17-4 さあ、挨拶大会の始まりです
私はお兄様達の気持ちに胸が熱くなりました。涙をこぼすまいと目に力を入れたけど、溢れてきてしまいました。そばに来たお母様が手巾で涙を拭ってくれたの。
「セリア、もちろん二人だけじゃない。私達だって全力で守るから、セリアの好きにしていいのだからね」
お父様の言葉に口元に笑みが浮かびます。
「駄目ですよ、お父様。そんなに甘やかされたら私、我儘な子になっちゃうじゃないですか」
私の言葉にお母様が笑いながらおっしゃいました。
「大丈夫よセリア。あなたはぜんぜん我儘じゃないわ。それどころか今まではあまり我儘を言ってくれなかったのよ。おねだりだって自分のためにすることはなかったもの」
そうなのですね。前の私は我儘ではなかったのですね。そうなんだ。良かった、良かった。
・・・あれ? でも、私が覚えている自分は、我儘なお嬢様だった気がするのだけど?
それとも、ゲームのセリアテスと取り違えているのかしら?
私の気持ちが落ち着くのを待って、また大広間に戻りました。
さあ、各家の方々とのご対面です。
大広間には公爵家と侯爵家がいらっしゃるはずなのですが、戻った私はその人数に圧倒されました。先ほどは各家の当主夫妻しか大広間にいませんでした。今はその一族郎党が各家ごとに揃っていらっしゃいました。
では、まずは公爵家です。リングスタット王国には5つの公爵家があります。1つはうちのフォングラム公爵家です。あと、母の実家であるルートーガー公爵家、現宰相様のレグルス公爵家、神殿でお会いしたエルミニア様のフェルセス公爵家、同じく神殿でお会いしたテオドール様のビッテンフェルト公爵家です。
さて、ここで、先に少し説明をしましょうか。
今日のお披露目は、別名挨拶会です。キャバリエ公爵家こと、サンフェリス国王太子一家と、「女神様の愛し子」である私に、挨拶をするためにリングスタットの貴族が集まっています。だから、少しでも私に覚えてもらおうと、私と歳が近い子供を連れてきていたりします。
一応、少し基準が設けられていて、その家の当主一家と、同居している親族までとなっています。
だから神殿でお会いした時にビッテンフェルト家のテオドール様がおっしゃった、伯母さまといとこの方もいらっしゃっているのでしょう。
私達の前にまずはフェルセス公爵家の方々がいらっしゃいました。
公爵家の中にも序列があるそうです。今の筆頭公爵家はフォングラム公爵家だそうです。これは王家との血の近さを表しているとか。曾祖母が王女だったうちが一番血が近いそうなのです。私から見て3代前になります。
次がフェルセス公爵家で、4代前に王女が降嫁なさっています。その次がレグルス公爵家で5代前に王女が降嫁なさりました。その次のビッテンフェルト公爵家とルートーガー公爵家には6代前に入っていますが、ビッテンフェルト公爵家には王子がルートーガー公爵家には王女がそれぞれお婿入りお嫁入りなさったそうです。
この世界の公爵家の序列は家の歴史の長さなのではなくて、王家との血の濃さという事を、昨日教えてもらった時には驚きました。
・・・話はフェルセス公爵家の方々が挨拶にいらっしゃったところに戻ります。皆様はまずサンフェリス国王太子一家であるジーク伯父様達に挨拶をします。その後、私に挨拶することになっています。
実はこの順番について少し揉めました。「女神様の愛し子」である私に、先に挨拶をするのが筋だろうと。でも私が「国賓であるべきサンフェリス国王太子一家に先に挨拶をしないのはおかしい」と言いましたら、それがとおりまして、先に挨拶をすることになりました。
フェルセス公爵家は当主夫妻、その息子夫妻、孫が4人、孫の長男の妻の計9人でした。エルミニア様が私と目が合うと微笑んでくれたのが嬉しかったです。
次のレグルス公爵家は言宰相夫妻が当主でその息子夫妻と孫のアルザス様の5人でした。挨拶が済むと宰相様は国王陛下のそばに戻られて、アルザス様はカークライト王子の後ろに立たれました。
・・・つまりあの話は通ったということですね。それで私が不快感を示すのをそばで見学なさると・・・。
ビッテンフェルト公爵家は当主夫妻と3人の子供と当主の姉とその子供の計7人でした。当主の姉はここぞとばかりに私に話しかけてきましたが、ビッテンフェルト公爵にたしなめられてすぐに話すのをやめて離れていきました。離れる時に目が合ったテオドール様が軽く肩を竦めていらっしゃったのが印象に残りました。
次にルートーガー公爵家が挨拶に見えました。エグモント叔父様の挨拶の後にウルリーケ叔母様、ビアンカ、ギルベルト様が一言ずつおっしゃられて離れていきました。
次は侯爵家の方々です。リングスタットの侯爵家は15家あるそうです。
まずはアルンスト侯爵家からです。アーマド叔父様の挨拶の後にソフィティア叔母様、シュレイン様、アマリア様と続きました。挨拶後アーマド叔父様はお父様のそばに、シュレイン様はシュナイダー王子の後ろに、ソフィティア叔母様とアマリア様はルートーガー公爵家のそばへと行かれたのでした。
260話です。
挨拶大会に入りました。
サクサク進めて、次でざまぁを!
・・・って無理かもしれないけど・・・。




