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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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兄話3-13 妹が覚えていたこと

王子達は僕の顔を見て顔を引き攣らせていたけど、なんか失礼だよね。


王子の友人達の自己紹介(セリアテスは神殿で会っていたエックハルト3兄弟の自己紹介に目を白黒させていたけどね)がすんで、皆の視線はフィリナ嬢に集中した。

そう言えば王子の友人達は、フィリナ嬢のことを知らなかったということに気がついた。


ローザ王女に促されてフィリナ嬢が自己紹介をした。

それを聞いたウェルシーが、フィリナ嬢がセリアテスに怪我をさせた令嬢だと気がついて声をあげたのだ。グスタフ殿も息巻くと立ち上がって、フィリナ嬢のことを睨みつけた。アルフレッド王子に嗜められて座ったけど、まだ睨みつけていた。セリアテスが心配そうにフィリナ嬢のことを見ている。

そのことに気づかないグスタフ殿に僕も言葉を添えたら、彼も気がついてくれた。


そう、フィリナ嬢のことはセリアテスに罰する権利がある。セリアテスは許しているのに、他の人間がとやかく言うのは「女神様の愛し子」に対する越権行為と言えるだろう。


そのことに気がつくとは、さすが第1王子の友人に選ばれた方だ。


これでこの話は終わったと思ったのに、アルザスが飛んでもない事を言いだしたのだ。


「ところでさあ、そのことなんだけど、実際は何があったわけ?」


それに乗るようにシュベルツも貴族間に流れている噂の内容を告げていた。セリアテスには聞かせたくなかったのに。二人を睨みつけたけど、こいつらはニヤリと笑って僕のことを無視してくれたのだ。

それどころか僕が説明しようとしたら、僕の言葉ではなく当事者であるフィリナ嬢から聞きたいと言って来たんだ。


他の皆も同じように思っていたようで、黙ってフィリナ嬢のことを見つめていた。フィリナ嬢は一度俯くと唇を引き結び顔を上げて、あの時のことを話した。フィリナ嬢の言葉を聞いて、あの時のことを皆が話しだした。王子達もあの場でのことや、僕が付き添った医務室でのことを聞いて来たりしたんだ。


ふと、セリアテスのほうを見たら、セリアテスは俯いていた。皆の話を聞いていない様に見えた。

というか、何かを考えているようだ。・・・いいや、思い出そうとしているのか。

眉間に微かにしわがよっている。それに顔色が少し白くないか。


僕の視線に気がついたのか、マイン王女がセリアテスに話し掛けた。セリアテスは顔を上げると、口元に笑みを浮かべていた。皆に心配させないためなのだろうけど、無理やり浮かべているのが分かる。


そして、意外なことを言ったのだ。


「セリアテスは不満を覚えていたのです。その不満のもとがわからなくて」


その言葉を聞いた僕はあのお茶会のことを思い出そうとした。

けど、セリアテスとローザ王女の会話に気を取られてしまったんだ。


「セリアにしては珍しいわね。何に不満を持っていたのかしらね」

「それが・・・はっきりしなくて。王子様方がご令嬢方に囲まれていたのを、不満げに見ていたのは覚えていますが、王子様方だけでなく王子の友人であるみなさまも囲まれておりましたし、私の取り巻きと言われているご令嬢方もみなさまの周りにいらっしゃって、それにも不満におもっていたようですし・・・」

「ふう~ん。ご令嬢方に囲まれて鼻の下を伸ばしている彼らを不快に思って、視界に入れるのも嫌だったから庭園に花を見にいったのね」


セリアテスはローザ王女の言葉に顔を上げて、首を傾げながら周りを見渡した。王子達とその友人達は、顔を赤くしながらセリアテスと目が合わないように逸らしていった。


僕も顔を赤くしたことだろう。というかセリアは誰のことを見て不満に思ったのだろう。


ローザ王女がセリアテスにどこまで覚えているのか聞いていた。セリアテスの答えは倒れる前のお茶会でのことは覚えているというものだった。それどころか、その時のことだけはかなり鮮明に覚えていた。


セリアテスの言葉で、セリアテスの取り巻きを名乗る令嬢方が、セリアテスに相応しくないことがわかった。セリアテスの取り巻きの少女たちは、うちの係累にあたるけどそれほど血が近いわけじゃない。それどころか、主家筋のセリアテスのことを軽んじる所があったと聞いている。いままではセリアテスが気にしていないようだったから放っておいたけど、これからは害にしかならないだろう。

クラーラも同意見のようで厳しい顔をしていた。


だけど、その後のセリアテスの言葉で、令嬢どころの話ではないことが起こっていたのを知ったのだ。

セリアテスは言った。


「えーと『公爵家令嬢となると偉いものだな。顎で人をこき使えるんだからな。だが、身の程をわきまえたらどうだ。お前自身大した魔力を持たないくせに、王子の婚約者に選ばれるとでも思っているのか。ああ、家は公爵家だもんな。どうとでもなるか』でしたね」


と。僕はその言葉を聞いて目の前が一瞬真っ暗になった気がした。次いで、怒りで視界が赤く染まった。


僕の妹が馬鹿にされた? 子爵家のバカ息子に。


気がついた時には口から言葉が出ていた。


「セリア、それを言ったのはどこの家だい。うちを馬鹿にしてただで済むとは思ってないよね。そのバカにはきっちりわからせないと」

「そうよ。そいつこそ何様よ。子爵家風情が王家の血を引く公爵家に言える言葉だと思っているのかしら。もちろんサンフェリス国王太子家としても抗議するわ」

「私も姉上に賛成だね。ミルフォードうちも一枚かむからその時は存分に名を使ってくれ」

「そいつバカなの。叔父上に喧嘩売ってさ。下手したらつぶされんじゃないの」

「あら、フォングラム公爵がやらなくても、私が父に言ってそうするわ。セリアどこの家か教えて頂戴」

「お姉さま~、マインもゆるせないのです~。ぜったにほうふくしましょうね」


僕に続いてクラーラ、ローラント、オスカー、それにローザ王女、マイン王女までが怒りを顕わにしていたのだった。



246話です。


ミルフォードが~・・・。


いえ。


出は次話でまた会いましょう。

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