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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
233/444

16-29 知識の伝達法?

パン


会議室の中に光がはじけました。

騒いでいたみなさまは動きを止めてこちらを見てきました。


いつの間にかレオポルド神官長が演台のそばに立っていました。今の魔法は神官長が放ったものみたいです。光が火の粉の様にキラキラと輝きながら降る様に降りていきます。まるで花火のようです。


「皆様、まだセリアテス様のお話は終わりではありません。すべてを聞いてから行動していただけますか」


そう言ってみなさまのことを神官長は睨みつけました。


「神官長。このことに神殿が口を出す権利はないだろう。セリアテス様は知識の権利を神殿に譲渡しないと言ったのだぞ」

「ええ、そうです。ですが、セリアテス様は「女神様の愛し子」で在らせられます。「愛し子」様が困っていれば手助けする権利は私にあると思うのですよ。それにセリアテス様は2度も声をあげられました。まだ、話の途中であると、話しを聞いて欲しいと。それを皆様は無視なさいました。聞く耳がないのであればどうぞご退席ください」


侯爵家のどなたかが痛烈な口調で神官長に言いましたが、神官長はそれ以上の苛烈さを込めて言われていました。やさしい口調のはずなのに神官長が一言一言発する度に部屋の温度が下がっていくようです。


・・・客観的に見れば女神様の「愛し子」の言葉を聞かない人たちは、女神様の言葉を聞かない人たちであって、女神様の言葉を聞かないと云うことは、女神様を祭る神殿を軽んじている・・・。

で、あっているのかな~?

とにかく神官長は女神様の言葉を聞かない方達に文句を言われているのよね。


神官長の言葉にお父様達や陛下方に詰め寄っていた方々は青い顔をして席に戻られました。それを見てから、レオポルド神官長は私に微笑まれました。


「セリアテス様の御心を煩わせてしまい申し訳ありません。どうぞ続きをお話しください」


そう言って神官長は席に戻られようとしました。私はとっさにローブを掴んでしまいました。


「あの、ご迷惑でなければ神官長にもお側にいて頂きたいのですが、駄目でしょうか」

「・・・構いませんが、隣にいればよろしいのですか」

「はい。お時間がなくて先に神官長にもお話し出来ませんでしたが、ご協力いただきたいことがございます」


神官長は少し探るような視線を向けてきましたが、直ぐに微笑みを深くして頷かれました。


「ええ。女神様の御心のままに」


そう言って左手を胸に当てました。


そして私はもう一度深呼吸をしました。さあ、話します。


「もう一度誤解の無いように言っておきますが、私が先ほど言いましたことは私からの条件です。それが受け入れられないのであれば、どなたにも知識の提供はいたしません。国に買って頂くのは一つ目の条件です。二つ目の条件は国はその知識を自国の民に1万ガルドで提供してください。もちろん一人だけに教えろというものではありません。何人に伝えてもらっても構いません。但し、伝える人一人につき1万ガルドを頂くようにしてほしいのです」


みなさまは意味がわからないのか首を捻っています。なので、分かりやすく説明しましょう。


「では、具体例を挙げてお話しさせていただきます。先ほどのマヨネーズのレシピ。それをリングスタット王国に10万ガルドで買って頂きます。リングスタット王国はマヨネーズのレシピを教えて欲しいという方に1万ガルドで提供してください。もちろん何人に提供してもらっても構いません。それで、その提供した方の名前を神殿に届けてほしいのです」

「神殿に知識提供者の名前を届けるのですか。それは神殿に管理してほしいということですか」


私の言葉に神官長が訊ねてきました。えーと、お金が絡む話だから、ややこしくなるのよね。


「あのですね、神官長。私は自分が受け取る10万ガルドの内、半分を神殿に奉納するつもりです。先ほどは知識の権利は私にあると言いましたが、やはり私個人のものというより女神様から頂いたものなのです。ですが、この知識を神殿のものとしてしまいますと、女神様が嫌がった真意を捻じ曲げるにあたるのではないかと思いました。今まで「アラクラーダの神子」の方が様々なものを伝えていると思いますが、その権利は神殿にありましたよね。それは女神様は望まれていなかったと思います。多分一部の心無い人が勝手に暴利を貪ったのだと思いますが、それで女神様の御心を煩わせることになってしまったのではないでしょうか?」


・・・ん~。なんか変な言い回しになった気がするけど、伝わったかしら?


神官長の顔を見ましたらとても驚きに満ちた表情をしていました。


「で、では、セリアテス様のお手元にはたいして残らないのではありませんか」

「私はフォングラム公爵家の人間ですので、何事もなければ生活に困ることはないと思っております。それに残りのお金は使いたいものがありますけど」

「使いたいものとは?」

「たぶんレシピだけでは完成品がわからないと思います。ですから、それを教えるための場所を作りたいと思います。あっ、ですが、それをするには各国がレシピを買って頂かなくては資金が手に入りませんよね。それまでは、どうやって教えたらいいのかしら?」


少し話が脱線しましたが、これもしないとレシピの譲渡だけでは駄目だと思うの。アフターサービスも万全にしないとね。


・・・アフターサービスってなんでしたっけ?



232話です。

知識の価値についての決着?です。

こうしてほしいと伝えたので後は大人の仕事ですね。

次話で16- は終わります。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

次話でまた!

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