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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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19-1 決戦は・・・その前に王妃様と

今日は11月9日です。私は今馬車の中にいます。馬車に乗っているのは、お父様とお母様、お兄様と私の4人です。


今日はふた月ぶりのローザ様の友人候補を招いてのお茶会です。先月は私の王宮ぶっ倒れ事件があった為にお茶会は開かれていなかったそうです。


馬車に乗っているお父様は仕事で、お母様は私の付き添い、お兄様は第2王子のカークライト王子の所に行く日です。お母様は付き添いと言っても、同じ部屋にいるわけではありません。付き添いとしてきた方たちのお部屋があるそうです。中には親族の付き添いがなくて、侍女や侍従が付き添うことがあるそうです。その場合も、その方たち用の控室があると聞きました。


「セリア、あとのことは気にせずに思う通りにやってきなさい」


王宮にかなり近づいたところでお父様が言いました。


「セリア、無理にやらなくてもいいのよ」


お母様は心配そうにおっしゃいました。


「母上、大丈夫ですよ。セリアもちゃんとわかってますし、何かあったら私がすぐに助けに行きます」


お兄様が胸を叩く仕草付きで、頼もしくおっしゃってくださいました。


「大丈夫です、お父様、お母様、お兄様。私は一人ではありませんもの。それよりも、帰りはフィリナも一緒でいいのですのよね」

「ええ、そうですよ。フィリナと一緒に帰りましょうね」


お母様が目を細めて微笑んで言いました。実はお母様が昨日から楽しそうなのです。お母様はフィリナのお母様のマリーナ・エルト・スクワーレ伯爵夫人のことをかなり気にいったようなの。フィリナ同様控えめながら、芯がしっかりした方みたいで、お母様の問いにちゃんと答えていらっしゃったことが、気に入られたそうです。


お母様がフィリナ様たちが帰られた後に、こっそりと教えてくれたのよ。お母様は公爵夫人ということと、少しつり上がり気味の目から、身分が下の貴族の方たちから敬遠されていたそうなの。でもそれをいいことに、お母様はあまり他の方たちを寄せ付けないようにしていたそうよ。本当は人見知り気味で他の方と会話するのが苦手なのですって。


いたずらっぽっく微笑みながらそう話してくださったお母様は、とてもかわいらしかったのよ。きっとお母様は社交の場では自分を押し殺して毅然としていらっしゃったのだわ。


うん。覚えていないけどわかる気がします。それを見ていたセリアテスは敬愛するお母様に近づきたくて頑張ったのよ。小さな淑女(リトルレディ)と呼ばれるくらいに。


私もまたお母様に誇っていただけるように頑張ろうと思います。


王宮に着いてお父様は仕事場に行かれ、お兄様は王子様が待つ王子宮のほうに向かい、私と母は先に王妃様の所に行きました。王妃様の所にはマイン様がいらっしゃって、私が姿を見せるととても喜んでくださいました。


「セリアテスおねえさま、いらっしゃいませですの~」

「はい、マイン様」


私に抱きつくようにそばに来たので、私はその体をそっと抱きしめました。マイン様が嬉しそうに私のことを見上げます。そんな私たちを見つめている王妃様にお母様が声をかけました。


「王妃様、少しお話がございます。よろしいでしょうか」


お母様の様子に王妃様は頷きました。そして左手をあげました。それを見て部屋の中にいた人たちが、部屋を出ていきました。


「これでいいかしら、ミリー」

「ええ、悪いわね。エリザ」


そして私たちはソファーのほうへと移動をして座りました。時間もないことですし、お母様が手短に今日ローザ様のお茶会で、私がやろうとしていることを説明しました。話を聞いた王妃様はにっこりと笑いました。


「そう、わかったわ。セリアテスが周りに自分の立場を明確にわからせようとするのね。いいことだわ。気にせずにやってしまいなさい」


王妃様の賛成の言葉に私は目を瞬きました。澄ましてそうおっしゃられましたが、眼が楽しそうにきらめいています。


「あの、王妃様。ローザ様にも、先に話していませんけど」

「ああ、大丈夫よ。あの子なら、あなたの意図を察するはずだから」


王妃様の言葉にマイン様がソワソワしだしました。


「おかあさま、マインがおねえさまのところにいってきますの~」


そう言って立ち上がり、部屋を出ていこうとしたのです。


「待ちなさい、マイン。あなたはこの部屋を出ることは許しません」

「おかあさま~」


立ち止まって振り返ったマイン様は懇願するような声を出しました。


「勘違いしては駄目よ。今日のお茶会の主催者はローザよ。ホストとしてのあの子の力量が試されるのよ。お茶会で何が起こったとしても、あの子がそれを収めなければならないのよ。いいこと、マイン。私達王族も常に周りから見られる立場なのだと自覚なさい」


マイン様から私に視線を移した王妃様は、厳しい眼差しを私にも向けてきました。


「セリアテス、あなたも同じよ。意図せずに『女神様の愛し子』になってしまったとはいえ、あなたの一挙手一投足を周りの者は見ているわ。それの意味をわかっているからの、今日の行動なのよね」

「はい、そうです。王妃様」


私は神妙に頷いたのでした。



280話です。


あと20話で300話。

思えば、ここまで長い話にする予定ではなかったのに・・・。

でも、セリアちゃんをセリアちゃんらしくしていたら、こんな風になりました。

よし、目指せ500話!(って、そこまでいくのかな?)


それでは、次話でまた!

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