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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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19-6 遣りすぎたかもしれない・・・

皆様は俯いて唇を噛みしめている方もいらっしゃいました。ドレスをぎゅっと握りしめている方もいらっしゃいます。その中でリッパート侯爵令嬢がキッと顔を上げられました。


「ですが、ローザ王女殿下よりもセリアテス様のほうが上のお立場にあられます」


リッパート侯爵令嬢の言葉に、何人かのご令嬢が顔を上げました。皆様、ご家族にそう言われてきたのでしょう。


「だから何を勘違いしていらっしゃるのかと、私は申し上げたいですわ。今日の私はフォングラム公爵令嬢として、このお茶会に参加しています。『女神様の愛し子』として招待されたわけではありませんのよ。そんなこともお分かりにならないとは。それに皆様、ローザ王女殿下に不敬を働いているってお気づきではございませんの。仮にも自国の王女殿下が開かれたお茶会だというのに。皆様がそのような性根でいらっしゃるのでしたら、私もそれなりの対応をさせて頂くだけですわ」


私の言葉に皆様は血の気を失った顔をしています。私はそれを見てローザ様に言いました。


「ローザ王女殿下、臣下である私の不徳の致すところにより、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした」


そう言って立ち上がり、ローザ様にお辞儀をしました。ビアンカとフィリナも立ち上がって、同じようにお辞儀をしました。他の令嬢方は動けずに体を縮こまらせています。


「フォングラム公爵令嬢セリアテス、ルートーガー公爵令嬢ビアンカ、スクワーレ伯爵令嬢フィリナ。どうか頭を上げてくださいな。私は気にしておりませんわ。そうね、いい機会だからここで宣言をしておきましょうか。私は自分の8歳の誕生日に友人を選ぶことは致しません。ですから、私主催のお茶会はこれが最後になります。皆様、最後のお茶会がこのようになってしまったのは残念ですが、どうぞお気をつけてお帰りくださいませ」


ローザ様も立ち上がり、皆様にお辞儀をすると出口に向かいました。皆様を見送るのでしょう。私は、ビアンカと顔を見合わせると、頷いて歩き出しました。それぞれフィリナの手を掴んで。フィリナと共に入り口に着いたらローザ様がおっしゃいました。


「本日はご来場いただきありがとうございました」


にっこりと笑われたローザ様の腕を私は掴みました。それと共にフィリナの手は離します。


「では、まいりましょうか。ローザ王女様」

「えっ? セリア」


私もにっこりと笑って、戸惑った顔のローザ様をサロンから連れ出します。廊下を王女宮のほうへ向けて歩いていると、後ろから私の名を呼ぶ声がしたので振り返りました。そこには私の取り巻きと言われる令嬢たちが並んでこちらを見ていたのでした。私はそれを一瞥すると、前を向いて歩いていきました。


王女宮に入ったところで、ローザ様の腕を離しました。怒りに任せてやっちゃいました。それも、最初は取り巻きだけを狙っていたはずなのに・・・。どうしましょう。


「すみません、ローザ様」

「あら、何が? その前に私の部屋に行ってくつろぎましょう」


今度はローザ様が私の腕に腕を絡めてきました。少し引きずられるようにローザ様の部屋に歩いていきました。


部屋に入りローザ様と並んでソファーに座りました。向かいにはビアンカとフィリナが腰かけます。ローザ様が機嫌よく話し始めました。


「あ~、すっきりしたわ~。見た? あの()たちの顔」

「ええ。一様に青ざめてましたわ。家に帰ってどう親に報告するのか楽しみだわ」


ビアンカも楽しそうに笑っています。その横で私の顔を見たフィリナが訊いてきました。


「セリアテス様、大丈夫ですか」

『えっ?』


フィリナの言葉にローザ様とビアンカが私の顔を見て、オロオロとし始めました。


「セリア? あの、そんなに気にすることないのよ」

「そうよ。セリアだって言ったじゃない。先に無礼な態度をしたのは、あの()達なんだから」


強気な発言で私の心を軽くしてくれようと、二人はなさいました。駄目ですね。毅然とした態度であの方達を罠にかけようと思いましたのに、ローザ様を無視するような皆様の態度に、つい怒りが募ってしまいました。


「本当に申し訳ありません、ローザ様。ローザ様にご迷惑をおかけするつもりはなかったのに」


シュンとした気持ちでそう言いましたら、ローザ様が手を握ってきました。


「だから、セリアが気にするようなことじゃないでしょう。ビアンカが言う通りに先に私に無礼なことをしたのは、あの()達なのだから。セリアがああ言ってくれて、私はスッとしたのよ。やはり、セリアはセリアなんだって思ったのよ」


ローザ様が微笑んでおっしゃいました。


「それよりも私のほうこそごめんなさい。セリアが取り巻きたちに仕掛けようとしていたのに、それを邪魔するようになってしまったわ」

「いいえ、そこは私のほうが譲れません。大切な友人であるローザ様を馬鹿にされたのですもの。それに比べたら彼女たちのことは些末なことです」


私はローザ様の手を握り返しながら言ったのでした。



285話です。


少し反省気味のセリアちゃんでした。

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