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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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兄話3-4 真実に辿りつくために

僕はオスカーのことは信用している。そのオスカーが大人は信用できないと言った。それは誰を指すのだろう。普通に考えれば、家族以外の大人を指すだろうけど、・・・神殿での様子からなんだよね。じゃあ、やっぱりその大人(・・)というのは祖父と父のことなのだろう。じゃあ、何が信用できないのだろうか。その言葉が出るということは・・・。


「その前にオスカー。君は僕が知らないことを何か知っているんじゃないの」


僕がそう言ったら、一瞬オスカーは眉を寄せた。


「そうだよ。ミルフォードが知らないことを知っている。だけど今は話せない。でも、この後僕の予測どおりなら、きっと今日中に大人は動くはずだ。その話を聞ければミルフォードも分かるはずだよ」


オスカーは真摯な眼差しで僕を見つめている。今までと違うオスカーの様子に首を捻りたくなる。いったい何を知っているというのだろう。


僕達はとりあえず夕食の時の大人達の様子次第だということにして、居間に行った。1階に向かって階段を下りていたら廊下をビアンカが走っていくのが目に入った。そのまま居間に飛び込んでいく。僕達もすぐに後を追って居間に入ったら、セリアテスに抱きつくビアンカが見えた。セリアテスも嬉しそうに泣き笑いをしている。


僕はオスカーと共に部屋の隅の方にいた。居間に来たローラント、シュレイン、ギルベルトが僕たちのそばに来た。ギルベルトが女神様のことを興奮したように話したけど、やはり後光が眩しくてお姿をちゃんと見れなかったと言っていた。その言葉にシュレインも頷いていた。


僕はチラリとオスカーを見た。彼も僕を見ていたようで、軽く瞼を上下させることで合図を寄越した。


夕食の時は大人達もはしゃいでいた。いつもと違う食事の提供の仕方だったからだろう。食事が終わって居間に戻り、それほどしないうちに僕たちは部屋から出された。

言葉では「普段とは違うことが起こって疲れただろうから早く休みなさい」と、「今日もフォングラム公爵家に泊まるから、子供達は一緒の部屋で寝ていいわ」と、言ってギルベルトとアマリアの気を引いていた。だから他のみんなは大人達の様子を怪しんではいないと思う。


それとも、僕がおかしいのだろうか。オスカーに言われたことのせいで、穿った見方をしているのだろうか。


一度みんなと共に迎賓棟に行った。そこで、先にオスカーの部屋に僕たち2人は行ったんだ。オスカーがまた小声で話してきた。


「分かったろ、ミルフォード。この後、大人達は安全に話を出来るところに集まるはずだ。なんとかそこに気づかれずに潜り込みたい」


それは、多分小声で話すだけじゃ駄目な事なのだろう。父や祖父達のように結界を張って話すようなことを指しているはずだ。ということは、礼拝堂だろう。あそこには特別な装置があって魔法を使わなくても、結界が張れると聞いたことがある。でも、大人の目を欺いて潜り込むなんて可能だろうか?


僕はそこまで考えて頭の中に、ある人の顔が浮かんだ。時計を見るとグズグズしている時間はなさそうだ。


「オスカー、大人達に気づかれずに潜り込むために、ある人に話しがしたいけどいいかな」


オスカーは僕の言葉に一瞬目を瞠ったけど、直ぐに面白そうに瞳を煌めかせた。


「ほんと、ミルフォードは話しが早くて助かるよ。それで、コモナー氏なのかい」

「違う。その人は厨房にいる。行こう」

「ああ」


僕達はシュレインとギルベルトに気づかれないように、こっそりとローラントに大人達の話を盗み聞きしてくることを伝えたんだ。オスカー同様事情を分かっているからなのか「行って来い」とニッコリ笑顔で送り出されたんだ。


本館の方に戻るとまだ大人達は居間にいた。居間の前を通る時に気づかれないようにと少し緊張をした。


厨房について片付けで忙しそうにしている調理人の中から、目的の人物を呼んで食品貯蔵庫で話しをした。彼は僕たちの掻い摘んだ話に興味を示してくれて、協力を約束してくれた。少し待っていろと言って、彼は食品貯蔵庫を出て行った。


オスカーは彼の正体にとても興奮していた。彼のことはカテリア伯母上も承知していると言ったら楽しそうに笑った。そしてジーク伯父上に内緒になっていると知ってニヤリと笑っていた。


彼が戻ってきた時、執事長と一緒だった。2人に連れられて僕たちは礼拝堂に行った。そこで彼に隠匿の魔法をかけて貰った。それと共に執事長が特殊な布を渡してくれた。それを被れば人がいるのが分からなくなると言っていたんだ。なんでも疎外認識の魔法が掛けられたものらしい。それをしたら、2人は本館の方に戻って行ったのだった。


僕等は息をひそめてじっと待っていた。いつ来るのかわからないから、話しも出来なかった。


父達が礼拝堂に入ってきた時にはすごく緊張をした。隠匿の魔法をかけてくれたけど、見つかってしまうのではないかと思ったからだ。


僕たちは父達(・・)には見つかることはなかった。だけど、思いがけない(・・・・・・)ことが起きて、結局は見つかってしまったのだけどね。



237話です。


母話2-5 と従兄話 オスカー16 の、裏事情です。

次話にも続くけどね(笑)


では、また次話で!

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