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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
228/444

16-24 提案事項

2017年初です。


今年もよろしくお願いします。

会議場の扉が開きました。私はお兄様にエスコートされて中に入ります。

不思議です。お兄様がいるだけで緊張をしないですみます。


今日は壇上にいるのは私とお兄様だけです。そのお兄様も私を演台のところまで連れて行くとお父様達がいる席のほうに行ってしまいました。


私は演台に立つ前にその横で立ち止まり、みなさまにお辞儀をしました。

それをしたらザワリとみなさまが動いたのが分かりました。

私は顔を上げると演台の前に立ちました。そこには私のために台が置いてあり、その上に乗ると演台に丁度いい高さになりました。


みなさま方を見ると、御前会議にいらっしゃっていたみなさまと、私が王宮にお世話になっていた時に会った大臣の方、魔術師長などがいらっしゃいます。もちろんレオポルド神官長もいらしていました。


私は軽く深呼吸をしてから話し始めました。


「本日はお忙しい中、突然お呼び立てをいたしましたのに、みなさまにはお集まりいただき、ありがとうございます」


一言ひとこと区切りながらゆっくりめに話します。


「先日、女神様が降臨なさり、私を「愛し子」とお呼びになったことで、みなさまにはご迷惑をお掛けしております。そこで私から提案とお願いがございます。これから私が話すことを吟味したうえで、ご協力を賜りたいと思っております」


私はここで軽く頭を下げました。みなさまからざわめきが広がりました。顔を上げて前を見据えました。


「それではまず、提案からさせていただきます。今この国には私のことに対して、問い合わせが来ていると聞いています。ですが、今、各国の方々に来ていただくのも、私が他の国に行くわけにはまいりません。なので、日時を決めて各国の方々とお会いしたいと思います」


そう言ったらまたざわめきが起こりました。ですが、またすぐに収まりました。


「今は11月です。これから各国の方々をお迎えするには年内では時間が足りないと思います。それに新年には新年を祝う神事があると聞いています。女神様を祭る日をないがしろにするわけにはまいりません。ですので2月になりましたら各国の方々とお会いしたいと思います。みなさま方にはその準備や手配の協力をお願いいたします」


私の言葉にみなさまは驚いていましたが、直ぐに頷いてくださいました。


「これに伴いフォングラム公爵家やリングスタット王国に直接話を持ってくる国があっても「女神様の愛し子」である私が交渉に応じなくていいと言ったと伝えてください」


少し強い調子で言いましたら、宰相様が手をあげて発言の許可を求めてきました。なので、許可を出します。


「セリアテス様。僭越ながら言わせていただきます。セリアテス様がそこまで背負いこまなくてよろしいのですよ。「女神様の愛し子」としての命を出さなくても、私どもにお任せください」


そう言って頭を下げられました。

いけません。さっきも魔術師長に言われましたのに、また焦りからか余計なことを言ったようです。

なので、頷いてから言いなおします。


「ありがとうございます、宰相様。みなさまにお任せしますのでよろしくお願いします」

「はい」


私は気持ちを落ち着かせるために、一度深呼吸をしました。


「次に提案したいのは学園のカリキュラムについてです。改変するのであればより実践的にするべきだと思います。8年後に対応出来る」


そこまで行った時にお父様が声を上げました。


「待ちなさい、セリアテス。それはお前がすべきことではないだろう。我々に任せておきなさい」

「お父様、ではお聞きします。お父様達はどのように変える予定ですか」

「それはまだ協議中だ。子供のお前が気にする必要はないだろう」

「ですが、私も5年後には学園に通います。その時に学園の授業内容が魔物討伐に対応出来るものでなかったら、その5年間に学んだ方々の努力は無駄になってしまいます」


お父様は黙ってしまいました。なので、私は続きを言うことにしました。


「もちろん提案ですので、そぐわないものであれば取りやめていただいて結構です。ですが、このことに関連してもう一つ提案があります。それは魔法のことです。みなさまが知っている魔法に関する常識が揺らいでいると聞いています。ですので、魔法について一から研究し直すために、各国から集まって共同で研究することを提案させていただきます」


そういいいましたら、みなさまのざわめきが今までで、一番大きくなりました。


「セリアテス。各国で共同研究などと、出来ることではないだろう。大体63か国の足並みを揃えようとしても、賛同しない国も出てくるだろうのう」


おじい様が渋面でおっしゃいました。私はおじい様をしっかりと見つめました。おじい様がたじろいだ気がします。


「おじい様、私は全ての国から賛同が得られるとは思っていません。研究に参加したくなければ構わないとも思っています。ですが共同で研究するということは、そこで得られた知識は参加国すべてで共有することになります。参加しなかった国にはその知識を知る権利はありません。それにこの研究機関には他の目的もあります。家でお話ししたように聖光(ホーリーブライト)の使い手を育成していただくのが一番の目的となります」


私がそう言いましたら、ざわめきが止み静寂が会場を支配しました。



227話です。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字の指摘、質問などがございましたら、コメントください。

おまちしています。


では、また、次話で。



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