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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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16-23 会議場前で

それからしばらくは、魔法のことについてみなさまから話を聞きました。

ただ、やはりみなさまは自分の属性がどうとか言っていたので、属性に縛られてそれしか扱えないみたいに思っているようでした。

その様子をオスカーお兄様が皮肉っぽい目で見ていたのが、印象に残りました。


昼食はこちらに届けていただき子供達だけで食べることが出来ました。

フッフス料理長、お手数をお掛けしてしまいごめんなさい。


食事が終わると案内の方が私を呼びにきました。私がついて行こうとすると、当然のようにお兄様達もついてこようとしました。それを見たローザ様達も一緒に来ようとして一悶着が起こりました。

案内の方は私だけを連れてくるようにと言われていて、それにお兄様達は一緒に来たんだから私だけ行かせられないと言い、ローザ様達は私の友人としてまた王家のものとして、御前会議の傍聴を希望しました。

おかげでしばらく連絡のやり取りで動く事が出来ませんでした。


結局、ローザ様達も御前会議の傍聴を出来ることになりました。

なので、みなさまと共に会議場まで移動しました。


会議場の入り口でみなさまと離れることになりました。みなさまは先に入り席に座るそうです。そばに残ったのはお兄様だけです。みなさまが中に入られた後、お兄様は私のそばにきて手を握ってくださいました。


「緊張しているね、セリア。手が冷たいよ」

「・・・お兄様」


多分私は涙目でお兄様を見つめたと思います。そんな私をお兄様は軽く抱きしめてくれました。


「大丈夫だよ、セリア。セリアの思う通りにしていいんだよ」

「でも、恐いです。私がやろうとしていることはこの世界を変えてしまうことかもしれません。もしかしたら間違った方向に導いてしまうかもしれません」


お兄様は私の頭をやさしく撫ぜながら、頬にキスをしてくれました。


「心配しないでいいんだよ、セリア。もしこの世界が変わってしまったとしても、それはセリアの責任じゃないからね。女神様が望んでいる事なんだよ」

「でも、お兄様」

「セリアが言ったでしょ。女神様がセリアに望んでいるんだって」

「でも、それが間違っていたら」


お兄様は少し抱きしめる手に力を入れました。私はお兄様の胸に顔を向けて少しうつむきがちに話をしていました。なので、お兄様の手が顎を掴み少し上を向かせて目を合わせるように見てきたので、心臓がドキリとなりました。


目の前にはエメラルドの瞳を持った秀麗な顔。まだ幼さの残るその顔にスチルの青年の顔が重なりました。

その瞳がフッとやさしく細められました。


「大丈夫。セリアは自分を信じて。セリアが一生懸命考えたことは間違っていないよ。だから、ね。泣かないでいいんだよ」


そう言って私の目元に唇を寄せて・・・。

お兄様の顔が離れて胸元に頭を抱え込むように抱きしめられました。


・・・えーと、いま・・・目もとに溜まった涙を、お兄様が・・・吸った? えっ? えっ?


頭の上でクスクスという笑い声が聞こえてきました。

恐る恐る顔を上げるとお兄様が笑っていました。


「少しは落ち着いた、セリア?」


からかいを含んだ声にわざとお兄様がしたのだと分かり私は頬を膨らませました。


「ひどいです、お兄様。私を惑わす気ですか」

「惑わすなんて言葉をよく知っていたね」

「お兄様!」


軽く睨んだけど、お兄様の表情につられて私も笑い出してしまいました。


「うん。セリアは笑っていた方がいいよ。悲壮な顔は似合わないよ」

「私、そんなに悲壮な顔をしていましたの?」


お兄様はニッコリと笑いました。


「うん。ねえ、セリア。自分1人で何もかもしようとしなくていいんだよ。僕たちはまだ子供なんだからね。それにね、父上やお爺様をもう少し信じてあげてほしいな。あの二人はセリアのことを大事に思っているから、セリアが本気で嫌がることはしないはずだよ」


お兄様の言葉が胸に落ちてきます。なので素直に頷きました。


「執事長も言っていただろう。かわいくて賢くて女神様にも愛し子と呼ばれたセリアのことを、助けたいと思ってくれる人はいっぱいいるんだよ。魔術師長も協力してくれるって言っていたでしょう」

「お兄様、私達の声は聞こえなかったのでしょう」

「見ていればわかるよ。僕はセリアのお兄ちゃんだもの」

「お兄様、大好き」


お兄様の言葉がうれしくてお兄様の背中に腕を回して抱きつきました。


「セリア。僕も大好きだよ」


お兄様が抱きしめ返してくれました。

と、そばで吹き出す声が聞こえました。


・・・そうです。ここは会議場前の廊下です。いるのは私とお兄様だけではありませんでした。扉を守る衛兵?の方が二人いらっしゃいました。それから案内をしてきてくれた方も。今までのお兄様との遣り取りはその方達に聞かれていました。


私は穴があったら入りたいくらいに真っ赤になったと思います。

緊張も悲壮感もどこかに飛んでいきました。

もう、こうなったら恥ずかしいことは何もありません。

当たって砕けてやろうじゃないですか!


ん? あれ?



226話です。


メリークリスマス!


今回もハッピーには程遠い? 内容・・・ですが、いかがだったでしょうか。


・・・・・


・・・うわ~ん。セリアちゃんの緊張をほぐそうとしただけなのよ。


で、では、また、次話で・・・!

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