表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
287/444

19-7 侮られているということ

侍女の方たちがお茶を用意してくださいました。こちらは先ほどまで飲んでいたものとは違い、紅茶の味がします。


「どうしたらいいかしら。セリアの計画の邪魔をするつもりはなかったのだけど」


ローザ様が紅茶を一口飲んでから、ため息まじりに言いました。


「そうよね、あの子たちが失言でもしてくれればよかったのだけど、発言なさったのは他の令嬢ばかりでしたもの」


ビアンカもため息をこぼしました。


「まあ、あの子たちの心はくじかれたでしょうから、セリアに滅多なことはしてこないのではないかしら」

「あの、ローザ様、セリアテス様、ビアンカ様。大丈夫だと思いますよ」


フィリナがそっと会話に入ってきました。私達に注目されても、フィリナは動じた様子もなくしっかりと私たちの視線を受け止めています。


「大丈夫って何が?」

「セリアテス様の計画です。取り巻きの令嬢方はあれでおとなしく引き下がらないと思います」

「そういえばそうね。あれくらいでおとなしくなるような子達なら、セリアも困らなかったはずよね」


確信したようなフィリナの言葉にビアンカも肯定してきました。でも、ビアンカの言葉に首を捻ります。私はビアンカにその話をして無いですよね。


「あの、ビアンカ、いえ、ローザ様も、どうして私がしようとしていたことを知っているのですか。時間がなくてお話しする暇がありませんでしたよね」


フィリナから話を聞いたとしても、いえ、そもそも話をする時間などなかったと思うのですけど。そう思って二人に聞いてみましたら、ドレスの隠しから小さく折りたたまれた紙を取り出しました。


「ミルフォード様から頂いたのよ。これにはセリアが取り巻きたちを排除するために仕掛けるから、フォローをよろしくって」

「私にも同じことが書かれていたわよ。おまけでセリアと親しげな様子を見せてやれとも。さすがミルフォード兄様よね」


ビアンカが初めてお兄様のことを兄様呼びをされました。いとこだからそう呼んでもおかしくなかったのに、急にそう言ったので違和感が大きいです。


でも、お兄様が先に気を回してくださったのですね。さすがお兄様です。


「そうだったのですね。ありがとう、ローザ様、ビアンカ」


笑い掛けたら、何故かお二人は動きを止めてしまいました。その後まぶしいものを見るように目を細められたけど、何故でしょう。


「でも、まさか皆様がローザ様を無視するようなことをなさるとは思わなかったです」


私は思い出して嘆息するように言いました。


「私は、なんとなく想像はしていたわよ。まあ、あそこまであからさまにやられるとは思わなかったけど」


ローザ様はそう言うと紅茶を一口飲まれました。カップで表情が隠れて見えません。私の視線に気がついたローザ様が苦笑いを浮かべて言いました。


「セリアは忘れてしまったようだけど、今の私達王家は他の貴族家から侮られているのよ」

「侮られてって、どうしてなんですか!」


私の言葉にローザ様はもっと笑みを深めました。でも、その笑みは何かに耐えているようにも見えます。


「それはね、私達が『王家の青』を持たないからなの」

「王家の青?」

「ええ、そうよ。リングスタット王家の特徴は、ブロンドの髪とリチャード様の様なラピスラズリの瞳を持つものが生まれていたのよ。その瞳の色を『王家の青』と言っていたの。でも、お父様も私達も誰一人としてその色を持たないわ。それゆえに私達はリングスタット王国の王家として相応しくないと言われてきたの」


何のことはないという風に話されますけど、その事実がローザ様の心を苛んでいるのはわかります。まだ7歳の少女がその事実を受け入れて、立ち向かおうとしていたのですね。いいえ、いつからその事実を知ったのでしょうか。


だからセリアテスは、自分ではどうしようもないことで侮られるローザ様を、助けたいと思ったのね。


「でも、それはローザ様の・・・いいえ、リングスタット王家の責任ではないでしょう。遺伝的にも必ずその瞳の色が出るとは限らないはずだし」

『いでん?』


ローザ様たちが異口同音に呟かれたのでハッとしました。そうですね。こちらの世界では遺伝子のことはまだ知らないのですね。どうも、彼女の知識が変に頭の中にあるみたいです。


「えーと、ローザ様は王妃様と同じ髪と瞳の色をしていますよね。両親のどちらかにより似ているかということです」

「ああ、それを言葉に表すと遺伝という言葉になるのね」


拙い説明でしたけど、納得してくれたみたいです。あんな高度なことは私には説明できませんもの。


「ああ、ごめんなさい。話が逸れてしまったわね。そういえばフィリナ、どうしてあの子たちが引き下がらないと思ったのかしら」


ローザ様が振り払うように頭を振ってから微笑みを浮かべて言いました。フィリナはも笑みを浮かべて答えてくれました。


「あの方たちは最後まで、私のことを睨むのを止めなかったからです」



286話です。


さあ、皆さん! ここはとても大事です!

後でテストに出ますから、チェックしておいてくださいね。(笑)


では、また次話で会いましょう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ