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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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兄話3-18 提案、そして妹の焦り

セリアテスは演台に立つ前にその横でお辞儀をした。会議室の中の空気がザワリと揺れた。


セリアテスが演台に立ち、話し始めた。セリアテスはゆっくりと話していく。

『提案とお願い』の言葉とセリアテスが頭を下げたことに、ざわめきが広がった。

レオポルド神官長などは壇上に駆け上がって、そんなことはしなくていいと言いたそうに見えた。だけど女神様に言われた『セリアテスの言葉をよく聞きなさい』という言葉に阻まれて、動く事が出来ないようだ。


そうだよ、セリア。セリアが頭を下げなくても、ただ望みを伝えればいいんだ。他の人たちは女神様の言葉に逆らえないのだから。


セリアテスの提案は各国のことから。セリアテスに面会申し込みが殺到していることに対し、各国に不公平にならないように、日時を決めてこの国に来てもらうということ。時期も、いろいろな事を考慮して2月と云っていた。


これには国王、大臣方だけでなく、父達も驚いていた。館でセリアテスが言っていたのは、主にレシピに関することだったのだから。父達は素早く計画を立てたのだろう。セリアテスの提案の有効性に頷いていた。


だけど、セリアテスは気持ちが急いているかのように「女神様の愛し子」として、直接の交渉に応じなくていいと言った。

その言葉に宰相から「そこまで背負い込まなくてよろしいのですよ」と言われ、神妙な顔で頷いていた。


セリアテスは焦りを逃す為か、深呼吸をした。大人達はジッと座っている。


次の提案は学園のことについてだった。


「改変するのであればより実践的にするべきだと思います。8年後に対応出来る」


セリアテスの言葉を、父が止めるように遮った。


「待ちなさい、セリアテス。それはお前がすべきことではないだろう。我々に任せておきなさい」

「お父様、ではお聞きします。お父様達はどのように変える予定ですか」

「それはまだ協議中だ。子供のお前が気にする必要はないだろう」

「ですが、私も5年後には学園に通います。その時に学園の授業内容が魔物討伐に対応出来るものでなかったら、その5年間に学んだ方々の努力は無駄になってしまいます」


セリアテスは何をそんなに焦っているのだろう。父も困惑したように黙ってしまった。

そんなにもセリアテスが知る魔物の大量発生は大変な事態になるというのだろうか。


「もちろん提案ですので、そぐわないものであれば取りやめていただいて結構です。ですが、このことに関連してもう一つ提案があります。それは魔法のことです。みなさまが知っている魔法に関する常識が揺らいでいると聞いています。ですので、魔法について一から研究し直すために、各国から集まって共同で研究することを提案させていただきます」


セリアテスの言葉に会議場内にざわめきが起きた。


「セリアテス。各国で共同研究などと、出来ることではないだろう。大体63か国の足並みを揃えようとしても、賛同しない国も出てくるだろうのう」


祖父がセリアテスに言った。祖父が言う通り実現することは難しいだろう。だけどセリアテスは真直ぐな瞳で祖父を見つめていた。祖父が気圧された様にたじろいだ。


「おじい様、私は全ての国から賛同が得られるとは思っていません。研究に参加したくなければ構わないとも思っています。ですが共同で研究するということは、そこで得られた知識は参加国すべてで共有することになります。参加しなかった国にはその知識を知る権利はありません。それにこの研究機関には他の目的もあります。家でお話ししたように聖光(ホーリーブライト)の使い手を育成していただくのが一番の目的となります」


セリアテスの言葉に会議場内のざわめきが止み、静寂が広がっていったのだった。


家でも聞いた聖光という魔法。それが魔物の討伐の要となるものらしい。これを話した時にセリアテスの瞳に決意の色が見えた様に思う。もしこの提案が通らなければ、自分一人でその魔法を会得しようと考えたのではないか、と。


もしかしたら聖光という魔法はそんなにも危険な魔法なのだろうか。祖母が『この魔法はとても高度で、魔力も大量に使うの。それに発動させるのに時間がかかるもの』と言っていたことにも関係しているのだろうか。


セリアテスはこの魔法についてまだ何か隠しているみたいだ。ただ単に話していないだけかもしれないけど、あの時に話さなかったのは何か危険を伴うものだからではないのかと思う。今のセリアテスなら王国内でも1番か2番に上げられるくらい、魔力量が多いだろう。そのセリアテスでも唱えられない魔法なのだろうか。それとも発動条件がもっと特殊とか。


そんなことを考えていたら魔術師長が立ち上がり壇上に向かう姿が目に入った。そのまま、魔術師長の動きを目で追っていた僕は、セリアテスを見て慌てて立ち上がった。そして僕も壇上へと向かったのだった。


魔術師長がセリアテスの隣に立ち、言葉を紡いでいく。


その言葉を聞いたセリアテスの目から、涙がこぼれ落ちていったのだった。



251話です。


お読みいただきありがとうございました。

また次話でお会いしましょう。

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