2-5 王妃様とお母様の話し合い・・?です
「失礼するわね、セリアテス」
声をかけてきた女性の様子から、王妃様かなとおもいながら、頭をさげました。
「いいのよ、そのままで。気にせず楽にして頂戴」
女性の言葉に頭をあげて彼女の顔を、目を見る。
私はその人に微笑むと、応接セットのほうを指さした。
「少しお待ちください。そちらに移動します」
「無理をしなくていいのよ」
「いえ。・・・ベッドにいるより起きていた方が気持ち的にも楽です」
お母様とメイドさんに手を貸してもらいソファーに座らせてもらいました。
お母様が私の隣に、女性と女の子達が向かいのソファーに座りました。
メイドさんがお茶と軽食を用意してくれました。
お茶を一口飲むと女性が話しかけてきました。
「本当に目が覚めてよかったわ。とても心配したのよ」
「ありがとうございます」
「セリア、こちらはね」
「待って、私から言うわ。自己紹介するわね。エリザ・フィンドレス・リングスタット、この国の王妃よ。このこが私の娘で第1王女のローザ・クリスタル・リングスタット。で、このこが第2王女のマイン・アリアリア・リングスタットよ。」
何と言っていいのかわからなくて軽く頭を下げました。
ローザ王女は困ったように私を見ています。
マイン王女は・・・なんでしょう?目をキラキラさせているんですけど。えっと・・・なんで?
「ふふっ、そうよね。困ってしまうわよね」
王妃様が楽しそうに話してきたけど、返事のしようがなくて王妃様を見つめてしまいました。
王妃様は息をのんだようです。なんででしょう?
「コホン。それにしても本当に変わったわね。もともとミリーに似て可愛い顔をしていたけど、髪の色が変わっただけで、こんなにも印象が違ってくるのね」
「エリザ様・・・」
「ミリー、言葉を濁しても仕方ないのよ。事実は事実としてちゃんと伝えなくちゃ。それとも、貴方の方がまだ、受け入れられないのかしら」
「エリザ」
お母様が王妃様を睨んでいます。
私は言葉を挟んじゃいけない気がして黙って二人の顔を見ています。
王女様たちも私と同じように二人の顔を交互に見ていました。
「うふふ、ミリー。意地悪するつもりじゃないのよ」
「・・・わかっているわ」
「じゃあ、そんな顔をしないの。セリアだって困ってしまうわよ」
お母様が私の方を向きました。目が合いました。しばらく私の目をじっと見た後、ため息をつかれました。
王妃様の方を見てつぶやくようにいわれました。
「本当にいい性格してるわよね」
「ふふふっ、何年の付き合いだとおもっているの」
「・・・出来ることなら違うところで言って欲しかったわ」
「それじゃあ意味がないでしょう。ミリーは言葉を飲み込んで言わなければいけないことを、言いそびれるんだもの。これは神様があなたにやり直させようとはからってくれたのよ」
「・・・いくらなんでもそれはひどすぎるわ」
「あら、ひどいことかしら?」
「だって、そうでしょう。やり直させるならセリアの記憶を失くすのではなく、私の記憶を失くしてくれればいいじゃない」
「それではやり直しにならないでしょう。貴女が記憶を失くしたって素直になるとは思えないし。それにそうなったら子供達がとても悲しむと思うわ」
また、お母様が私の方を向きました。目が合いましたが・・目に浮かぶ感情が揺れているのがわかります。
お母様が私の頭に手を伸ばし撫ぜてきました。
「それでも・・・この子ではなく私だったらと思ってしまうわ」
「親としてはそう思うのは仕方ないわよね」
二人の間で納得したようですね。えー、では・・・何と言って声をかけましょうか?
「お母様、もうそろそろよろしいかしら?」
私より先にローザ王女が口を開いていました。ローザ王女は憮然とした表情をしています。
えーと、呆れているの、かな?
「そういう会話は別の所でお願いします。病み上がりの方を無駄に疲れさせないでください」
「あらー、耳に痛いわね」
「お二人が幼なじみで仲がいいのはわかっておりますが、もう少し周りを気にしてくださいまし」
周りをみるとメイドさん達が困った顔をしているのが目にはいりました。
25話です。
王妃様・・・。
という回でした。
次回は王女様のターンです。




