表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
229/444

16-25 魔術師長の援護

その時ある方が立ち上がり私の方に歩き始めました。

私の言葉の意味を考えていたみなさまは、壇上に上がってきた人を見てまたザワザワとし始めました。

魔術師長は私の隣に来ると軽く頭を下げるとおっしゃいました。


「皆様、発言をお許しください。私はリングスタット王国の魔術師長として、セリアテス様のおっしゃる、魔法に関して各国で共同研究をすることに賛同いたします。私はこれまで魔法について研究をしてまいりました。その中で、現在知られていることと、実際に魔法を使う時の違いに悩まされてきました。ですがそれを正そうとは思っておりませんでした。皆様方もお分かりの様に新しい発見をすれば、それに伴う権利が発生します。魔法は特にそれが顕著に表れます。そのことを煩わしく思っておりましたので、今まではどうこうしようとは思っておりませんでした」


魔術師長はここで言葉を切りみなさまを見回しました。そして台に手を置くと身を乗り出しました。


「ですが、それが間違っていたことだと、先程痛感致しました。皆様。セリアテス様は3日前に「女神様の愛し子」となりました。セリアテス様はそのことに驕ることもなく、真剣にこの世界のことを憂えていらっしゃいます。女神様の気持ちを慮ろうと必死に考えていらっしゃいます。ですが皆様。セリアテス様はまだ7歳の子供です。それどころか今までの記憶を失くすという辛い体験をなさったばかりです。それでも「女神様の愛し子」として自分に課せられた使命として、それを果たそうと頑張っていらっしゃいます。私達大人がそこまでの重荷をセリアテス様に背負わせていいのでしょうか。いいえ、よくないでしょう。女神様も「セリアテス様の言葉をよく聞きなさい」と仰られています。ここでセリアテス様の言葉を聞かないでどうするのですか!」


それほど大きな声ではなかったのですが、会場中に魔術師長の声は響き渡りました。

私はその言葉に目から涙が溢れてきました。

先程もお兄様に言われていたのに、やはり気持ちが焦っていたのでしょう。


気がついた時には誰かに抱きしめられていました。

・・・いえ、誰かではなくてお兄様ですね。


「セリア、さっき僕が言ったことを忘れちゃったの」

「お兄様~」


情けない声がでました。お兄様は手に持った手巾で涙を拭いてくれました。

その様子を微笑ましそうに魔術師長が見つめていました。


「ねっ。ちゃんと魔術師長は助けに来てくれたでしょう」


お兄様の言葉にコクンと頷きます。


「宰相様にも言われたよね」


それにも頷きます。


「だからね、大丈夫だよ。皆様はちゃんとセリアの言いたいことはわかってくれたから」


見てごらんというように促されて会場をみました。目線が合う頷いてくれる方、微笑んでくれる方々がいました。

その時国王陛下が立ち上がりました。壇上に来て私の肩に手を置くと皆様を見回しました。


「皆の者。魔術師長の言う通りだ。セリアテス様の提案は我らのためである。これから起こる未曾有の災害に備えるためでもある。各国にもそのように通達し、協力を要請するように。それで参加を渋る国には新しい知識を得る権利はないとも伝えておけ」


陛下の言葉に皆様が軽く頭を下げられました。


「セリアテス様、魔法の研究に関しては魔術師長を筆頭に魔術省にも協力をさせます。それで知りえた事実を学園でのカリキュラムにどのように取り込むかも、検討させます。どうかお任せください」


国王陛下にもこのように言って頂けました。


「はい。よろしくお願いします」


私はなんとか笑顔を見せました。それに頷くと陛下は席へとお戻りになりました。魔術師長も私に一礼をすると壇上から降りて席に戻って行かれました。


お兄様も私の背中をポンポンと叩くと戻って行こうとしました。私はお兄様の手を掴むと引き留めました。


「どうしたの、セリア」

「あの、ご迷惑でなければ隣にいてくださいませんか、お兄様」


私の言葉にお兄様は頷いてくれました。お兄様はそのまま私の隣に立ってくれました。

私は一度息を大きく吸いハア~と吐き出しました。


「みなさま、先程は失礼いたしました。魔法のことは魔術師長をはじめとした魔術省の方々にお任せしたいと思います。それから学園のカリキュラムの提案につきましては、まずは学園で行われているものを見てから提案させていただきたいと思います」


私がそう言いましたら、みなさまが頷かれました。

その様子に安堵の溜め息を吐き出しました。


「それでは、もうひとつ。私からみなさまにご協力を頂きたいことがございます。そのために神官長にもお越しいただきました」


そして私は部屋の入り口にいる侍女に合図をしました。侍女はクリスさんです。クリスさんが扉を開けてそれと共に何人か人が手にトレイを持って入ってきました。その人たちはみなさまのそばに行ってトレイの上の物を置いていきました。


「今、皆様にお配りしたものは私がうちの料理長に伝えたものです。話しの前にご賞味ください」


そう言ってニッコリと笑いました。



228話です。


やっと書き上がりました。

しばらく・・・すみません。スランプでした。

さあ、山を越したから、続きを頑張ります。


楽しんでいただけたのなら幸いです。

また、次話で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ