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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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17-3 お兄様達の決意・・・

3人の騎士の方はばつが悪そうに立ち上がりました。それと共に剣を腰に戻しました。

最初に来た方が頭を下げられました。


「申し訳ございませんでした、セリアテス様」


他の2人の方も同じように頭を下げられました。近衛騎士団長(で、合っていたかな?)がそばに来て、3人を連れて離れていきました。


そうしたら、宰相様が笑顔で近づいてきました。その笑顔が少し怖いです。

・・・勝手なことをしたから、もしかしたら怒っていらっしゃるとか?


「神子の故事に倣われたのでしょうが、できれば先にお教えいただきたかったですね」


宰相様はお父様に話しかけるようにして、他のみなさまにも聞こえるように話しています。


「申し訳ない、宰相殿。息子から神子とは違うがお披露目をするときには、守護騎士も同時に選ばれるものだろうと言われてね。セリアテスはまだ7歳だし仮初めの騎士なら、息子で十分だろうと思ったのだよ」

「レグルス宰相。それを聞いたうちの息子も、守護騎士になるのは一人でなくていいのなら、是非自分もと申し出たのだよ。セリアテスもミルフォードとオスカーの2人ならと承知してくれたのだ」


お父様とジーク伯父様が故事に倣ったということに同調されていますが、私の心の中で納得できないという思いが広がります。お父様も伯父様も本当は分かっているとは思います。事を荒立てずに収めたいのでしょうけど、お兄様達の気持ちを無視されているようで嫌です。


「わたし・・・いが・・・のはいやです」


気がつくと言葉が口をついて出ていました。口を手で押さえたけど、一度出た言葉は戻せません。それでなくても、女神様の愛し子(わたくし)の言葉の影響力は計り知れないものがあるというのに・・・。


私は唇を引き結び軽く首を振りました。なんでもないというように。


「どうかなさいましたか、セリアテス様」


それなのに宰相様が優しく聞いてきました。私はもう一度首を振りました。


「セリアテス様、どうかお心のままにおっしゃってください。セリアテス様がお心を痛められる方が、私共には堪えます」


宰相様の言葉に私は口の中の唾液を飲み込みました。それに、先程一度その言っています。このままなあなあで済ませられるくらいなら、私の言葉にしてしまった方がいいかもしれないです。


「私は・・・先ほども言いましたが、私にはミルフォードお兄様とオスカーお兄様以外の守護騎士は必要ありません」


キッパリと言い切りました。宰相は少し驚いたように私を見てきました。


「それは、これから先セリアテス様に騎士の誓いを捧げても自分の騎士と認めることはない。ということでよろしいでしょうか」

「はい。守護騎士(・・・・)としては認めません」

「守護騎士としては・・・」


宰相様はゆっくりと噛みしめるようにおっしゃいました。


「それではセリアテス様、聖騎士がセリアテス様につくことは構わないとおっしゃるのですね」

「守護騎士という呼び名でなければ・・・」

「わかりました。神殿の方にもそう伝えておきましょう」


宰相様は私に向かって恭しく頭を下げました。


そのあと、一度私達は退室しました。控室に戻り私はホッとしました。その私のそばにお兄様達が来ました。私はお兄様達のことを見ましたが、随分情けない顔をしていたようです。お兄様達の表情が曇ったからです。


「ミルフォードお兄様、オスカーお兄様、ごめんなさい」


私が謝りましたら、お兄様達が私の手を握って言いました。


「何を謝るのセリア?」

「そうだよ、セリアテス。君は謝るようなことはしていないだろう」


お兄様達の言葉に私は泣きたくなりました。


「だって・・・余興だって・・言っていたのに。私の緊張を解すために考えてくださったことなのに・・・。それなのに、みんなの前で宣言をしてしまいましたもの」

「な~んだ、そんなことか」


オスカーお兄様が私の左手を両手で包み込むようにして、ギュッと握りしめてきました。


「気にし過ぎだよ、セリア。逆に僕はうれしいよ。セリアの守護騎士として認めてもらえたんだもの。ね、オスカー」


ミルフォードお兄様にも右手をギュッと握りしめられました。


「ああ、そうさ。女神様の愛し子の守護騎士は我ら二人。ゆめゆめお忘れなきように」


おどけた様にオスカーお兄様が言い、私の手を離して大袈裟にお辞儀をしました。


私達3人のことを離れて見ていたお父様が近づいてきて、私の事を抱き上げてしまいました。左腕に座らされて、お父様と目線が合います。


「セリア、先程二人が行ったことは、確かに余興だったよ。だけど、故事に倣ったのも事実なら、セリアが二人以外の守護騎士は嫌だと宣言してしまったのも事実だね」

「はい」


お父様の言葉に事の重大さに眩暈がしてきそうです。


「だけどねセリア、あの場でああいったことを行えば、周りからどう思われるかは予測できたことなのだよ」


お父様の言葉に私はゴクリと喉を鳴らして、唾を飲み込みました。


「まさか・・・」

「聡いセリアのことだ。もうわかったのだろう。二人は最初から覚悟を決めていたのだよ。これからセリアがしようとすること、為すべきことの手助けとなるようにとね」


私はお父様に抱えられたまま、お兄様達のことを見ました。優しく私の事を見つめる瞳の中に決意を秘めた色が見えます。男の決意の色に心臓がドキリと音をたてました。



259話です。


さあ、ミルフォードたちが守護騎士になりました。

これからどうなるのか?

ひとまずは、ざまぁに向けて書き進めますか。

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