表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
23/444

2日目の2 医師の方とお話しします

 今朝は昨日の夜よりは食欲があり、スープとサラダ、鳥肉を蒸したものを一切れ、パンを二切れ食べれました。デザートに果物の盛り合わせがでました。リンゴのような果物とブドウにみえる果物を、食べてみたいですが、どうしましょうか。名前が同じだといいなとおもいながら、聞いてみました。


「これは何という名前の果物ですか」

「リンゴというのよ。食べてみたいのかしら」


 そう言うと母がリンゴをフォークにさして私へと差し出しました。それへとかじりついて少し食べてみました。


「んん!」

「まあ。どうやら気に入ったようね」

「はい。甘くておいしいです。では、こちらは?」

「これはブドウだよ。セリア、食べやすいように皮を剥こうか?」

「皮は食べない方がいいのですか」

「食べてもいいが、これは皮が固い種類なんだよ」


 お父様が説明をしながら一粒取ると、皮をむきはじめました。


「そうなんですか」

「はい、皮を剥いたから食べてごらん」

「・う、・・おいしい。リンゴとは違った甘さでおいしいです」


 どちらも、リンゴとブドウの味がしました。リンゴは少し酸味がありましたがみずみずしくておいしかったです。ブドウは巨峰サイズです。こちらもとてもおいしかったです。もう少し食べたかったですが、病み上がりです。やめておきましょう。

 他の果物も名前を教えてもらいました。梨とオレンジと柿でした。

 何となく季節感が違っているような気がします。


 それにしても、みんなして構いすぎです。

 お母様は昨日のように食べさせてくれようとしましたが、自分で食べれるからと断ったら、とても残念そうな顔をされました。

 お父様も並んでいるお料理を取ろうとしてくれようとするのはいいのですが、止めないと山にしようとするのは困ります。私、病み上がりですよ。

 お兄様・・・だからね、おいしいと言ったからって、そんなに食べれませんから。皮を剥いた分は自分で食べてくださいね。


 食事が終わると父は部屋を出ていきました。

 しばらくすると昨日部屋に来た人たちが入ってきました。


「おはようございます、セリアテス嬢。私は、王宮医師のイェルン・ウェルナーといいます。体調はいかがですか」

「おはようございます。・・・えーと、気分はいいです。体も昨日より楽に起きていることができます。それと・・・ベッドから降りた時に足に力が入らなくて転びそうになりました」


 柔らかな印象の優しそうな30代前半くらいの男性が話しかけてきました。

 私は頷いて答えました。


「怪我はしていないですね。では、診察させていただきます。楽になさっていてください」


 ウェルナー医師は口の中で呪文を呟きながら、左手を私の方に向けてきました。

 これが先ほど家族から聞いた状態確認の魔法ですね。


「身体のほうはもういいですね。ただ、7日間動いていなかったので、筋力が衰えています。まずは無理せず少しずつ動かしていきましょう。すぐに元のように動けるようになるでしょう」


 ほー、そういうことだったんですね。

 ウェルナー医師の説明にコクコクと頷いてしまいました。


「では、次は私とお話しをしましょう」

「お話しですか・・・?」

「はい。昨日セリアテス嬢が目覚められたときに、おっしゃっていた『憶えていない』ということについてです」

「覚えていない・・・」

「そうです。そのことについて」

「あの、私、覚えていないとは言ってません」


 私の言葉にみんな困惑した顔をしています。でも、覚えていないとは一度も言ってないもん。


「私が言ったのは、『魔力ってなんですか』と『私は・・・どこのだれで、何という名のものでしょうか』と、他に思い出せることはないかと聞かれて『う~ん、わかんない?』と答えただけです」


 みなさん顔を見合わせてますね。自分が言ったことを覚えているって変ですか?

 ウェルナー医師が気を取り直したように質問してきました。


「えー、では、思い出せることはないということに、わからないと答えたのはなぜですか」

「あの時はわからなかったからわからないと答えました」

「あの時はということは、いまは思い出しているということですか」

「いえ、思い出したというより、覚えていることが一つだけあったんです」

「覚えていることですか」

「はい。倒れる直前のことで、王妃様主催のお茶会に招かれて、庭園で花を見ていたときに、そばにいたご令嬢がハチに驚いて、逃げようとした先に私がいてぶつかってしまい倒れて、そこに石があってこめかみを切ってしまったんですよね。その後医務室で治療をしてもらって、頭がすごく痛くなって意識を失いました。覚えていることはそれだけです」



22話目です。


セリアちゃん、忘れちゃった分記憶力UPですか?


いつも読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ