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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
304/444

20-15 とりあえず、明日また令嬢たちと話します・・・よ

勢いのままに三人に友達になってほしいとお願いをしてしまい、ハッと気がついて頬に熱がのぼってきました。本当なら、もう少し違う形でお願いするつもりだったのに・・・。こういうのを勇み足というのでしょうか。


恥ずかしさにあさっての方向で考えていたら、おずおずとした声が聞こえてきました。


「あ、あの。本当によろしいのですか。わ、私なんかが、セリアテス様の友達にしていただいても?」


カトリーナが頬を赤く染めながら言いました。イリーナとアデリーナも同じように顔を赤くして私のことを見つめています。


「もちろんです。ぜひ、お願いします」

「こちらこそ、よろしくお願い致します」

「わ、私も、よろしくお願い致します」

「よろしくお願い致します」


カトリーナとイリーナとアデリーナは嬉しそうに返事をしてくださいました。受け要られてよかったです。

その様子を目を細めて見ていたミルフォードお兄様が言いました。


「よかったね、セリア。新しい友達(・・)が出来て。でも、セリアの言い方だと、これからたくさんの友達が出来そうだね」


なんとなく含みがあるような言い方です。それに気がついたのか、カトリーナが口を開きました。


「もちろんわかっております、ミルフォード様。私達はただ最初にお目に留まっただけのことだとは」

「わかっているのならいいよ。それじゃあ、明日は君たちにもまたご足労をいただくわけだけど、できれば先ほどのことは黙っていてくれるとありがたいかな」

『はい。承知しております』


お兄様に念を押された三人は頷いていました。


この後は少しお菓子を食べながら(もちろんプリンが出まして、令嬢方はその味に感激なさっていました)歓談をして、明日の約束をして令嬢方とビアンカは一緒に帰られました。


この時見送りに玄関まで行った私にカトリーナ様が小さな声で謝ってこられました。なんでも、前のセリアテスのことを『子供のくせに大人のマネをして高笑いをするなんてみっともない』と思っていたそうです。

私はその言葉を聞いて・・・恥ずかしくて穴を掘って埋まりたくなりました。


『気にしないでください』と言って、見送りましたけど・・・やったね。やっちゃっていましたよね。

予想通りの令嬢だったと、落ち込んでしまいました。


居間に戻り、作戦会議です。と言っても、一緒に来る保護者の方達をどうするかということでしたが、これはあるものを使うことで解決できそうです。それは遠話と遠見の魔道具を使うことでした。言葉の説明だけではわからなくてものを見せてくれました。


・・・というか、これってマイクと撮影用カメラとプロジェクターにスクリーンではないですか。誰よ、こんなものを持ち込んだのは!


ではなくて、なんか中途半端にあちらの世界の知識が入り込んでいますよね。時代が全然合っていないじゃない。


・・・いえいえ。それを言ったら、水洗トイレやお風呂のことも追及しないといけなくなるから、そこはいいことにしておきましょう。


とにかく、まずは親と子を別々の部屋に通して、私が令嬢方と話します。それを別室で親や保護者の方々に見せるのです。私の話が終わったところで、おばあ様が保護者の方達とお話することが決まりました。



おじい様、お父様、ジーク伯父様が帰ってこられて、一緒に夕食を食べました。そこで今日はどうなったのかと聞かれたのです。伯母さまやおばあ様が話そうとするのを止めて、私は自分で話しました。


そうしたら、明日はお父様がお休みなので、保護者の方々と話をすると約束してくださいました。お父様にご面倒をおかけするのは申し訳ないです。でも、このことが終わったら少し長期のお休みを取ることを、お願いしましたら、お父様がとてもうれしそうに笑って言いました。


「それはいいね、セリアテス。そうだな、久しぶりに領地にでも行こうか」

「それはいいかもしれないわね。そうしたら私達も、フォングブルクに寄ってから国に戻ることにするわ」


カテリア伯母さまの言葉に私はハッとなりました。そうでした。伯母さまたちは、私が倒れたことを知って、わざわざ来てくださったのでした。帰る国と待っている方達がいらっしゃるのです。いつまでもこちらにいられるわけはないのです。


「帰られてしまうのですね」


でも、気持ちが言葉となってこぼれ出てしまいました。すかさず、隣に座ったクラーラお姉様の手が伸びてきて、私の頭を自分の胸に抱え込みました。


「や~だ~。そんな寂しそうな顔をしないでよ、セリアテス。またすぐに会うことになるんだからね。2月には私達もちゃんとサンフェリス王家の一員としてこちらに来るわ。それに、まだ、もう少しは一緒にいられるのよ。まだ寂しがるのは早いわ」

「はい、クラーラお姉様」


お姉様の言葉に私は笑顔を浮かべました。そうしたら、もっとぎゅっと抱きしめられました。


「ああん、もう。可愛すぎて国に連れ帰りたいわ」


このあと、お姉様とお兄様たちの私の争奪戦が起こったのだけど、なんでかしら?



303話。

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