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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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18-7 計画を話します

私の大声に驚いたのか「わあっ」という、ソニック君の声が聞こえました。


「なんか、面白いことになっているね。フィリナ嬢、もしよければ詳しく教えてくれないかな」


ミルフォードお兄様がそう言ってそばに来て私の隣に座りました。ソニック君も両手に紙を一杯もってこちらに来ました。どうやら折り紙で遊んでいたようです。ソニック君はフィリナ様の隣に座ると折り紙の続きを始めました。


「ミルフォード様、今言った通りです。ローザ王女様がセリアテス様のお役に立ちたいと考えられたことです」

「そうなの。でも、ローザ王女も君同様、今までそんな訓練はしてないだろう。もう少し違うやり方があるんじゃないかい」

「いいえ。ローザ王女様はセリアテス様のお話をそばで聞いていて考えられたのです。魔物に対抗するためにも、今から体を鍛えたほうがいいと。それならば、ついでに目標を定めようとおっしゃいました」


フィリナ様の言葉にお兄様は顎に手を当てて考えるような仕草をしました。


「それがセリアを守る女性騎士か」

「はい、そうです」

「だけど、ローザ様は王女だろ。王女が騎士になるのはどうかと思われるけどね」

「それはローザ王女様も周りから言われるだろうと、言っていました。ですが未曽有の危機に対するためです。王家のものがまず態度で示すべきだとおっしゃいました」


フィリナ様の言葉にお兄様はフッと息を吐き出しました。


「それを言ったのが、なぜカークライト王子じゃないんだろうね」


呟くように言われたこの言葉はお兄様の本音ですよね。なんとなくお兄様の苦労が見えた気がします。お兄様は気を取り直したようにフィリナ様のことを見ました。


「じゃあ、確認だけど、ローザ王女は自分の誕生日でそれをみんなに伝えるんだね」

「はい、そうです」


お兄様が私のほうを見て頷きました。私もお兄様に頷き返しました。


「それならば好都合です。フィリナ様、必ず私があなたのことを守りますから、私に協力してください」

「協力するのは構いませんが、何をなさるおつもりですか」


フィリナ様が興味津々という風に聞いてきました。少し楽しそうな感じがします。その様子に申し訳なさがこみあげてきます。


ではなくてそうです、説明です。


「フィリナ様、明日は月に一度のローザ様の友人候補を招いてのお茶会があるのは知っていますよね」

「はい、子爵家以上の家の子供が対象ですよね」

「そうです。貴族家でローザ様と同い年の子供がいるのは33家です。そのうち令嬢がいるうちは19家です。男爵家の4人の方を抜いたら15名です。それから、二つ年上の方たちも対象になるので総勢43名になります。この中には私の友人という名の取り巻きの方が6名いらっしゃるのはご存知ですか」

「もちろんです。華やかな方たちですよね」


フィリナ様は頷きながら答えてくださいました。


「私はその方々を友人と認めないことに決めました。なので明日、その方々に罠を仕掛けます」

「罠ですか」


フィリナ様は驚きに目を丸くしました。私はフィリナ様から視線を外して、ぎゅっと手を握ると一気に言いました。


「はい。そのためにも・・・その、フィリナ様には・・・餌になっていただきたいのです」

「はああ~、餌ですか~」


間延びした声で繰り返して言われるフィリナ様。目をつぶる私の耳にクスッと小さな笑い声が聞こえてきました。恐る恐る目を開けるとおかしそうに笑っているフィリナ様がいました。


「本当にセリアテス様はお優しいです。そのような言い方をなさらずにお命じくださればいいのに」

「友人にそのようなことはできません」


私の言葉にフィリナ様は尚更クスクスと笑いました。


「本当にセリアテス様は~、真面目なのですから」


笑いを押さえてフィリナ様が真顔に戻りました。


「計画を教えてください」


そのフィリナ様にお兄様が笑いかけました。


「計画といってもね、そんなに難しいことじゃないんだよ。明日のお茶会は先月開かれなかったことと、セリアが愛し子になったことによって、ローザ王女よりセリアのほうに注目が集まると思うんだよね。そしてあの()達は当たり前のようにセリアのそばに来ようとするだろう。だけど、ビアンカはそれを許さないだろうね。ローザ王女は主催者の立場だから表立って動けないし、セリアにべったりするわけにもいかないね。だからビアンカはローザ王女のためにも、セリアのそばにあの()たちを近づけさせたくないわけだ。でも、今までビアンカはセリアと距離を取っていたこともあるし、いとことはいえ同じ侯爵家だから、あの()たちが遠慮しないはずなんだ。それでね、あの()たちに立場をわからせるためにも、あの場で恥をかいてもらうことにしたんだよ」

「恥、ですか。それはどういう風に」


フィリナ様が首をかしげながら聞いてきました。


「女神様の愛し子という立場を使います。私は自分からあの方たちには話しかけません」


私の答えにフィリナ様はパチパチと瞬きをしました。



274話です。


あと1話かな~?


お読みいただきありがとうございます。

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