2-6 王妃様と私の話し合い?・・・ですか?
王妃様も周りを見回すと肩をすくめました。
「周りを気にしなければならない話はしていませんわ」
「お母様!お母様が気にしなくても周りが気にしますの!」
「はい、はい。・・・ほんと、誰に似たのかしら」
「お・か・あ・さ・ま!」
「おお、こわっ」
王妃様はおどけるとマイン王女様に抱きつきました。
ローザ王女様はムッとした顔をして黙ってしまいました。
「ふふふっ、ごめんなさいね。おどろかせてしまったかしら」
「はい。・・・あっ・・いえ。・・・えっと、すみません」
おもわず肯定してしまい、謝ってしまいました。
「うふふ、気にしないでね。それにしても、性格も変わったみたいね。今までと話し方も違うし、こんな素直な反応しなかったもの」
「そう・・・なのですか」
「・・・私もそう思っていましたわ」
「お母様も?」
「ええ・・・」
お母様の顔を見ると、浮かない顔をしています。
お母様は相変わらず私の髪を撫ぜてくれています。
「でも、やはり駄目みたいね。私たちを見ても思い出さないようですしね。」
「そうね・・・」
「あの、私の記憶を思い出させるために来てくださったのですか?」
王妃様の言葉に思ったことをきいてみました。
「いいえ。純粋にお見舞いよ」
答えたのはローザ王女様です。
「ふふ、そうよ。お見舞いよ。あと、謝りにね」
「えっ?」
「あなたは怪我をした時のことは覚えているのでしょう」
「はい」
「では、そのお茶会を開いたのは誰かしら」
「それは・・・」
「私の主催よね」
「確かにそうですけど・・・」
「あなたが怪我をした責任は私にもあるわ」
「そのようなことは・・・」
「いいえ。あの会は私が開いたもの。招待客の安全に配慮しなければならなかったわ。突発的なことだったとしても責任は免れないのよ」
「・・・でも、誰も悪くはないんです。・・庭園に行ったのは、・・私が・・誘ったの。・・たまたま、ハチがいて・・驚いた令嬢・・たちが・・逃げようとした・・先に・・私がいただけなのです。・・そのあとも・・意識を失ったのも・・何が・・原因?・・か、わからないけど、・・誰かが責任を負う・・ようなことではない・・と思っています。・・記憶を失ったことも」
目を閉じ、思い出しながらポツリポツリと言葉を紡いでいきます。
目を開いて王妃様を見ました。
「しいていうのなら、運が悪かった・・・ですかしら」
私の言葉に王妃様の顔には笑みが広がっていきます。
「そう。そう思ってくれるのね」
王妃様の反応に首をかしげながら頷きました。
「では、セリアテス。あなたにお願いがあるの。あなたに怪我をさせてしまったと気に病んでいるご令嬢がいるの。その方と話をしてもらってもいいかしら。あなたがそう思っているとあなたの言葉で伝えてほしいの」
王妃様の言葉に驚きましたが納得もしましたので、もう一度頷いて了承の意思を伝えました。
「ふふっ。あなたは本当にいいこね」
(えーと、なにが含まれた言葉なんでしょう)
意味がわからず王妃様を見つめていると、お母様のため息が聞こえてきました。
お母様を見ると私に微笑んでくれました。
「じゃあ、もう、この話はおしまいにしましょう。ローザ、マイン、お待たせしたわね。私とミリーはあちらで話をするわね」
そう言うと王妃様とお母様は隣の部屋に行ってしまいました。
王女様達も呆然と見送っていましたが、私と目が合うと慌てたように目をそらされました。
メイドさんが新しくお茶を入れてくれました。
一口飲むと気持ちが落ち着きました。
「あの、ローザ王女様、マイン王女様。私、先ほど目が覚めたので、今の時間がわかりませんの」
私の言葉にローザ王女様も思い出したようです。
「今は午後の3時くらいかしら。てっ、ああ。セリアは昼食を食べていないのよね」
「はい」
「ここにあるものでいいかしら。それとも、もう少し食べやすい物の方がいいかしら」
ローザ王女様があれこれ悩みはじめました。
「あまりお腹がすいていないので、ここにあるもので大丈夫です」
「そう。あ、じゃあ、果物は。食べたいものがあればすぐ用意するわよ」
(えーと、王妃様、お母様、私達だけにして、何を、どうしろというのでしょうか?)
王女様の慌てぶりに、どうしたものかと思ったのでした。
26話です。
おかしいです。王女様のターンじゃなかったです。
次回こそ!
それとそろそろ信望者1号を!!
補足 というか漢字の読み方のことで。
「私」という漢字は読み仮名がないと「わたし」「わたくし」のどちらともとれますよね。
王妃様、お母様、記憶を失う前のセリアは「わたくし」と言ってます。
えっ、言われなくてもわかっていたって。
こりゃまた失礼しました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは、次回で!




