑えてないのがわかります。お姉様の手が私の頬に伸びてきました。そっと優しく触れ撫でてくれます。


「心配だわ。やはり私が」

「それは駄目ですわ、クラーラ様。昨日もそれで失敗してしまったでしょう」


クラーラお姉様が言いかけた言葉を、ローザ様が言葉を被せて諭すように言いました。


「ええ、そうよね。わかっているのだけど・・・。駄目ね、私は」

「そんなことはありませんわ、クラーラ様。本当は私だってセリアの代わりにあの令嬢()達とやり合いたいと思っていますもの。いけませんわね」


お姉様が私の頬から手を離し、項垂れてしまわれました。そんなお姉様にローザ様が苦笑いを浮かべておっしゃっています。お二人が私のことを思っての言葉だとわかっているので、私はお姉様たちに言葉をかけようとしました。その前にカトリーナ様が声をあげられました。


「クラーラ姫様、ローザ王女様。お気持ちはわかりますけど、そろそろ部屋を移らないとあの方たちと、顔を合わせることになりますわ」

「あら、いけない」

「そうね。そうなっては意味はないわ。じゃあ、私達は隣の部屋にいるわね、セリア」


私とフィリナを残して、他の皆様は隣の部屋に移動をなさいました。皆様が部屋を出られて私はほおーと息を吐き出しました。


「緊張をなさっていますね、セリアテス様」

「ええ、少しね」


フィリナが心配そうに声を掛けてきました。それに私は笑顔で答えます。


「でも、大丈夫よ。まずは話し合いからだもの。それよりもごめんなさい、フィリナ。あなたをつき合わせてしまって」

「いいえ、セリアテス様。私はセリアテス様の盾でございます。ですから、お気遣いなさらないでください」


その言葉に私の頬が引きつりました。笑顔がうまく作れません。代わりにフィリナが綺麗な笑顔を浮かべました。


「セリアテス様、そのようなお顔をしないでください。決めたのは私ですよ」


少しおどけた表情で私の顔を覗き込んできました。私はごくりと唾を飲みこむと、軽く息を吸ってはあ~と吐き出しました。いけないです。すぐに決意が揺らいでしまいます。これでは私の思いに応えてくれたフィリナに申し訳が立ちません。もう一度深呼吸をしてからフィリナの顔を見つめました。


「はい、わかっています。だから、何があってもフィリナのことは、私が守ります」


決意を込めて言ったら、フィリナがクスクスと笑いだしました。


「守るのは私ですよ、セリアテス様」


フィリナの表情が柔らかくなりました。どうやら私の緊張がフィリナにも移っていたみたいです。


「ええ、わかっています。でも、私にも守らせてください」


私も微笑んで言いましたら、フィリナはポッと頬を染めました。少し口を開けてパクパクと何かを言おうとしているのですが、言葉にならないみたいです。私のそばに居るようになってから、こういう反応はなかったから少し驚きました。


目をぱちぱちとさせてフィリナに何と言おうかと考えていたら、サロンの扉をノックする音が聞こえてきました。私は表情を引き締めて返事をしました。


「はい」

「セリアテス様、お客様をお連れいたしました」

「どうぞ」


私の言葉に扉が開き、案内されてきた令嬢たちが立っているのが見えました。


「お入りになってください」


私の言葉にレイチェルを筆頭に緊張した面持ちで皆様は中に入ってきました。皆さまが緊張をしていらっしゃるのは、案内をされたのが私の部屋ではないことだからでしょう。

それとたぶん、昨日のお母様に言われた言葉と、一緒にいらっしゃった保護者の方達が関係しているのでしょうか。



306話です。

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