表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
274/444

18-6 なってもらうはずだったのに・・・

さて、とりあえず話は済みました。あとは大人同士で話をするからと、私とお兄様とフィリナ様と弟君は居間を追い出されました。私とスクワーレ伯爵との話はまた次に合った時になります。なので、2階のサロンに移動です。


サロンではお兄様が弟君、では失礼ですね。お名前はソニック・アルジャーノ・スクワーレ君です。12月で5歳になるそうです。いとこのギルベルトとアマリアと同い年になります。これから二人のいいお友達になるといいのですけど。


あら、いけない。そうではなくて、お兄様がソニック君の相手をしてくださるので、その間にフィリナ様とお話です。


侍女の方がお茶を用意してくださって向かい合って座っています。


「えーと、ごめんなさい、フィリナ様。あなたのこれからを勝手に決めてしまいまして」

「そんなことはおっしゃらないでください、セリアテス様。私は気にしていません。それよりも私は本当に幸運だと思っていますから」

「幸運?」


フィリナ様の言葉に首をかしげます。その様子に、フィリナ様が少し頬を赤らめながら、苦笑を浮かべました。


「ええ。先ほどのセリアテス様のご指摘通りに、うちにいたら満足に体を鍛えることはできないでしょう。セリアテス様の盾になると豪語しておきながら、実際にはどうしていいかわかっておりませんでした。父も私のために先生を探そうとしてくれていたのですが、そういう方の伝手がなくてどうしようかと悩んでおりました。今回の申し出で探す手間が省けました」


えーと、伝手を使わないと探せないってどういうことなのでしょうか?


「セリア、うちみたいな家なら警備にも力を入れているけど、普通の貴族だと領地も少ないし、人材もそこまでいないんだよ」

「・・・ああ、そういうことですのね、お兄様。わかりましたわ」


お兄様が笑いながら教えてくださいました。そうでした。だてにうちは公爵家ではありませんのね。でも、それだけ責任も大きいのでしょう。


「はい。ですからこちらにお世話になれば新しく先生を雇わなくていいと言いうことです」


明るく笑ってフィリナ様がおっしゃってくれます。けど、私は笑うことができません。


「フィリナ様・・・」

「セリアテス様、その呼び方をやめていただけませんか」


私が口を開きましたら、フィリナ様に言われてしまいました。様つけが駄目だということですよね。


「今日から私のことはフィリナとお呼びください」

「でも、あなたは私の友人で使用人ではありません」

「そうです。ですけど、これからは必要なことですよね」


当たり前な事のようにフィリナ様がおっしゃいます。全然当たり前なことではないのに。


「でも、でも、フィリナ様。私はあなたに望まぬ道を進むようにするのですよ。あなたに女性騎士になってもらわなくてはならないのです」

「ああ、やはりそのことなんですね。セリアテス様が私におっしゃりたかったことは」


フィリナ様はにっこりと笑いました。


「どうして。私はフィリナ様に騎士になることを押し付けるのに笑えるのですか」


私の言葉にフィリナ様は困ったように笑いました。


「本当にセリアテス様はお優しくていらっしゃいます」

「優しくなんかないです。私は権力を使って望まぬことを押し付けようとしているのに」

「いいえ、セリアテス様はお優しいです。権力を使ってなどというのであれば、ただお命じになればいいのです。それを私を預かりたいなどと申していただいて。ちゃんと私のことを考えてくれているじゃないですか。それにお忘れですか。私たちが15歳になった年に魔物の大量発生が起こるのであれば、今からそれに備えなければいけませんよね。ただやみくもに体を鍛えるのでなく、指導いただいて鍛えられる機会を頂いたのですよ。これを幸運と言わずに何だというのですか」


フィリナ様の言葉に私の目には涙が浮かんできました。


「それだけでなく、私をセリアテス様の専属騎士になれと言っていただけるのですよね。こんなこと、他の方には譲れません」


にこっとフィリナ様は笑いました。


「私は絶対にセリアテス様が8歳になるまでにセリアテス様のそばにいるのにふさわしい存在になって見せます」


自信を見せてフィリナ様はおっしゃってくださいました。


「・・・って、えっ? 8歳になるまでって?」

「お忘れですか? セリアテス様。この国の王族は8歳になると友人を指名する制度があることを」

「ええっ、知っているわ。でも、それは王族の話でしょう?」


フィリナ様の言葉に首をかしげながら答えます。


「本当はまだ内緒なのですけど、ローザ王女様が決意なされたのです」

「ローザ様が? 何を?」


ローザ様の決意って何でしょうか? それをフィリナ様に話すくらいに仲良くなっているのですよね。


「ローザ王女様は自分の誕生日に友人を選ばれません。代わりにセリアテス様の友人として女性騎士になることを決められました。その節には私にも女性騎士に一緒になろうとお誘いいただけています。ですので、セリアテス様のご心配は杞憂だったというわけです」

「ええっ~!」


私はフィリナ様の爆弾発言にはしたなくも大声を上げてしまったのでした。



273話です。


最後にセリアちゃんは驚かされました。

悲壮な決意だったはずなのに・・・。


では、次話でまた会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ